母は、今、入れ歯を外している。
しわしわの口元で、ミックスジュースをストローで吸うと、痛々しい。
数か月前、残っていた下の歯3本を自分で抜いて、
血まみれになって、スタッフを驚かせた。
ベッドの柵で打って、ぐらぐらになったのかな
自然に、ぐらぐらになって、気持ち悪くなったのかな
それで、入れ歯を作ってもらったのだけれど、
二日後に、入れ歯がなくなった。
何日も、探してくださったのだけれど、見つからない。
お忙しいのに、申し訳ないなあと思った。
「入れ歯、気持ち悪くて、どこかにやってしもたんかな
」
と、言うと、妹は、看護師だったので、
「病棟で、同じこと起こったら、始末書やわ
」
と、なかなか厳しい。
どうしても、みつからないので、施設が作り直してくださった。
それからは、食事が終わると、入れ歯を預かってもらっているようだ。
その前は、肋骨にひびが入った。
私が施設に行ったあくる日がお風呂の日だった。
お風呂を嫌がって、暴れたらしい。
その翌日、胸が痛いと言うので、内科で診てもらったら、
異常はなく、胸に大きな紫斑が広がっていたので、
外科を受診することになったそうだ。
浴槽にぶつけたのかな
足腰が弱っているから、よろけて、ベッドの柵にぶつけたのかな
連絡を受けて、病院で待ち合わせた。
早めに着いたけれど、すでに、母は到着していた。
車から、車椅子のままおろしてもらった。
そして、二人で、夜間入り口から入って行った。
車椅子に座っているけれど、どうにかすると、痛みが走るようで、
「痛い、痛い、痛い~」
と、叫ぶ。
夜診なので、ずっと待たされた。
Dr.が入室していないので、診療が始まらない。
病院なので、母が好きな歌を歌うこともできず、
思い出話や息子の話などをするが、
話が、とぎれると、
「あんた、その服ええなあ。」
と、私の服を、ほめてくれる。
「ありがとう。軽くて、楽やねん。」
何度も何度もほめてもらった頃、
2時間ぐらい経って、やっとDr.が姿を現した。
やれやれ・・・
病棟の方で、患者さんを診ておられたのかな
やっぱり、レントゲンを撮ることになった。
レントゲン室でも、身体を動かすと痛むので、
技師さんに、悪態をつく。
どうにか、撮ることができた。
予想通り、肋骨にひびが入っていた。
支払いをするころに、施設から、車でお迎えに来てくださった。
母は車で、私は自転車(やっぱり)で施設に向かった。
病院で、19時に待ち合わせして、
帰ったら24時前。
どっと疲れがでた。
でも、大変なのは、母の方だ。
母は、寝るのも辛かったようで、
あくる日も食欲がなかったそうだ。
私がいったときも、座っていられないので、すぐ横になっていた。
だんだん、弱ってしまうのでは
と、心配したけれど、骨が丈夫でどんどん快復していった。
そして、昨日は、母の誕生日。
87歳になりました。