私の職場に通院していた患者さんの話し・・。
先月まで夫婦で通院しては、奥さんはリハビリ。ご主人は仙骨部の褥創の処置。
ご主人の処置は、いつも私の担当。
私の事をいつも頼りに、「おう!来たで!」
と辛いはずなのに笑顔を見せて、私の手が空くまで処置の順番を待っていた。
そんなご主人は昨年に発見された肺癌からのリンパ転移により・・・先月の末に天に召されました・・・。
それから、奥さんの通院姿も1度きり。
私と奥さんとの2人の都合のいい時間がなかなか合わず、そして今日。
ようやく私はその方のお家を訪問し奥さんに挨拶できました。
老夫婦2人の思い出が沢山詰まったお家。
その奥にご主人の分骨と写真と形見。
ご主人の写真の前で座ると、
「おう!来てくれたんか!」
と私に声をかけてくれた気がして涙が止まりませんでした・・・。
亡くなる半月前、ご主人のいないところで奥さんに色々と相談されていた私は
「歩くにもあれだけふらふらして、あんなにもリンパが腫れても、どんなに強い痛みでも頑固に入院を嫌がるお父さんの褥創が治る事は難しいかもしれない。でも、今よりも酷くならないようにしてあげる事は出来るから!」
「正月を迎える事は無理やろうか・・・?医者にも無理と言われてるけど、あなたから見てどう思う?本当に思う事を正直に言うて欲しい!」
と奥さんに問われた私は
「お母さん。ほんとに・・ほんとに・・・こんなことを言っていいのか分からない。でも、お母さんにも「後悔」させたくないから私は正直に言うね・・。私は医者ではないから余命には触れたくなかったけど、癌を治療している病院で余命を伝えられていること間違いないと思う。あれだけ腫れたリンパと体力の落ちるお父さん・・・お正月どころか、もっと早いかも知れない・・・。
だからね・・お母さん。お父さんが亡くなってからでは遅いから今のうちに、お母さんが後悔しないようにやれるだけのことをしてあげてね!私で良ければいつでも相談にのるから!」
と2人で泣きました。
それから半月・・・ご主人の肺癌治療をしている病院への通院日。
歩いて会話もできる状態のご主人本人には「一泊だけ」と言われた入院が翌日から意識はあっても話せない状態に・・・。
その数日後、無言の帰宅だったそうです。
入院を嫌がっているご主人を入院させてしまった事・・・その事を奥さんはかなりの後悔に涙され、私も奥さんの中に残ってしまった「後悔」に辛く泣きました・・。
そして、亡くなるまで、私の事も良く話しに出てニコニコしていたそうで余計に涙が出ました・・。
「今は沢山泣いて良いんだから!さみしかったら私に電話してきてもいいんだからね!また来るね!」
っと今日は帰りましたが、私もさみしい気持ちでいっぱいです。
それと、しばらくはご主人のいなくなった奥さんのメンタルケアもして行こうと思います。
長々と読んで下さった皆様、ありがとうございます。
私はこのナースと言う仕事が大好きです。ただ、頼りにしていただいているだけ悲しみも大きいのです・・・。
