2001年1月7日、釈然としない気持ちで面会を終えた花島弁護士は

阿部泰雄弁護士も加わり、3人で交代に、翌日、翌々日と面会を続ける中で

1月9日に「もやが晴れた」。

「自分がやっていて警察が来たのであれば覚悟をして迎えるのが、守君は警察に

待ってもらって、彼女と歯磨きをしながら「じゃ、終わったらどうする?」なんて

話をしている。自分から進んで、とは言わないけれど、素直にくっついて警察に

行って、そこから事件というものは始まっている。全然びくびくハラハラという

心境じゃなかったのです、と。じゃあ、どうして認めるという話になっていった

のだ、とそこから堰を切ったように話が出始めた」

刑事の脅しと呪縛から守さんは解ける。

「その後、順々に守君本人の話を聞いて、これはもう理解納得していった」と

花島弁護士は語る。(「再審に向けて今何をすべきか」)

阿部弁護士もまた「向かい合って話を聞いていくと、守君は犯人なら知っている

細部を知らないし、説明できなかった。弁護士の直感で、これはおかしいと

感じた」と講演会で語った。

最終弁論にも「6日の朝に任意同行を求められた際に犯人として危機感や焦りを

感じたかどうかを弁護士に問われるに至り、被告人はそのようなことを全く

感じなかったことを鮮明に思い返し、半ば自己暗示にかかったような状態から

脱した。(中略)その結果、被告人は、接見中の弁護士に向かって「先生、

僕じゃないんです」「僕やってないです」と明確に犯行を否認する供述を始めた。」

とあるように、守さんは一旦誘導され、6日に署名させられたA子さんへの殺人未遂の

自白調書を9日に否認。それ以降、一貫して無実を訴えている。

残り4件については、自白調書は無い。

否認に転じた守さんに対する刑事の怒りは激しく、仙台拘置支所への移管後も

消灯時間の9時を過ぎても取調べを終えず、深夜に及ぶ長時間の過酷な取調べが

恒常化し、発熱で体調不良のため休みたいと申し出ても許されなかった。

「人間のくず、人間以下、お前なんか死んでしまえ」

「お前は死刑になるんだ、人殺し」とののしるなど、大声で威嚇し、

死刑執行の様子を事細かに語る、A子さんの写真を顔に押し付ける等の

乱暴な方法で自白を迫ったが、守さんは否認し続けた。

下記の起訴について、被害者とされる人たちの急変理由には

すべて医学的な説明がつき、診断、証言もある。

この事件は「幻の事件」であると弁護側は一貫して主張している。


1月26日 植物状態になった12歳のA子さん(難病)への殺人未遂で起訴。

 同日  二階堂院長が死因を心筋梗塞とした89歳女性S子さんの殺人事件で逮捕。

2月16日 S子さん殺人事件で起訴。

 同日  M子さん1歳女児(一過性脳虚血発作)への殺人未遂で逮捕。

3月9日  M子さん殺人未遂で逮捕。

 同日  45歳男性(抗生剤の副作用)への殺人未遂で逮捕。

3月30日 同男性殺人未遂で起訴。

 同日  4歳男児(てんかん発作と痰詰り)への殺人未遂で逮捕。

4月20日 同男児への殺人未遂で起訴。105日間の強制捜査終了。

7月11日 第一審仙台地裁 第一回公判

2004年4月30日 156回公判「無期懲役」の判決

2006年3月22日 第二審 仙台高裁 5回公判「控訴棄却」判決

2008年2月25日 最高裁第三小法廷「上告棄却」決定
    

       わんわんネコわんわん

次はあやふやな状況証拠を取り上げた、摩訶不思議な判決の数々を

ご紹介します。


(つづく・・)

参考・再審に向けて今何をなすべきか」花島弁護士/「支援活動に求められるものは何か」阿部弁護士/最終弁論


nekomanekiのブログ

早く再審の道が開かれ、守さんと愛する人が再会できますように。