
クイーン学院にトップの成績で合格したアンは、ホテルの音楽会で大勢の人の前に立ち、詩の暗誦をするという大役もみごとにやり終えました。
その帰り道、アンとダイアナとジェーン、3人の女の子たちは、ホテルの会場で見た、きらびやかな宝石やドレスを身にまとったセレブたちの話で盛り上ります。
そのときジェーンが、
『あなたたち、お金持ちになりたくない?』
とふたりに聞きます。
するとアンは、『あたしたちはすでにお金持ち(幸福)よ』と答えます。
それでも納得のいかないジェーンは、『ダイヤモンドは人の気持ちをおおいになぐさめてくれるものだと思うわ』と言います。
それを聞いて、アンはきっぱりとこう言いました。
とにかく、あたしはじぶん以外のものにはなりたくないわ。
この言葉、とても衝撃でした

そして、私はアンみたいに言えないや~
と思ってしまいました。でもね、よくよく考えてみると、
私がひきこもりになったのも、産後にうつ状態になったのも、夫や夫の家族との関係がうまくいかなくなってしまったのも、
じぶん以外のものになろうとしてたからなんですよね あっちゃー!(×_×)
じぶん以外のものになりたくないってすごい言葉のようにきこえるけど、
じつは、人が本来望んでる生き方なんですね

じぶん以外のものになろうとすることは、“今ここにいる自分”を否定することといっしょでした。
でも、ジェーンのように、純粋にダイヤモンドやドレスに憧れ、セレブになることを夢見て生きるのもまた、人生のよろこびなんだと思います。
ところで、アンの言葉にはまだつづきがあります。
アンはその日、マシュウ(マリラのお兄さん)が買ってくれた真珠のネックレスをつけて出席しました。
マシュウという人はとても心があたたかくて優しい人なのですが、
人づきあいがとにかく苦手で、町にでかけるときも馴染みの店で農作業に必要なものしか買わないような人なのです。
そんな人が普段行かないようなお店で、しかも女性が身につけるネックレスを買うのはどれだけ大変なことだったでしょうか。
アンは言います。
あたしは真珠のくびかざりをつけた“グリーンゲイブルズのアン”で満足よ。
マシュウがこのなかに込めてくれた愛情が、あのピンクのご婦人の宝石に負けないことを知っているんですもの。
たとえ高価なものでなくても、そこに深い愛情を感じられたら、こんなに幸福なことはないんだと、このお話は教えてくれるんです

(アンの言葉は、「世界名作劇場 赤毛のアン」から引用させていただきました。)