連敗
毎日王冠惜敗により得意の府中でのG1競争2戦が
ウオッカの真骨頂を図るためにも負けられないこととなり
天皇賞秋当日を迎える
1番人気はウオッカ、最終的に2.1倍のオッズで
ファンは、連覇の夢を後押しする
対抗人気は、今年春重賞2連勝し
前走のオールカマーこそ3着に惜敗したが
得意の府中で巻き返しを図る上がり馬シンゲンと
前哨戦の京都大賞典を快勝し復活の狼煙を上げる
昨年の菊花賞馬オウケンブルースリだった
その他にも夏のグランプリの覇者ドリームジャーニー
毎日王冠でアッと言わせたカンパニー
朝日CCを勝ちようやく本調子を取り戻してきた
昨年の皐月賞馬キャプテントゥーレ
昨年のJCの覇者スクリーンヒーローは
宝塚記念からのブッツケ本番も
初ブリンカーを装着し一発を狙っている
1年半の時を超えての復活エイシンデピュティ
不得手の府中もオールカマー3連覇と
存在をアピールする2年前のグランプリホース、マツリダゴッホ
飛び抜けた馬が、いるわけでも無いようにも思えたが
GⅠ馬8頭を含むウオッカ包囲網が
ウオッカ連覇に待ったをかけるべく立ちはだかった
レースがスタートする
まずポンと飛び出したのは、内枠を利してスクリーンヒーロー
しかし大外から戸崎圭太が強引に押して先頭に躍り出る
オールカマーでは、横山典弘のまさかの逃げ戦法に
番手に控える結果となり本来の自分の競馬ができなかった
エイシンデピュティだ
2ハロン目3ハロン目と11秒台のラップを刻み軽快に逃げる
1000m通過は60秒をやっと切るほど
このメンバーで良馬場であることからスローペースといえた
ウオッカは後方内目に控えじっと脚をためる
しかしこのペースでこの位置取りは、はたして届くのか…
4角を回って最後の直線、先行する3頭
エイシンデピュティ・キャプテントゥーレ・マツリダゴッホが粘る
その外からスクリーンヒーローが襲いかかる
残り2ハロン、先行3頭をまとめて交わして
スクリーンヒーローが先頭に躍り出る
その外からカンパニーが来る、ウオッカは内で進路を探す
カンパニーの脚色がいい、スクリーンヒーローを置き去りにして
悲願の戴冠へ最後の力を振り絞る
ウオッカがようやく馬群をさばいて追い出しにかかる
しかしカンパニーとの差は3馬身
スクリーンヒーローもしぶとく食い下がる、後1馬身しかし…
ゴール板に達してもこの差を詰めることは叶わず
真ん中スクリーンヒーローにも首差及ばず3着での入線
8歳にして初のG1制覇を成し遂げたカンパニーに
驚きながらも脱帽せざるを得ない3着敗退であった
勝ちタイムは、奇しくも昨年のレコードと同タイム
そういえば4着とはいえ昨年のカンパニーの走破タイムは
タイム差なしの1分57秒2
デビューから34戦目
史上最年長となる8歳馬による天皇賞制覇の前に
ウオッカの寂しげな姿が、悲しく映った
別れと復活
秋の天皇賞敗退に陣営が最後の決断を下す
ウオッカが、かかるイメージを持たない騎手への乗り替わりを発表したのだ
平成時代の始まりからデビュー当時から
天才の名を欲しいままにしてきた武豊騎手にしてみれば、まさかの交代劇
鞍上はC.ルメールに決まった。しかしこの決断により
陣営としても正に背水の陣でのJC決戦となった
人気はやはりウオッカが1番人気を取る
昨年2番人気だった時より
ホンの少し人気を集めて3.6倍
続く2番人気は、天皇賞では追い込むも4着だったが
2ハロンの延長が好材料とされてオウケンブルースリが取る
そして今年キングジョージを勝ち凱旋門賞こそシーザスターズの4着も
BCターフを快勝して挑むコンデュイットが続く
それに続くは2連覇が懸かる天皇賞秋2着のスクリーンヒーローが
鞍上を再びミルコ・デムーロに据えて勝負をかける
そして無冠の3歳馬ながら伝説の新馬戦2着馬のリーチザクラウンが
菊花賞の汚名返上と武騎手の意地と共に一発を狙う
