*妄想話です

寒いうちに出したかったのですが… 少々温めすぎました

… カレーだけに ←ちっとも上手いこと言ってない

 

 

 

 

 

 

あいばちゃんとキャンプの約束をしていた。

 

 

 

画面越しの笑顔が時々少し疲れて見えて。

自然の中で、一緒に静かな時間を過ごしたいと思った。

俺自身もそんな時間に救われてきたから。

 

 

 

とても楽しみにしてくれていたようで、

『アウトドアショップに行ってみたYO!』 『おーちゃんのあのナイフって何切る用?』 『しゃれたまな板売ってるけどいる? いる?』だの

『シモノクンからゆるいキャンプアニメを教えてもらって見てる』 『チェアかハンモック、欲しくなった!』だの

そのアニメに感化されたのか『きんきんに冷えた空気の中で 星空見たいなー』 『鍋やろうね!しいたけもらったから たっぷりぶちこもう!』だの、

 

日々わくわくした様子が伝わってくるLineを見て、俺も嬉しくなってにやにやしていたんだけど。

 

 

 

 

 

ものすごい鼻声で泣きの電話が入ったのは昨夜のこと。

『お゛ーぢぁーーーーん゛、花粉のヤツがとうとう来゛ちゃっだよぉぉぉぉ』

 

 

ここ何年か 鼻うがいの成果か、症状が軽くなっていたから油断してた、

今年は全然平気、おれもう治ったかもと思っていたら、突然ひどいヤツが襲ってきた、ということらしい。

 

 

病院の薬は効くけど きつくて眠くなるから、仕事でどうしても必要な時以外なるべく使いたくないんだよね、普段使いは ずっとおーちゃんにもらってた あのムラサキのヤツが慣れてたし良かったんだけど今年はないじゃん、だから今回 しょーちゃんのヤツ使ってみてるんだけどさ、屋内は結構いいカンジで過ごせるの、でも 外はダメ 目が開かないし、喉とかかゆくなると このご時世 咳とかくしゃみとか ものすごく肩身が狭いし、ああ もうおれにとっての冬キャンプシーズンは終わってしまった、おーちゃんと山へ行けるのは1年先だよ… 

 

と気の毒になるほど どんより落ち込んだ鼻声で、止めようのない鼻水をすすったり かんだりしながら あんまり悲しそうに話すので つい、

 

 

 

じゃあ代わりにうちにくるか、と誘ってしまった。

 

そしてその時から、俺はカレーを作り始めた。

 

 

 

 

 

まちじゅんやしょーくんが俺んちに来た話をする時、あいばちゃんの笑顔が ほんの少しだけ曇ることに 気づいてはいた。

 

『いつならいい? 〇日と×日ならどっちがいい?』 なんてずんずん懐に入ってきて、どっちもダメ とか言ってもめげないで 『じゃぁいつならいいんだよっ』なんて約束をとりつけるまで食い下がるのがじゅんの可愛いとこだとすると

 

『えー、なんでおれは呼んでくれないのー、おれもリーダーんち行きたい!』なんて冗談めかして控えめに言うのが精一杯で、俺に わがまま言えないのがあいばちゃんらしいとこ。

グイグイこないのをいいことに、ふふ と曖昧に笑ってやり過ごしていた。

 

 

 

寂しそうな表情を見るのはつらい。ごめん って胸も痛む。

でもあいばちゃんを一人でうちに呼ぶのは危険なんだ。

昨日、 来るか なんて思わず言ってしまったのは、休暇ももう約3ヶ月近く経って 気が緩んでいたのかもしれない。

 

 

 

昔はごくフツーに誘ってた。

でも 俺のテリトリーで ころころ転がったり くすくす笑ったり 果てはベッドにもぐりこんできたり、すっかりくつろいだ あまりにも無防備すぎる表情を見て、なんだか体の奥がざわざわしてしまったその時から、

 

コイツを家に呼ぶのはヤバい、と心の警報が鳴るようになった。

危険には近寄らない方がいい。うちで二人になる状況は避けることに決めたんだ。

 

 

 

だから突然の誘いに あいばちゃんは一瞬

  …へ? 

と固まったあと、今度はまるで 『やっぱやめた』と言われるのを恐れるように 慌てて、

 行く行く行く行くー!!!! 

