”片耳生活”も4年半近くとなり、まだまだベテランの域には達していませんが、”初心者”のレベルは越えつつあると思っています。
変わったこと
週末に日帰りでロング・ドライブをしたというお話しをしました。自動車の運転は片耳でも一定の音量が認識できれば認められています。法律的には全く問題ないレベルですが、日常的に運転していて感じることは、やはり音の認識についてです。交差点に差し掛かった時に救急車などの緊急車両のサイレンの音が聞こえてきたとします。左耳しか聞こえない私は、何も注意していないと自然に左方向からの音と感知してしまいます。この4年余りで学んだことは、自分の”自然な感覚を疑うこと”です。緊急自動車のサイレンの音が聞こえてくると、必ず周囲を見回して近づいてくる車両を目で確認するようになりました。ちょっと面倒ですが、お陰で自分の車が緊急車両の進行の邪魔になってしまうことを回避することができるようになりました。これは運転に限ったことではなく、日常的な様々な場面でも言えることです。
聴神経腫瘍と顔面麻痺
聴神経腫瘍の手術で優先されることは、聴力の維持よりも顔面神経の保全です。聴神経は顔面神経と近接しているため手術の操作によって顔面神経を傷つけてしまう危険があります。そうは言っても、腫瘍をギリギリまで摘出しないと再発しやすくなるというジレンマもあり、執刀医も難しい判断に迫られます。そうして細心の注意を払って手術が行われるわけですが、どうしても顔面神経に障害が残ってしまうケースが少なくないようです。
改善していることも
私の場合、幸いにも重度の麻痺は残らずに済みましたが、全く無かったということではありません。味覚障害もしばらくの間残ったし、現在のように気にならなくなるまで少なくとも1〜2年はかかっています。鼻血が止まりにくくなっているのも何らかの影響が残っているせいかもしれません。それでも当初不具合と感じていたことが、今ではあまり気にならなくなっています。改善したのか慣れたのかは微妙なところですが...。例えば音楽。ステレオで音楽が聞けないことになって、全く音楽を聴くのをやめてしまっていた時期があります。左耳しか聞こえない自分にはどうしても”曲の真ん中が”左側にずれて聴こえてしまうのです。
しかし、今では”脳が補正”してくれるようになったのか、”曲の中心”が正面に来るように聴こえるようになりました。不思議なことですね。
わずか経験4年余りの若輩者が言うのもなんですが、同じ境遇の方々も是非、短期間のうちに悲観せずに長い目で受け止めて欲しいと思います。