レースがスタートする
ポンと出たのは、エイシンデピュティ
天皇賞と違い内枠を利しての先行
かたやコンデュイットとオウケンブルースリは、後方から
エイシンデピュティが再びレースを引っ張るのか
しかしその外から武豊とリーチザクラウンが、襲いかかる
コーナーに入るところでは、敢然と先頭に立ち
レースを作っていくのは、リーチザクラウンと武豊の手綱に委ねられることとなった
快調に飛ばすリーチザクラウン
速いペースにウオッカも先行馬を見る位置
4番手と絶好の位置で折り合っていく
1000m通過は59秒丁度、少し早目のペースも
リーチザクラウンのペースで4角を回り最後の直線へ・・・
内一杯をリーチザクラウンが粘る
残り2ハロン
ここで馬場を切り裂き黄色い勝負服のウオッカが来る
抜群の手ごたえでリーチザクラウンを交わすと
栄光のゴールまではあとわずか
G1・7勝目のゴールに向かって
ルメールの手綱が激しく動く
そこへ外からオウケンブルースリが猛然と追いこんでくる
残り1ハロンでも3馬身ほどあった差が、みるみる縮まる
後100m…50m…
ゴール板に達した時には、正にハナ面を並べてのゴール
1年前の秋の天皇賞を思い起こすような全く同時にゴール
写真判定に縺れこまれた決着、暫しの沈黙
写真の文字が消える
1着のところに点った馬番は、5番
ウオッカの5番が1着
怒涛の追い込みも
オウケンブルースリが2着
2400mを走り切り
ついた着差は、昨年の天皇賞と同じ僅かに2㎝
鞍上のルメールも安堵と感激に震える
歓喜するウオッカ陣営
正に府中マイスター、正に女帝
牝馬にして日本の中央競馬G1競争の7勝目は
府中の古馬G1完全制覇の偉業達成となる
伝説となるだろう大記録の達成の瞬間だった
最後の忘れ物
JC快勝の余韻も覚めやらぬ頃
ファンの感心は、暮れのグランプリに
ウオッカが出走してくれるのかだった
秋の府中の3戦で引退といわれて
当初から有馬記念出走の予定は無かった
しかし府中マイスターとして
府中の古馬GⅠ競争の完全制覇をしたウオッカも
グランプリ制覇の記録は残っていない
叶わぬと知りながらも
ファンは出走を嘆願する・・・しかし
レース後のウオッカが鼻出血をしていることが判明
規定により1ヶ月の出走停止
つまりほんの僅かながら有馬記念の出走が
規定により不可能となってしまう
予定通り繁殖に上がり第2の馬生をスタートさせるべきと
これだけの実績を残したウオッカを労うファンの声と
来年のドバイで最後に取り残した忘れ物を取りにいくため
もう少し現役を続けて欲しいと別れを惜しむ声が入り混じる
しばしの沈黙を破り陣営が出した決断は
ドバイ遠征の決行だった
年が明けJRA賞の発表では、
ウオッカの2年連続の年度代表馬の選出が決まり
ドバイ遠征に華をそえる
ドバイでの鞍上もJCに引き続きC・ルメールとなり
2010年のドバイでの目標を
ドバイワールドカップに定める
昨年のドバイショックから
開催自体が、危ぶまれたこともあったが
世界一ゴージャスな競馬場といわれる
メイダン競馬場も無事完成し一流馬たちを迎える
昨年までの芝でのレースでなく
今回はAWでのレースに対して
ウオッカ陣営は、ステップレースとして
マクトゥームチャレンジラウンド3を選ぶ
馬場も距離も本番のドバイワールドカップと同じ
AW2000mでの競争に妹分のレッドディザイアと共に挑む
レース当日昨年のJCの覇者であるウオッカに対する
メディアの注目度も高い
幾分テンションが高く感じられたパドックでの姿も
これから始まるレースの期待感に
かき消されるようにスタートの時間を迎える
レースがスタートする
グロリアデカンペオン、ミスターブロックがポンと飛び出す
ウオッカも絶好のスタートから4番手に取り付く
レッドディザイアは後方で脚をため第一コーナーへと向かう
そのままの体勢で最終コーナーを回る
