「本部より各方面。
大阪市北区曽根崎において殺人事件発生。
被害者はビスポーク。
40歳。男性。
凶器は拳銃によるもの。
よって被疑者は現在、拳銃を持って逃走中であると考えられる。
各方面、直ちに現場に急行せよ。
繰り返す。
大阪市北区曽根崎において…」
『聞きましたか!先輩っ!』
『何を!?』
『もぉ。今の無線ですよ!
この近くで殺人事件がおきたんですよ!
直ちに現場に向かいます!!』
『えーっ!?行くの!?』
『当たり前ですっ!』
『またビスポークやろ!?
めんどくさいから他の人に任せようよ~。』
『これだから、先輩はいつまでたっても昇進しないんですよ!』
『先輩じゃない!警部と呼べ!』
『はいはい。
……けんさま警部殿。』
『わかれば宜しい。
では、至急現場に向かうぞ!
ワトソン君。』
『またホームズかぶれですか!?
まったくこの人は……。』
私はアカ。
この春、刑事になったばかりの新米デカだ。
横に乗っているのは、けんさま警部。
出世に興味が無いのか、いつも呑気に女のケツばかり追いかけている万年警部。
シャーロック・ホームズが大好きで、いつも私の事をワトソンと呼ぶ、ちょっと変わった人だか、今まで数々の難事件を影で解決してきた凄腕のデカだ。
今日もビスポークが殺された。
今追っているのは、世間を騒がせている、「ビスポーク連続殺人事件」。
今月に入って、これで3人目。
絶対、俺の手でホシを挙げてやるぜ!