私が娘の、娘ではない姿に初めて会ったのはこの日です。
真夜中のの1時過ぎでした。

前の日の夜、私と夫は私の実家に泊まりで遊びに来ていました。そこへ娘と彼もきたわけです。
私の父は昔の考えの人なので、娘が結婚もしていない男を泊める事を嫌がりましたが、私の母が娘の状態も考えて許してあげてほしいと頼んでくれました。

私の妹も遊びに来ていて、楽しい夕食楽しい団欒の後、娘と彼は寝るね!と二階へ上がって行きました。
リビングには私と母と妹が少し飲みながら話をしていました。

丁度私は娘に起きている解離の話を2人にしていました、
その時です。
2階から大きな物音と大きな叫び声が聞こえました。

きた!
私はなぜかゾワッとしたものの怖いというのではなく、なんだか立ち向かっていく!という気持ちで階段を駆け上がっていきました。

そして見ました。
目を真っ赤に充血させ髪を振り乱し、彼の手を振り払おうとして
いる娘を。

娘の名前を呼びました。
「お前は誰だ!!違う!!」
とても低い声で言われました。
「お母さんだよ」

目が座ったようなな顔でじっと見られました。睨んでるような感じでした。

「知らねえな!おいここはどこだ!知らないところに連れてきやがって!」
彼に向かって言ってました。

彼は娘に何か言ってましたが私はもう、無性に腹が立ってきてて、
娘に乗りかかり叫びました。

「こっちがあなたは誰?よ!
娘を返しなさい!早く!もうあなたに頼むことは何もないから!早くあなたのいる場所に帰りなさい!娘を返して!」

ミノルさんは笑いました。バカにした笑い方で「俺だけじゃない、サナー」
そう言って目をつぶりました。

姿は娘なのに今度はサナという女性に変わりました。
「ねぇ!なんなの?これ?」
笑いながら私を指差しました。
「めんどくさいなぁ。眠いんだよ!寝かせろよ!」
急に寝ようとするのを叩き起こし私は叫んでいました。娘を取り戻したい気持ちだけでした。時間がどれだけかかったのかはわかりません。長い格闘が続いていたと思います。