コーナー出口で少し置かれるになったウオッカが
外を回して最後の直線に向かう
内粘るのは、グロリアデカンペオンとミスターブロック
ウオッカの伸び脚はどうか・・・
ウオッカは伸びないそこへ最終コーナーでは、最後方にいた
レッドディザイアが、鞍上のぺリエの仕掛けに応えて
ぐんぐんと伸びてくる
後100m・・・50m・・・
ゴール板の直前に先頭を捉えると
僅かにしかし大金星のゴールに
真っ先に飛び込んだ
最後方からの一気にまくっての勝利に
松永幹夫調教師も驚きと喜びの入り混じった表情を見せる
勝利インタビューでも
次はどこを使うかの問いかけに笑顔で言葉をにごす
当初の予定はドバイシーマクラシック
しかしAWでこのステップレースでの完勝に
ドバイワールドカップへの出走も視野に入っていった
かたや直線失速してしまったウオッカだったが
きっと本番のドバイワールドカップでは、巻き返してくれると
日本のファンは夢と希望、そして期待を残していた
しかし一夜明けて日本のファンに届いた知らせは
ウオッカが再度の鼻出血を起こしていたというニュースだった
JC激走後の鼻出血に続き再度の出血
谷水オーナーと角居調教師による緊急会議により
ドバイワールドカップへの出走は取り消し
現役引退が決定された
突然の引退発表に嘆くファンの声が木霊する
しかしその悲しみを補って余りあるほどの思い出を
僕らは、ウオッカから貰ってきた
おつかれさま、今はただ疲れを癒し
既に決まっているアイルランドでの繁殖生活に備え
英気を養い元気に渡欧していって欲しい
そしてやがて生まれてくるだろう
シーザスターズとの2世がターフにデビューする日を待ち望み
いつの日か日本のターフに帰ってきてくれることを待ち望み
ジュニアによる伝説の続きをいつの日か書き綴れることを夢見て
ウオッカとの暫しのお別れをすることとする
さよならは言わない
ウオッカよ so long
毎日王冠惜敗により得意の府中でのG1競争2戦が
ウオッカの真骨頂を図るためにも負けられないこととなり
天皇賞秋当日を迎える
1番人気はウオッカ、最終的に2.1倍のオッズで
ファンは、連覇の夢を後押しする
対抗人気は、今年春重賞2連勝し
前走のオールカマーこそ3着に惜敗したが
得意の府中で巻き返しを図る上がり馬シンゲンと
前哨戦の京都大賞典を快勝し復活の狼煙を上げる
昨年の菊花賞馬オウケンブルースリだった
その他にも夏のグランプリの覇者ドリームジャーニー
毎日王冠でアッと言わせたカンパニー
朝日CCを勝ちようやく本調子を取り戻してきた
昨年の皐月賞馬キャプテントゥーレ
昨年のJCの覇者スクリーンヒーローは
宝塚記念からのブッツケ本番も
初ブリンカーを装着し一発を狙っている
1年半の時を超えての復活エイシンデピュティ
不得手の府中もオールカマー3連覇と
存在をアピールする2年前のグランプリホース、マツリダゴッホ
飛び抜けた馬が、いるわけでも無いようにも思えたが
GⅠ馬8頭を含むウオッカ包囲網が
ウオッカ連覇に待ったをかけるべく立ちはだかった
レースがスタートする
まずポンと飛び出したのは、内枠を利してスクリーンヒーロー
しかし大外から戸崎圭太が強引に押して先頭に躍り出る
オールカマーでは、横山典弘のまさかの逃げ戦法に
番手に控える結果となり本来の自分の競馬ができなかった
エイシンデピュティだ
2ハロン目3ハロン目と11秒台のラップを刻み軽快に逃げる
1000m通過は60秒をやっと切るほど
このメンバーで良馬場であることからスローペースといえた
ウオッカは後方内目に控えじっと脚をためる
しかしこのペースでこの位置取りは、はたして届くのか…
4角を回って最後の直線、先行する3頭
エイシンデピュティ・キャプテントゥーレ・マツリダゴッホが粘る
その外からスクリーンヒーローが襲いかかる
残り2ハロン、先行3頭をまとめて交わして
