葬儀は密葬で行われたらしく、また線香をあげることも許さない植野の母親は学校にある植野の私物は全て処分してください と伝え一切の連絡を絶ったらしい。
誰も遺影を臨むことなく学校はだいぶ早い夏休みに入った。
子供たちの間ではすっかり「学校の植野サン」の伝説が出来た。
腰から無い植野サンがアチコチ校内をさ迷い、果てに生徒のもとにやってくる…携帯が鳴って出ると
…「片方の靴を探しているの」
…「今から行くから」
…「腰から下が無いから、私の足音は聞こえないだろうけど…」
…「もうすぐ着くわ」
…「気配を感じない?
今…
あなたの後ろにいるんだけどッッ!!」
「…植野が可哀想になってきた
」ハイジは苦笑いをして呟いた。
「3本足のリカちゃんてネットで売ってたよ」
アオがにっこり言った。
「当初の予定からするとだいぶ計画は変更されるけど…」
ハイジはそう言いながら一枚のコピー用紙を出した。
『……水素』
なんだか色々書いてある。
「まぁ…あとはネットで予告して…一回は不発、何にも起きない…」
『注目を惹いて類似を狙う』
…そんな…
みんな真似するかね?
「その辺は結構、自信あるのょ」
ハイジは珍しく上機嫌で言った。
「…あ」
「ねぇ!?なんで『ハイジが原点』?」
暫く目をシバシバさせてニヤリと笑ったハイジは何気に言った。
「気になってたの?」
「だって…今流行りの『低燃費ぃ~』のハイジなら(笑)なんかわかるけど!?」
キョトンとしてすぐにニンマリしたハイジは
「小さい頃、憧れてたのよ、あのパンとチーズと…ヨーゼフに(笑)」
「本当~に中流家庭に育ってさ、本当~に普通に日常が過ぎていった…」
「今思うと…アタシを含めて昔はハイジがゴロゴロいたのかも…」
「訳わかんないッッ!!」
アオは口を尖らせて呟き小さな欠伸を一つした。
そして
「でも…多分、クララは最初から歩けたと思う」
と真顔で続けた。
「人間て昔から…構ってチャン!?」
アオの言葉に「確かに」と頷くと後は掲示板に載せる文面を考えたり順番を決めたり…
ワクワクしながら決行の日を待ったが…
結局その日は来なかった。
…どっかのワタシたち以上に…国ごと狂っている中の首謀者がミサイルのボタンに手をかけた。
「あと○分で東京に」やってくるソレになすすべもなく…
「まぁ…最初の目的が達成されたと思えば~」
と…ベルが好きな『運命のままに』に従うしかなかった。
「アタシは両親のどっちのお爺ちゃんもお婆ちゃんも知らないの…」
ハイジの原点を聞いた時に言った言葉を思い出しながらリセットを自分たちの手で出来なかったコトを少々悔やんでいた。
遠くから来たソレが少し安っぽい光と共に現れる少し前に…
「ムーのオッドアイは本当に先天性か」
とベルからメールが届いた。
…何故、今?
思いながら
「そうだよ
なんで!?」と返信したがもう返事は返ってこなかった。
そして
後は何にも聞こえなくなった。
、