女性配送員 | 無い物ねだりの身の程知らず

無い物ねだりの身の程知らず

人が見れば決して不幸でも恵まれていない訳でもないのに、ありのままの自分を受け入れられていない私がいます。
子供の頃からずっとコンプレックスと生き辛さを抱えていた私の半生と現状を綴り、これからの自分の人生を前向きに生きられるヒントを得られたらと思っています。

私が老舗の仕出し料理店の事務員として雇われたと同時期に、シングルマザーで私と同い年のSさんが、調理場の盛付け係兼配送員として入社されていました。


今回の求人で、調理場に新しく入られたのはSさんだけで、Sさんは既存の盛付け係の女性2人と朝の7時から一緒に料理の盛付けをして、午後からは配送を任されていました。


Sさんは男性ばかりの配送員の中で、紅一点の女性配送員として、配送員兼専務のDさんから、若手のホープとして期待されていました。


そんなSさんが、ある日突然、会社に出社して来なくなりました。


「Sさんに、何かあったんですか?」


「実はね…昨日、調理場のRさんに、仕事中に怒鳴られたらしくて、その時に過呼吸を起こされて、昨日は仕事を早退しはってんけど、今日も仕事に来られへんかったみたい…」


Rさんというのは、調理場の中では一番年下で職歴も一番浅く、調理師免許を持っていない盛付け係の男性社員でした。


だけど、Rさんは社員という事もあり、自分よりも職歴が長い女性の盛付け係のパートさんよりも立場が上と思っているのか、日頃からパワハラもどきの発言をされる事があったそうです。


既存の女性の盛付け係の2人は、仕事中にRさんに怒鳴られても、慣れておられるのか、聞き流しておられた様ですが、Rさんに初めて怒鳴られたSさんは、恐怖で過呼吸になってしまったそうです。


その後、Sさんは1週間会社を休まれた後に、辞職したいと専務に申し出て来られました。


だけど専務は、その場ではSさんの辞職願を保留にして、Hさんと社長の判断を仰ぐ事にされました…