スクリーンヒーローが先頭に躍り出る
その外からカンパニーが来る、ウオッカは内で進路を探す
カンパニーの脚色がいい、スクリーンヒーローを置き去りにして
悲願の戴冠へ最後の力を振り絞る
ウオッカがようやく馬群をさばいて追い出しにかかる
しかしカンパニーとの差は3馬身
スクリーンヒーローもしぶとく食い下がる、後1馬身しかし…
ゴール板に達してもこの差を詰めることは叶わず
真ん中スクリーンヒーローにも首差及ばず3着での入線
8歳にして初のG1制覇を成し遂げたカンパニーに
驚きながらも脱帽せざるを得ない3着敗退であった
勝ちタイムは、奇しくも昨年のレコードと同タイム
そういえば4着とはいえ昨年のカンパニーの走破タイムは
タイム差なしの1分57秒2
デビューから34戦目
史上最年長となる8歳馬による天皇賞制覇の前に
ウオッカの寂しげな姿が、悲しく映った
別れと復活
秋の天皇賞敗退に陣営が最後の決断を下す
ウオッカが、かかるイメージを持たない騎手への乗り替わりを発表したのだ
平成時代の始まりからデビュー当時から
天才の名を欲しいままにしてきた武豊騎手にしてみれば、まさかの交代劇
鞍上はC.ルメールに決まった。しかしこの決断により
陣営としても正に背水の陣でのJC決戦となった
人気はやはりウオッカが1番人気を取る
昨年2番人気だった時より
ホンの少し人気を集めて3.6倍
続く2番人気は、天皇賞では追い込むも4着だったが
2ハロンの延長が好材料とされてオウケンブルースリが取る
そして今年キングジョージを勝ち凱旋門賞こそシーザスターズの4着も
BCターフを快勝して挑むコンデュイットが続く
それに続くは2連覇が懸かる天皇賞秋2着のスクリーンヒーローが
鞍上を再びミルコ・デムーロに据えて勝負をかける
そして無冠の3歳馬ながら伝説の新馬戦2着馬のリーチザクラウンが
菊花賞の汚名返上と武騎手の意地と共に一発を狙う
レースがスタートする
ポンと出たのは、エイシンデピュティ
天皇賞と違い内枠を利しての先行
かたやコンデュイットとオウケンブルースリは、後方から
エイシンデピュティが再びレースを引っ張るのか
しかしその外から武豊とリーチザクラウンが、襲いかかる
コーナーに入るところでは、敢然と先頭に立ち
レースを作っていくのは、リーチザクラウンと武豊の手綱に委ねられることとなった
快調に飛ばすリーチザクラウン
速いペースにウオッカも先行馬を見る位置
4番手と絶好の位置で折り合っていく
1000m通過は59秒丁度、少し早目のペースも
リーチザクラウンのペースで4角を回り最後の直線へ・・・
内一杯をリーチザクラウンが粘る
残り2ハロン
ここで馬場を切り裂き黄色い勝負服のウオッカが来る
抜群の手ごたえでリーチザクラウンを交わすと
栄光のゴールまではあとわずか
G1・7勝目のゴールに向かって
ルメールの手綱が激しく動く
そこへ外からオウケンブルースリが猛然と追いこんでくる
残り1ハロンでも3馬身ほどあった差が、みるみる縮まる
後100m…50m…
ゴール板に達した時には、正にハナ面を並べてのゴール
1年前の秋の天皇賞を思い起こすような全く同時にゴール
写真判定に縺れこまれた決着、暫しの沈黙
写真の文字が消える
1着のところに点った馬番は、5番
ウオッカの5番が1着
怒涛の追い込みも
オウケンブルースリが2着
2400mを走り切り
ついた着差は、昨年の天皇賞と同じ僅かに2㎝
鞍上のルメールも安堵と感激に震える
歓喜するウオッカ陣営
正に府中マイスター、正に女帝
牝馬にして日本の中央競馬G1競争の7勝目は
府中の古馬G1完全制覇の偉業達成となる
伝説となるだろう大記録の達成の瞬間だった
最後の忘れ物
JC快勝の余韻も覚めやらぬ頃
ファンの感心は、暮れのグランプリに
ウオッカが出走してくれるのかだった
秋の府中の3戦で引退といわれて
