夫の生涯、最期の一週間は、

私にとって、人生最大の苦しい時間でした。

今は、もう思い出したくもないと思う一方で、

いつかこんな苦しさですら、薄れていくとしたら、それも怖くて仕方ががないので、

なんとか言葉に残しておきたいと思います。




 2023年1月26日㈭


この日の朝、

いつも通り朝食をとり、

普段通りの時間に出勤した夫は、

もう2度とお家に帰ってくることは

なかった………汗汗汗

元気そうに冗談を言ったり、笑ったり

する夫を見たのは、

この日の朝が、最後となる……真顔



私もいつも通り、コンビニのパートに

出ていて、夕方5時に仕事が終わり、

帰宅前に、コーヒーを買って、

車に乗り込み、ふとスマホを見ると、

娘からLINEが入っていた。


パパが救急車で運ばれて、今病院にいる……と。


後で気付いたのだけれど、

私にも、救急隊員の方から、電話の着信が

入っていたが、仕事中で気づけず、

たまたまその日家にいた娘に連絡があり、

家族として病院に呼ばれたらしい。


夫は、職場でお昼ごはんを食べたあと、

体調が悪くなり、呼吸困難の症状もあり、

救急車で、主治医のいるいつもの病院に

運ばれたとのこと。


年末年始に引き続き、またもや肺炎を

起こしていた。


救急車を呼ぶほどだったということは、

とても心配ではあったけど、

それまでも、幾度となく入退院を

繰り返していたので、

この時点で、家族としては、

正直、またか……また入院か………と、

反応は慣れたものだった。


それよりも、明日また入院グッズを

届けないといけないけど、仕事もあるし、

困ったな……と、そちらの方が気になっていた。




 2023年1月27日㈮


なんとか時間を作り、病院へ荷物を運ぶ。


コロナ禍のため、面会できないことは

分かっていたし、

荷物だけ看護師さんに預けて、

帰ろうとしたとき、

「先生からお話があるのでお待ち下さい」

と引き止められた。


とても嫌な予感がした。

できればなにも聞きたくなかった。

とにかく逃げたかった。


そういうわけにもいかず、

個室に通され、しばらく待たされた。


主治医の話は……

「今回の入院中に、状態が悪くなれば、

一時的に、人工呼吸器を使うことになると

思います。

最悪、治療に限界がきたとき、

人工呼吸器を使い続けることになれば、

どこまで延命治療を望みますか?」

という内容だったと思う。


そして、

「今回、退院できても、

今後もたぶん頻繁に肺炎を起こして、

そのたびに、だんだん弱っていくことは、

ある程度覚悟してください」…………と。


いきなり聞いた、延命治療という衝撃の

言葉……ガーン

だんだん弱っていく…という言い方……驚き


ただ、なんだか現実味がなく、誰のことを言ってるのか分からない感じで、

ショックというより、ふわふわした感情

だったようにも思う。


「主人はどう言ってるのですか?

主人のいないこの場所で、延命治療を

どうしますか?と言われても……。」と

言うような返事をしたら、


少し考えた主治医は、

「そうですよね。

今から特別に、ご主人に会える時間を作るので少しお待ち下さい」……と。


特別に……って……

コロナ禍の決まりで、こんな緊急事態でも、

家族が自由に面会もできないなんて……

ほんとにやるせない思いを

この先も、本当に何度も何度もしました悲しい


結果的には、夫と病室で会えたのは、

この日と、亡くなる前日の、たった2回だけ。

それも、どちらも、わずか10分くらいだった

のです無気力無気力無気力


夫のいる部屋に案内され、

酸素吸入しながらも、息苦しそうな夫と

対面。

昨日の朝は、普通に笑っていたのに、

たった1日で、こんなに状況が変わって

延命治療の話し合いをしなければならない

なんて………泣くうさぎ


夫は、

「もう無理となったら、延命治療はいい。

人工呼吸器に繋がれたまま、何もできず、

好きなものも食べれず、なんなら、意識もない状態で、単に生きているだけ……は望まない。

迷惑をかけたくない。

その方が、ママは再婚することもできる。

でも、俺の命のある限りは、

一緒にいてほしい。」……と。


「再婚なんて、今そんな事言わないで😭」

とは言ったけど、


どんな状態でも、

寝たきりでも、

意識がなくても、

生きていてくれるだけでいい……

それだけでいい………

とは言えなかった。


呼吸器に繋がれているだけの

ただ死んでいないというだけの夫は

想像できなかった。


お金がいくらかかっても、

私がなんとかするから、

だから生きていて……とも言えなかった。


結局、最悪のときは、

夫の『延命治療は望まない』という意思を

尊重することになった。


それしか方法がなかったから……泣泣


 (つづきます)