キーパンチャーの座席が固定化されてから、暫くの間、仕事中に静寂が戻って来ていました。
そんな時に、私達夜のキーパンチャーの事を色々気遣ってくれていた、採用担当者のNさんの様子が、何となく今までと違うと、私は感じていました。
私が仕事を始めてから、Nさんは殆ど毎日の様に、私達夜のキーパンチャーが仕事を終える時間まで、職場に居てくれていました。
そのNさんが、私が仕事を始めてから一年が過ぎた位から、定時で退社される日が増えてゆきました。
私の会社は、吸収合併や企業買収を繰り返して来ていた様で、それ故に、社名が何度も変わっていて、その都度、人事も異動していた様でした。
私が入社する半年前に、海外の企業に買収されたばかりだったそうで、それから二年が経ち、私達キーパンチャーには、何も知らされてはいませんでしたが、水面下では会社の形体が、また変わりつつあった様でした。
「もしかしたら、Nさん、どっかに異動しちゃうんかな?」
私は、他の人が気付かない様な事でも、何となく察してしまう所がありました。
でも、この時の私の予感は、外れであって欲しい事だったので、私は同級生の娘の古株のAちゃんに、たまらず聞いてみました。
「Nさん、近い内に異動しはるんちゃうかな?っていう気がするんやけど、何か聞いてる?」
「私は何も聞いてないけど…」
どうか、私の思い過ごしであって欲しいと、思っていました…
★★★★★★★★★★★★★★
クリスマスの次は、お正月の準備ですね。