まだ肌寒いある日の明け方。
住宅街には雀やカラスの声が既に聞こえている。

都内の瀟酒なマンションにある自宅にようやく帰り着いた全身白づくめの男を
出迎えたのは暗闇に光る留守番電話の着信ランプだった。
夜の仕事中は携帯には出ないので、相手は自宅の電話にかけざるを得ないのだ。



誰からなのかは分かっている。
徹夜仕事の疲れた体がシャワーを欲していたが、部屋の電気を付けると共に
溜め息まじりに再生ボタンを押す。

『◯◯です。お忙しい所申し訳ありません。先日の件ですが・・・』
『■■です。お疲れ様です。・・・』
etc.

案の定、諸々の仕事先関係各所の担当者から催促だった。

やれやれという表情で閉めきっていたカーテンと窓を開ける。
輝く朝日が部屋に差し込んで来た。外は素晴らしい晴天だ。
男は眩しそうに一瞥してダイニングに向かった。



「締切が近いのはわかってるよ。簡単に言ってくれるよな。」
「他のも先に引き受けちゃってるし、なんでも順番てものがあるんだよ」

「・・・でもなー。」

思わず呟きながら習慣で冷蔵庫を開け、奥に入った缶チューハイを取り出そうとして
覗き込んだまま手が止まった。


「この状況を書いちゃうか・・・www」


彼はデスクに向かい、PCを起ち上げて一気に曲を書き上げたのだった。























この作品はフィクションであり、実在する、人物・団体とは一切関係ありません。( ´艸`)




【追記】
GLITTERに携帯のバイブ着信音らしい音源が微かに聴こえて思いついたネタですw