最近読んだ本。
柚木麻子さんの、BUTTER。
翻訳されて海外でも読まれており、人気がある作品という事で手に取ってみました 

実際に起こった事件を元にしたフィクションです。
殺人の容疑で逮捕された梶井真奈子との面会シーンで語られた、
「自分の欲望に正直に生きる」という、一見正論に思える生き方。
その自信に満ちた物言いには、思わずこちらが洗脳されそうなほど。
とにかく梶井真奈子の圧が凄いです(笑)
だけど、この人が言うそれは何か違う。
この考えをそのまま正当化してはいけない何かを常に纏っていて、それが何なのか考えさせられます。
「多様化している現代において、〇〇的という一括りにされたイメージは、何の実体も持たないものであり、
そんな形の無いものに、男も女もプレッシャーで苦しめられている」
という部分は、本当にその通りだなと。
皆、正解を求め過ぎている。
でもその正解は、即ち他人の求めている正解であるという事。
他人の正解に寄せようとする余り、
自分にとっての適量に自信が無く、目に見えるもの(形や数字)に頼りすぎて生きづらくなっている。
そういった現代社会の閉塞感や、人の内面と向き合う少し鬱屈としたお話ですが、最後は希望の見える終わり方で良かったです
色々とメモを取りたくなる作品でした。