たまに
「今の技術でSL作ったら凄いの作れるんじゃない?」
「今の技術で2サイクルエンジン作ったら凄いの作れ…」
「今の技術で…」


それ、たぶん今の技術で作っても凄いのはできません。

一つは、原理
今スポーツカーに搭載されているDCT(デュアルクラッチトランスミッション)、原理は1938年フランスにて発案。三菱GDIの嘘広告でもめた直噴ガソリンエンジンは1954年メルセデス・ベンツ300SLで実用化、ホンダが一時期宣伝してた4連スリーブはアルファロメオで既に使われてたり、そのスリーブを不要とするスリーブレスメッキシリンダーは実用化1967年。ホイールインモーターハイブリッドカーにいたっては1900年にポルシェ博士が実用化しています。

世の中の昔の天才たちによって既に原理はあるんです。できなかったのはコストダウン、周辺技術、そして世の中のニーズ。

もう一つは、技術者
仕事先の職人さんに聞いた話

「バブルの時、もうそんな古い機械で仕事すんのやめてNC入れなはれ、って言ってきた奴から潰れていったわ、ははは」

技術革新は人が楽になるように進んでいるようです。でも基本、やってることは変わりません。職人さんが持ってる経験を次世代に渡す取り組みがないといくら機械が凄くなってもたいしたものは作れません。

もう一つは、継続
自動車、二輪車で最も技術革新が進んでるのはコンピューター、タイヤやオイルのケミカル、鉄やアルミ、カーボンなどの素材だと思います。DCTにしても次のミッションの予測にAIが必須ですし自動車メーカーは人の運転と車の動きの間にコンピューターを入れて切り離なそうとしています。タイヤはケミカル素材の開発でどんどん進化しています。鉄は超超高張力鋼板が実用化されてるしカーボンやアルミなど軽量化に適した素材が進化し続けています。これらに共通するのはもともと常に進化しているものから自動車業界が恩恵を受けていることです。



結局何が言いたいかというと、一度滅んだものや開発をやめたもの、挑戦をやめたものはもうそれ以上の物はできないと言うことです。今いい素材があるから、とか今の機械加工が凄いから、とかいって一部分だけ良かろうと当時の製品を超えることはできません。

やはり大事なのは継続する意思と継続できる環境(市場含む)です。
何より大切なのは「人」!
ホンダさん、F1撤退したらあかんで!関わってる全ての人から挑戦力を奪ってはいけません。


自動車業界はこれからモーター駆動主流にしていくと発表されましたが、100年以上かけて進化させてきたエンジン技術がSLみたいに過去の遺物にならないことを願います。