前回、耳鳴りに関する有効な対処法は「忘れること、気にしないコト」というお話をしました。
耳や脳などの病気に原因がある場合は、当然そちちらの治療が優先されるのですが、我々のような病気の「後遺症」で耳鳴りになってしまったような場合の治療法としては、
TRT(tinnitus retraining therapy)療法 というのが最近注目されているそうです。
脳はいつも、たくさんのいろんな情報を受け取っているので、その処理を軽減するために重要な情報とそれ以外のものを自然に区別するようになっています。
例えば、音の情報で言うと、いつも鳴っていてもさして重要でない時計の針の「チッ、チッ」という音とか、冷蔵庫の低い動作音などを意識することはありません。
耳鳴りも同じで、はじめのうちは気になりますが、だんだん慣れてくると意識にのぼらなくなるということなのです。
このことを、馴化(じゅんか)とか順応というそうです。でも、耳鳴りに対して過剰に意識するあまり、緊張状態が起きたり、不安感やストレスを感じたりしていると、脳が耳鳴りを警告音としてみなすようになって、いつまでも馴化や順応(じゅんのう)が起きなくなるのです。
今まで気にならなかった時計の針の音や冷蔵庫の動作音が、急に気になって不快になるという感じですかね。
TRT療法というのは、耳鳴りの音に慣れさせるために脳を訓練する方法で、補聴器のような形をしたTCI(tinnitus control instrument)という耳鳴りを制御する機器を使って行われるそうです。ちなみにこの機器のお値段は約6万円。やはり、効果がある人と無い人があるようで、あくまでも治療法の一つですし、また健康保険がきかないので治療費がかさむのが難点です。
以上はTRT療法の文献を読んで私なりにかみ砕いた説明です。あまり正確ではありませんが、雰囲気は伝わりましたでしょうか。
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