今、外泊中のため、自宅からPC入力をしています。


明日の9:00には、病院へ戻る予定となっているから、


今夜は、気晴らしにカラオケをしに家族ででかけていました。








すると、22時前に主治医から夫の携帯に連絡が入りました。





「担当チームの責任医の最終判断で、IP療法は危険だから、


明後日からの治療を変えていこうと思う。


もう一度、検討させてほしい。」





こんな大事なことを、急に電話で言われてもどうにもできないです。


私は直接、話をしていないのでどう捉えていいのかわかりません。





腫瘍マーカーがあがり、全身に痛みが広がり、


ガンが進行していることがはっきり自覚できる毎日なのです。








まだまだ選択肢は残されています。


ただし、体力も気力も時間もお金も同時に失います。


いつ使うか、どのタイミングで使うか、確かに難しいです。


私にはやらなければいけないことがたくさんあります。


奏効率が10%台を何クールもやるのは、今からご勘弁願います。


どの薬もリスクはあります、ですので再発治療は賭けなのです。







子宮頸がんに適応する抗がん剤は、他の癌に比べると


絶望的な選択肢しかないことも、早々と勉強させていただいています。


分子標的薬が、子宮頸がんにはやっぱりがっかりさせられる


結果だということも、学会誌にでていました。


子宮頸がんは、今や予防のためのワクチン研究は進んでも、


治療の研究は悲しいものですよね。


同じ婦人科腫瘍で、再発の回数が似ていても、


緩和病棟に早々と移動するのは、私の仲間ばかりじゃないですか。


勘の鋭さが災いして、色々と詮索する癖ができてしまいました。











これ以上、私に何をどのように待てと言うのですか。


もっと、担当チーム内で十分なカンファレンスをしてください。


私は主治医の治療方針に同意しているので


明後日からの治療を全面的に受け入れる覚悟で準備を整えてきています。











完全にすべてとは・・・もちろん言いきれません。


だって、死にたくはないんですから。


まだ平均寿命の半分も生きていません。


まだまだ役に立つ人間だと、自負する自分がいるうちは・・・


というよりは、誰もが準備なんてできていないんです。











死ぬつもりでリスクのある治療を受けるのではなく、


生き抜くためのリスクをも承知の上で生きるのです。





先生方、私に施す行為を治療と思わないでください。


申し訳ありませんが、先生方は私が2本の足で立っている、


このどでかい人生の舞台の黒子でお願いします。


先生方の抱えている「こわい」と私の抱えている「こわい」は


全く持って異なるものですから、同じ舞台には立てません。





どんなに偏差値の高い医大をお出になっても、


何十年、臨床の現場でご活躍されていても、


今の私のこの覚悟は、ご理解いただけることは決してないと思います。








いくつも死を見てきても、いざ自分が同じ位置に立たされた時、


想像とは大きくかけ離れた「事実」が次々と押し寄せてくるのです。


溺れそうになって、やっと大波を乗り越えたと思うと、


またひとまわりも高い大波が押し寄せてくるのが見えるのです。


口から水を吐き出す間もなく、次々と現実が痛みとともに。








今まで、看取りの現場を経験して、いろんな手記を読みましたが、


あれは全部、その人のものであって、私とは違うんです。


予備知識にはなりましたが、生きるための実用書にはなりませんでした。


全く違います、言葉や文字にすると嘘っぽく感じてしまうくらいです。


毎日、わたしを訪れる痛みはどれも正確に表現ができません。














今、左の胸に手をあててみました。


わたしの心臓はしっかりと動いています。


わたしの心臓は私の生命です。


私の生命は私の時間です。





明日、先生にお会いしたら、私の心臓の音を聞いてほしいです。


聴診器という金属を通さずに、その手のひらで、


血の通う手のひらを私の心臓の上に置いてみてください。





私には覚悟があります。


それを鼓動から、感じ取ってはいただけないでしょうか。








ただひとつ、迷いがあるとすれば、遺される家族のことです。


「突然」は本当に本当に大きなものを奪います。


家族の未来まで狂わせたくはないからです。








闘病生活や介護生活が長ければ長いほど、


家族が死を受け入れる、心の準備ができやすく


患者の死後に、時間の経過とともに通常の生活に戻れるのです。





くも膜下や事故や事件や自殺などの突然死は、


「後追い」「うつ」「社会不適合」の状態に陥りやすいのです。


死という現実の受け入れがいつまでもできず、


家族の本当の苦しみは死後に訪れるのかもしれません。




髪の毛や匂いや汚れをなくしたくないから、掃除を一生しない・・・はい。


一緒になりたくて、骨を食べた・・・わかる気がします。


だから、「突然」は良くないとわかっています。













私も、家族も、先生も、皆が納得する形で結論をだしたいです。











先生がもし私の夫と同じ立場だったら、


先生のお子様がもし私の子どもと同じ立場だったら、


先生が私と同じ立場だったら。


私も先生の立場になって考えてみます。





お互いに納得のいくまで話をするべきです。


目を見て、血の通った心臓の音に耳を澄ませながら。















カラオケで夫が長渕剛の「ひとつ」を歌ってくれました。



彼が終わりの方で息を詰まらせて、一瞬、涙声になっているのを


17年もあなたの声を聴いてきた私の耳はちゃんと聞きのがしませんでした。


場が暗くなるのが嫌だったから、茶化したけど・・・





ありがとう、主治医のつらい言葉を聞いてくれて。


ありがとう、すんごく心に響いた歌を歌ってくれて。


ありがとう、あたしのことを真剣に考えてくれて。







「がん」は手術や抗がん剤や放射線などの治療以上に、


本当に精神力の必要な病気です。


はっきりとした意志やこうありたいと願う信念を持たないと


こころまで「がん」が広がってくるように感じます。









私は大丈夫です。


明日も、元気に笑顔で生きる自信があります。





それでは、良い夢を☆おやすみなさいませ。





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