当初から有馬記念出走の予定は無かった
しかし府中マイスターとして
府中の古馬GⅠ競争の完全制覇をしたウオッカも
グランプリ制覇の記録は残っていない
叶わぬと知りながらも
ファンは出走を嘆願する・・・しかし
レース後のウオッカが鼻出血をしていることが判明
規定により1ヶ月の出走停止
つまりほんの僅かながら有馬記念の出走が
規定により不可能となってしまう
予定通り繁殖に上がり第2の馬生をスタートさせるべきと
これだけの実績を残したウオッカを労うファンの声と
来年のドバイで最後に取り残した忘れ物を取りにいくため
もう少し現役を続けて欲しいと別れを惜しむ声が入り混じる
しばしの沈黙を破り陣営が出した決断は
ドバイ遠征の決行だった
年が明けJRA賞の発表では、
ウオッカの2年連続の年度代表馬の選出が決まり
ドバイ遠征に華をそえる
ドバイでの鞍上もJCに引き続きC・ルメールとなり
2010年のドバイでの目標を
ドバイワールドカップに定める
昨年のドバイショックから
開催自体が、危ぶまれたこともあったが
世界一ゴージャスな競馬場といわれる
メイダン競馬場も無事完成し一流馬たちを迎える
昨年までの芝でのレースでなく
今回はAWでのレースに対して
ウオッカ陣営は、ステップレースとして
マクトゥームチャレンジラウンド3を選ぶ
馬場も距離も本番のドバイワールドカップと同じ
AW2000mでの競争に妹分のレッドディザイアと共に挑む
レース当日昨年のJCの覇者であるウオッカに対する
メディアの注目度も高い
幾分テンションが高く感じられたパドックでの姿も
これから始まるレースの期待感に
かき消されるようにスタートの時間を迎える
レースがスタートする
グロリアデカンペオン、ミスターブロックがポンと飛び出す
ウオッカも絶好のスタートから4番手に取り付く
レッドディザイアは後方で脚をため第一コーナーへと向かう
そのままの体勢で最終コーナーを回る
コーナー出口で少し置かれるになったウオッカが
外を回して最後の直線に向かう
内粘るのは、グロリアデカンペオンとミスターブロック
ウオッカの伸び脚はどうか・・・
ウオッカは伸びないそこへ最終コーナーでは、最後方にいた
レッドディザイアが、鞍上のぺリエの仕掛けに応えて
ぐんぐんと伸びてくる
後100m・・・50m・・・
ゴール板の直前に先頭を捉えると
僅かにしかし大金星のゴールに
真っ先に飛び込んだ
最後方からの一気にまくっての勝利に
松永幹夫調教師も驚きと喜びの入り混じった表情を見せる
勝利インタビューでも
次はどこを使うかの問いかけに笑顔で言葉をにごす
当初の予定はドバイシーマクラシック
しかしAWでこのステップレースでの完勝に
ドバイワールドカップへの出走も視野に入っていった
かたや直線失速してしまったウオッカだったが
きっと本番のドバイワールドカップでは、巻き返してくれると
日本のファンは夢と希望、そして期待を残していた
しかし一夜明けて日本のファンに届いた知らせは
ウオッカが再度の鼻出血を起こしていたというニュースだった
JC激走後の鼻出血に続き再度の出血
谷水オーナーと角居調教師による緊急会議により
ドバイワールドカップへの出走は取り消し
現役引退が決定された
突然の引退発表に嘆くファンの声が木霊する
しかしその悲しみを補って余りあるほどの思い出を
僕らは、ウオッカから貰ってきた
おつかれさま、今はただ疲れを癒し
既に決まっているアイルランドでの繁殖生活に備え
英気を養い元気に渡欧していって欲しい
そしてやがて生まれてくるだろう
シーザスターズとの2世がターフにデビューする日を待ち望み
いつの日か日本のターフに帰ってきてくれることを待ち望み
ジュニアによる伝説の続きをいつの日か書き綴れることを夢見て
ウオッカとの暫しのお別れをすることとする
さよならは言わない
ウオッカよ so long