ホンダS660、販売終了決定しましたね。

こういう数が出ない、高いのに利益無い、他車共用化でコストダウン出来ない車をよく出してくれたもんです。

S660に対して「軽のくせに高い!」「普通車買えるやん」「軽のくせにスポーツカー名乗るな」という人が一定数います。

はっきりいいます。軽自動車は普通車より進化した存在です。軽量化技術、低燃費技術、ダウンサイジング技術、全てにおいて優れています。ぼんやりしてても普通車は作れます。軽自動車は異常に限られた予算の中天才中の天才が血尿出しながら作り上げたものです。

ちょこちょこ書いてますが日本人は総責任者に与えられる権限が非常に少ない国です。大臣より官僚の方が力が強い政治と同じです。

責任者はエンジン課、シャシー課、デザイン課、コンピュータ制御課みたいな各々主張する部門の調整役でしかありません。「今回はエンジン課に予算取られたからシャシーの予算少なくなっちゃったごめんね、今度埋め合わせするから」的な役でしかありません。役員の顔を伺い、力を持つ各課トップをなだめすかしてまとめるだけの存在です。

ただし、大義名分があれば話は変わります。自動車評論家の福野礼一郎氏が論評してますが日本人は枠を作ってやると異常な力を発揮するのです。軽自動車枠、5ナンバー枠のように決めてこれで最高を作れ!とすると凄いものを作ります。責任者が「5ナンバーに入れるにはここはこうなる!」みたいに命令を言い切れるようになるからです。いる物に予算を付け、いらん物をバッサリ切れます。

だた残念なことにそれで爆発的ヒットを飛ばしモデルチェンジすると全体的にぼんやりした物になりがちなのです。ヒットにより開発費が増え、各セクションが各々主張、3ナンバー化により大義名分がなくなり責任者に権力が無くなり結果前よりデカく重く工夫の無い普通の車になります。

しかし、軽自動車は違います。税金優遇の確固たる枠が消えることがありません。軽自動車を作り続けていくということは開発責任者に権力があり続けるということなのです。

現在世界で軽自動車を作ることが出来るのは4社、そのうち日産は三菱を子会社にして生産してるので完全新規で参入したメーカーは無いに等しい。スズキはインドでシェアナンバーワン、ダイハツの技術はトヨタの小型車全てに関与、ホンダは高性能化で日本の軽自動車市場を席巻、と軽自動車で培った技術は本物なのです。血のションベン度数がハンパないのです。

もしS660を「しょせん軽自動車」とバカにする人がいたら言ってあげてください。

ポルシェ?フェラーリ?GT-R?そんな車、金出せば世界中誰でも買って乗れる。

S660は日本でしか買うことも乗ることも出来ない。ドバイ人がいくらお金を積んでも乗ることができない車とどっちが希少価値高いと思う?


どうぞS6オーナーさん、胸を張ってドライブしてください。

そしてこういう2度と作れない車を開発、発売してくれたホンダ、どうもありがとう!