涙。

かおりのこれからの幸せを考えたら、今は辛くても俺が引いた方がいいんかな。




そう言って、彼はひとすじの涙を流した。




あたしの幸せはあたしが決めるから、二度とそんなこと言わないで。




あたしは、彼を抱きしめた。







元々子供は期待してない。二人の旦那との間に出来なかったんだから、きっとあたしは今回の人生では子供を産むという計画を立ててないんだろうと思う。






彼の年齢と、あたし達二人の状況を考えたら、確かに子供は無理だと思う。



でも、一緒にいたいと思うのは、その為じゃないから。






色んな事を話していると、あたしの心の中で絡まっていた糸が、するするとほどけていく感覚。



そして、また一歩、あたしの本質に近付いていける。




彼は、そんな人。






そんな彼の涙は、ホントにきれいで、愛おしかった。




そんな人に愛されているあたしを誇りに思ったし、彼を幸せにしたいと思った。







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