と俺がわかった、わかったから、と言うまで何度でも繰り返すから、嬉しいような困ったような。

 

だからおれは、カレーでも作って待ってるよ、と言ったんだ。

 

 

こんな時カレーはいい。

なんたって無心になれるから。

 

 

 

 

 

そして今日、

あいばちゃんは農家さんからいただいた、という野菜と ロケ先で買ってきたという地ビール、そして白ワインを持ってやってきた。

 

 

 

『なんかお土産考えすぎてわかんなくなって、じゅんくんに相談しちゃったよ』

最初は なんで俺が とかぶつくさ言ってたけど、りーだーがやっとおうちに呼んでくれたんだよー、カレー作ってくれるんだよー、って言ったら、よかったな って 結局親身になって一緒にすっごい考えてくれたんだよ、ほんといい子だよね、

 

あ、じゅんくんがこないだグラスいっこ割っちゃった って言ってたから、これプレゼントね。 初めてのお呼ばれにグラスはちょっとハードル高かったわー、リーダー 絶対こだわりあるじゃん、気に入ってもらえるかな ってお店ですっごい迷っちゃった。

イマイチだったら うがい用にでもしてよ、

…でも、次来たとき ほんとにうがい用になってたらへこむな、ふふふ…

 

 

玄関先で、まるでなにかに追いかけられてるみたいに一気にそこまで喋ると、ふう、とひと息ついてポケットから出した4分の1サイズに折りたたまれた(2度目の使用らしい)ティッシュで鼻水をおさえた。

 

 

緊張してるのかな、あいばちゃんがせっかちに喋るのは大抵 緊張してる時だから。

それに気づいて俺は逆に すっと落ち着いた。

 

「いらっしゃい」

 

まぁ入んなよ、と ぽんぽんと手を置いたあいばちゃんの頭は 温かかった。

髪からふわりと漂ったいい匂いに少し切なくなったのは きっと、 それを懐かしい と感じるくらい、ずいぶん久しぶりに嗅いだ気がしたからじゃないかな。

 

 

 

 

 

あいばちゃんが これ今凝ってるヤツ、と 体によさそうなお茶を淹れてくれた。

香ばしいから 飲みやすいでしょ、とにこにこ渡されたそれは、少し山とか野原の自然な苦みがして 「相葉茶」を思い出した。

あの頃はみんなでげらげら笑いながら罰ゲームみたいに飲んだっけ。

 

そして、

とっておきのお茶菓子だよ、知り合いがちょうど福井に行くって言うから買ってきてもらった! と嬉しそうに出してきた ひんやりした寿司折くらいの紙箱は、ひらくと 一面水ようかんだった。

 

おれのお気に入りだから おーちゃんにも食べてもらいたかったんだ、

はい、おーちゃんはそっち側からね と木べらを1枚 俺に差し出して、自分はもう 『おれ、これひと箱いける気がするんだよね』と 向こう側の角を器用にすくい始めていた。

真似して こっち側からすくいとる。

 

「…うめーな」

つるりとしたのどごしが後をひく。 陣取りみたいに向こうとこっちから食べ進める。

 

スイーツ部 再開だね、渋茶に水ようかんって ちょっとじーさんくさいけど、とあいばちゃんがにこにこしてるこの部屋は 確かに、陽だまりの縁側みたいに穏やかだった。

… じーさんになった時、こんな時間が過ごせてたらいいだろうな。

 

 

 

 

 

次々いろんなもんが出てくるバッグを引き寄せて、さてー、と 再びごそごそすると

 

『これ、ほんとは山で一緒にやりたいと思ってたんだけど』

取り出したのは、これまた懐かしいCDプレイヤーだった。 結構最近まであいばちゃんが愛用してたあれ。

 

『おれ、今 歌う機会ないからさ、需要もないっていうか? くははっ… まぁ自分も 一人で歌う気ないけどね、

でも だからこそ今って実は コソ錬のチャンスだ!ってひらめいちゃってさ』

 

言われた時には もう、えーと おーちゃんこっちね、と Rのイヤホンを渡されていた。

 

『一緒に歌おう?』

 

それから、ふたりで歌った。

5人のパートを自然とふたりで交互に、好きなフレーズは一緒に。

ハモれるまで何度も繰り返したり、うまく決まった時も 気持ちよくてやっぱりもう一回繰り返したり。

 

