真夜中の高速道路を走る、一台の真っ黒なトランザム。
遠くには、ぼんやりと都会の高層ビル群の灯りが見える。
都市高速に入る手前のサービスエリアに差し掛かると、緩やかにスローダウンし、アメリカ車にしては妙に静かなエンジン音を僅かに響かせながら、パーキングスペースにその真っ黒なトランザムは停車した。
「さて、そろそろ目的地だ。
もう一度ターゲットを確認しておくか……。」
「オツカレサマデス。ケン。
自動運転に切り替えますか?」
「いや、やめとくよ。ビー。
久しぶりの環状線を楽しみたいんでね。」
「ワカリマシタ。ケン。
デワ、ステルスモードに切り替えます。」
「気が利くな。ビー。
まぁ、パトカーに追いつかれる心配は無いけどな。」
「ハハハハハ……。
それもそうですね。
でも二周目は私に変わって下さいよ。
私も久しぶりに環状線を楽しみたいですから~。」
「わかったよ。ビー。
それより今回のターゲットを早く出してくれよ。」
「シツレイシマシタ。
こちらが今回のターゲット、マハーロ卿デス。」
モニターに、いかにも悪そうなマハーロ卿の顔写真と詳細なデータが映し出された……。
今から二年前……。
瀕死の重傷をおったある男が、謎の機関「あたあ財団」に救出されたが、男は自分の名前はおろか過去の記憶を一切失ってしまった。
絶望に打ちひしがれ生きる希望を失った男に、あたあ財団はケン・サマーの名前と謎の愛車「ポーク2010」を与え、悪と闘う事を命ずる……。
男はケン・サマーとして生きる事を決意し、愛車「ポーク2010」と共に日夜(主に夜)悪と闘っているのだった……。
……つづかない。
(≧∀≦)