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dottles

僕自身を繋ぎ止めて、突き放すために。

最後の夏。

「長いようで短い」という感覚は、永く感じたときは本当にやめてくれと思うくらい長くて、短く感じたときはまばたき3回くらいで終わってしまうくらいに短い。

僕の場合は、苦しい時間は永い。
幸せな時間は短い。
この2年間は、まばたきよりも、短かった。
残りの半年も、幸せを感じる間もないくらい短いのだろう。

そして、今この記事を書いている瞬間はというと、上手く形容できないけど、全身で幸せと苦しさを感じていることは確かだ。

この川沿いの堤防の石に腰掛けて全てを噛み締めているこの時間は、できれば永く永く続いてほしい。
しばらくすれば目の前のお店で接客する時間になるけど、その幸せな時間を待ち構えているこの数十分が好きだ。
こんな心地良い時間が毎日訪れてほしいし、この川の音を心の中の上から2番目の引き出しにしまっておきたい。

心の底から愛しているこの場所とお店でずっと生きていたいし、ここでずっと季節を感じたい。

最後の夏。

ここで過ごした2年間と残りの半年を、口の中で溶けて無くなるまで噛み締めたい。
美味しいものを食べ終わる瞬間がすごく苦手だから。

僕以外の人間からすると、何を大げさな、と思うかもしれないけど、ここは、引越し先の部屋で好きな家具が全て寸法通りに収まるみたいな感覚がある。
気持ち良く収まった空間で長く過ごすことは精神衛生上すばらしいことだ。
同時に、その家具たちをもっともっと愛することになるきっかけにもなる。

ここで働くことは、ここで美味しいものを飲み食いすることは、ここでいろんな話をすることは、何にも代え難い僕の幸せで、精神安定剤で、心の玄関に等しい。

だから、最後の夏なんて思いたくなくて、季節の変わり目を感じてしまったこの瞬間が心の底から苦しくて、でも、苦しいのに永く感じはしなくて、この気持ちが自分でも理解できなくて、この記事を書いた。

最後の夏。
間違いなく僕の人生において重要な夏。