楽しかった。

歌を褒められることの多い俺だったけど、こんな楽しく歌ったのは久しぶりな気がする。

あんまり楽しかったので、あいばちゃんの鼻水がとうとう たれてきて、今日はおしまい ってなった時、

 

『あーすげー楽しかったね! 今度は課題曲を決めて 一曲を仕上げてさ、匿名でSNSに上げたりしてみようよ!』

 

絶対おーちゃんとおれが歌ってるなんて 誰も気づかないよ、ね? わくわくすんね! やってみようよ? と言われて、ついつい

そうだな、って次の約束をしていた。

 

 

 

 

 

 

そして 俺が無心で煮込んだカレーをふたりで食べた。

あいばちゃんがブロッコリーをたっぷり揚げてくれたから、春野菜のカレーになった。

 

口にいっぱい入れたまま『うめー、やっぱおーちゃんのカレーはうまいね』 『今度は鍋持参で来ようかな』なんて言って もりもり食べてるのを見ているうちは、親鳥気分でほほえましく見ていたんだけど、

 

お酒が入って ふたりともいい気持ちでふわふわしていた。

そのせいか、いろんな話をしながら いつの間にかずいぶんくっついて座っていた。

 

あいばちゃんが小さく鼻歌を歌って、

『ねー、次の課題曲 おれ決めていい? あれ歌ってみたかったんだ、夜の影? おれ今までどういう訳か セクシー系に縁がなかったからさぁ、やってみたかったんだよね、わなめくゆまーいん、てね』

とろりと眠そうな顔で そう言った。

 

 

 

この顔は そろそろお開きにしないと。

「あいばちゃん、そろそろ眠いんだろ」

 

 

声をかけると、15分だけ と半目のままなんとかタイマーをかけて ころりと横になった。

 

片付けでもするか と腰を浮かせたら、だめだめ 片付けはおれちょっと休んだら手伝うから一緒にやろ、と押さえつけて 形のよい小さな頭を俺のひざにのせてきた。

 

 

ほら。これだよ。

あの志村さんさえ一発で陥落した膝枕。

 

これだから うちに呼ぶのは嫌だったんだよ。

 

 

 

 

 

しょーがねーな、と氷の解けたグラスにもう少し酒を足して。

 

ちびちびと舐めながら やわらかい髪を、長いまつ毛を、少しぐずぐずいってる鼻を、薄くひらいた唇を見ていると 15分なんてあっという間で。 ピピピ…とタイマーが鳴った。

 

 

「… おい あいばちゃん、タイマー鳴ってるぞ。

起きないとちゅーするぞ。」

 

 

 

あいばちゃんは もぞもぞと動くと、薄く開きかけた瞼を もう一度閉じて。

 

いいよ と言った。

 

 

 

 

 

 

*お久しブリーフ、コロリンでございます

 

温め続けた結果、だらだらと書きつらねたこの妄想、まだ冬 と呼べる頃に書き始めた当初は

嵐さんが大人のダンス・ボーカルグループとして戻ってきてくれたらいいな、

だとしたら相葉さんがお休み中 大野さんと練習してくれたりしたらいいな、

そうだ キャンプの夜に焚火の前で練習したらエモいわぁ…というだけの話だったのですが

 

その間に、いつの間にかすっかり春になり、いろんな出来事があり、

書き始めた頃には念頭にお手本のように浮かべていたV6にーさんたちから寂しいことこの上ない発表がありました

歌って踊れる 大人のグループって貴重なのです

息の合ったパフォーマンスやおしゃべりを見せてくれる大きな存在なのです

そして11月までを盛り上げる後輩の中に嵐さんがいない寂しさよ。

 

相葉さんのドラマ、早く具体的に知りたい

*相葉さんのCM。

長年続いたものをバトンタッチする寂しさ、櫻葉CMのエモさ、そして貪欲に新しいCMを期待してます

”エバラ焼肉のたれ♪”って揺れてるのが可愛くて、永遠続くようにエバラ株を買いかねない勢いです

 

*福井の水ようかん、大好きです

近頃は東京でも手に入ることがあるけど、福井から買ってきてもらった味が忘れられない

 

*(だいぶ遅いけど)二宮さん、おめでとうございました