細胞検査士足りない? 子宮頸がんなどの検診

2012年4月16日 01:31

 子宮頸(けい)がんなどの早期発見・診断のため、
細胞を検査する技師「細胞検査士」が、近い将来に不足する懸念が広がっている。医療の高度化が進み、超音波検査や輸血検査など技師の専門分野も細分化、
人材が集まりにくくなっているためだ。細胞検査には機械の導入も進みつつあるが、関係者は「最終的には人の目で見る必要があり、人材不足は深刻」と訴えている。


 「子宮頸がんの検診を受けましょう」。

4月上旬、福岡県久留米市の大型商業施設前で細胞検査士ら約30人が、

リーフレットなどを配りながら呼び掛けた。

細胞検査士会県支部によると、同がん検診の日本の受診率は20%程度で、80%近い欧米に比べてかなり低い。



 同支部の杉島節夫会長は検診を呼び掛けつつ、ジレンマも感じている。

「受診率が上がってほしいが、検査の人手が足りなくなるかもしれない」

 細胞検査士は1969年に創設された民間資格。

血圧測定や尿検査などを行う国家資格の臨床検査技師が、

医療機関や検査所などで1年以上の経験を積み、

NPO法人日本臨床細胞学会が毎年行う試験に合格して認定される。

病気の疑いがあるさまざまな細胞を顕微鏡を使って検査する。

現在全国に約6500人いる。



 宮頸がん検診の場合、一般的に1次検査で細胞検査が行われる

医師が子宮から採取した細胞を、細胞検査士が一つ一つ顕微鏡を使って見て病変の有無を調べる。

「細胞検査士は病変を見分ける正確な目と集中力が求められる」杉島会長)貴重な人材という。



 ところが認定試験の受験者数は、最も多かった89年の963人を境に減少。

2010年には475人に半減した。

同年の九州7県の受験者は福岡で34人、他6県は10人以下で最も少ない宮崎は1人だった。

福岡県集団検診協議会子宮がん検診部会委員長の柏村正道医師は「10―20年後には検査技師が不足するだろう」と懸念する。

減少の要因について同支部は「超音波検査士、認定輸血検査技師などが創設され、人気が分散してきた」と指摘する。85年から資格認定が始まった超音波検査士は近年、毎年約1500人が新たに認定され、増加傾向にあるという。


 また細胞検査士の約6割は女性だが、4年に1度の資格更新には学術集会や講習会への出席などが条件で「地方の家庭のある女性にはハードルが高い」(杉島会長)という面もあるという。



▼子宮頸がん 20、30代女性に急増


 子宮の入り口にできるがん「子宮頸(けい)がん」は近年、

20―30代の若い女性の間で急増している。

検診を受ければ、がん細胞になる前の病変も見つけることができ、治癒率が上がるとされる。早期発見には検診の受診率向上とともに、盤石な検査態勢が欠かせない。


 国立がん研究センターがん対策情報センターによると、日本では年間約1万人が子宮頸がんに罹患(りかん)しているとされ、この20年で20―30代の罹患率が2倍以上に増えている。主な原因は、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染で、性交渉の低年齢化が若年層の罹患率上昇の要因とみられる。



 厚生労働省は2009年度から20、25、30、35、40歳の女性に検診の無料クーポンを配布しており、各自治体が指定する婦人科などで受診できる。

 検査では医師が専用の綿棒などで子宮から細胞を採取。

各医療機関などで細胞検査士が顕微鏡で細胞を拡大し、異常の有無を一つ一つ目で見て選別する。最終的には医師が診断するが、細胞検査士は極めて重要な役割を担っている。


=2012/04/16付 西日本新聞朝刊=



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