大阪遠征シリーズの第3段、11月4日に行われた高校野球近畿大会・準決勝の2試合目。

さて初探訪となった舞洲ベースボールスタジアムは大阪市の西、此花区にある野球場。バックネットを支える黄色いアーチ形の支柱が特徴的な外観をなしている。

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1996年開場ということなのでまだ10年ちょっとという新しい野球場。
今年から大阪シティ信用金庫がネーミングライツを取得したようだ。

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公認規則を満たす100m×122mのフィールドに10,000人収容のスタンド、照明に横長の大きな電光掲示板と設備としてはかなり立派なスペックとなっている。

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舞洲はこの野球場の他にセレッソ大阪のサッカー場や大阪エヴェッサのバスケット用体育館などもあっていわば大阪のスポーツアイランドというようなスポーツ施設街を形成している。さらにはこの球場そばにサブ球場も建設されオリックスのファームタウンにもなっているようだ。選手の宿舎「青濤寮」も神戸からこの球場そばに移転されていた。

当方はJRゆめ咲線で桜島駅から循環バスを利用してアクセスしたが電車のほとんどの乗客の方は桜島の一つ手前「ユニバーサルシティ駅」で降車される。まぁ休日ともなればそれはそうだ。逆に「終点の桜島まで行く人ってどんな人?」って感じにもなるが野球をこよなく愛する人たちです(笑)。家族連れや恋人同士などが訪れるファンタジーの世界から一つ隣の駅には全く違った世界がある。でも桜島からのバスはそういう野球を愛する人達で結構な混雑ぶりだった。

この球場は大阪の高校野球においてはメイン会場になっているのだろう。何年か前には夏の1回戦でいきなり大阪桐蔭と履正社が対戦し超満員になったというようなニュースもあった。また先日は日経大の試合でPL学園最後の主将となった梅田選手を見かけたが去年の夏、PLが最後の試合をしたのも確かこの球場だった。

前々回の投稿でも触れたが当方15年ほど前に約3年大阪に単身で勤務していたがその頃に野球探訪してみようという発想がなかったのがとてももったいなく感じる。当時長男はまだ小学校低学年で少年野球はやっていなかったので当方の「野球好き」のマインドにもまだフタをしたままの状態だったからかもしれない。

前置きが長くなったが第2試合に登場したのは滋賀の近江高校。

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夏の甲子園は12回出場、水色のユニフォームは琵琶湖カラーということらしい。近年当方にとっては滋賀と言えばこの高校という印象があるがこの前の準々決勝では今年の夏の滋賀大会決勝で敗れた彦根東との滋賀対決を制したようだ。

そして対戦するのは今回の大阪遠征で最も楽しみにしていた大阪桐蔭、このチームも初見である。この試合でも2年生にしてU-18に選抜されていた藤原選手が1番・センター。

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この選手が打席に入るたびにスタンドからは拍手が起こる。やはり期待されている選手なのだろう。それはこの藤原選手だけでなく「背番号6」ながら先発のマウンドに上がり最後まで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたこの選手も同様である。

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いろんな意見はあると思うがここ10年くらいで見れば平均的に「日本で最も野球の強い高校」はこの大阪桐蔭ではなかろうか。かつてはPL、そして現在は大阪桐蔭。現チームも期待を裏切らないタレント揃いの「強い」チームという印象を強く植え付けられた。

午前中はひんやりとした風が爽やかな感じだったがお昼が近づくにつれ気温も上がり試合前にはグラウンドにもたっぷりと水が撒かれた。しかしである…。
試合が始まるとともに天気は一変、真っ黒な雨雲に覆われると風はさらに強くかつ冷たくなり耐えられない程の寒さになってきた(>_<)。さらには途中雨も落ちてきてなんと13時半で照明に灯が入るという過酷な環境の中で試合は続けられた。

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何度も途中で帰ろうかと心が折れそうになったが目当ての大阪桐蔭、震えながらぐっと我慢の観戦。

初回先頭の藤原くんの打球はライトへのライナーも強風の中かなり戻されてライトが捕球できず。さらに4番根尾くんのライトへの詰まったフライも風に流されこれまた捕球できず…外野の選手には本当に気の毒だが風を味方にした桐蔭が初回に2点を先制。見る方も大変だがプレーする側はそれ以上に大変である(*_*)。

それでも近江の先発、1年生の小柄な左腕、林くんはよく投げた。

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まだまだ細身の選手だが緩急を巧く使った投球で強打の桐蔭打線をよくかわしたと思う。初回の2点は不運だったが4回投げて失点はそれだけ。これからもっと伸びてきそうな投手だ。

2番手で投げた「1番」背負う金城くんもいい投手。

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マウンドで躍動感があって真っ直ぐは結構スピードも感じる。変わりっぱなこそ失点したが細かな制球力が身につけばかなりやる投手だと思う、いい選手(^-^)/。

打線は7安打放つも無失点に封じられたがこちらもいい選手がいる。3番の家田くんは脚もあってセンスを感じる二塁手。

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4番の北村くんはがっちりした立派な体格、初回にヒットを放ったがファーストの守備でもなかなか元気を感じるいいプレーを見せてくれた。

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5番の山田くんは追い込まれるとスタンスを広げてノーステップ気味に力強いスイングをしてくる。

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この辺はさすが強豪校という感じだ。この近畿大会には滋賀からは比叡山、彦根東と3校が出場していたがセンバツはともかく夏はまた熱い戦いになっていくのだろう。

一方の大阪桐蔭打線はうまい表現の仕方が見つからないがどの選手がどの打順でもおかしくない、月並みだがどの選手もドラフト候補と言っていいような力強い選手がズラリ、当方のつたないコメントも必要がない…。

2番の宮崎くんは3安打。

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いわゆる2番打者という雰囲気ではない、長打力もある強打者。
クリーンアップはこの夏の甲子園でも主軸を担っていたメンバー。3番は主将の中川くん、ガッチリした体格から鋭い打球を放つ。

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5番の山田くんは180cmを超える大型二塁手、この選手もツボに入ればオーバーフェンスする力は十分にありそう。

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しかもちょっとイケメン!?
この試合に限っては最もよく当たっていた6番の井阪くんもパワー十分。

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ツーベース含む2本のタイムリーで3打点、下半身の充実ぶりは素晴らしい。
9番打者ではあるが青地くんも脚もパンチもあるいい選手。

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この試合でもタイムリーを放ったが十分に主軸を打つ力量はありそうだ。
捕手の今泉くんは強肩で走者を刺すプレーもあったがヒットを放った打撃もなかなかのもの。

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なんとなく見ていたのでタイムを計っていたわけではないがこの選手もかなり足は速い。平凡な内野ゴロでも1塁のタイミングは結構ギリギリな感じがした。運動能力はかなり高そうだ。

そういうすごい選手ばかりの中でこの試合でもっとも光っていたのは根尾くん。

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ネットで「145㎞投げるスーパー中学生」などという情報を見ていたのももはや懐かしい感じさえするが初めて見た元・スーパー中学生は評判通り、いやそれ以上の好選手だった。とにかく身体にバネがあって極めて高い運動能力を感じさせてくれる。

桐蔭はこの大会初戦は佐賀出身で「1番」を背負う柿木くんが完投、2回戦では横川くんというこれまたすごい(という評判の)投手が完投、なので順番的にこの日は佐賀出身の柿木くんが見れるかなとちょっと楽しみにしていたのだが根尾くんの圧巻のピッチングにただただ仰天(@_@。7安打は許したが16奪三振で完封勝利。確かにスピードもあるが鋭く落ちるフォーク系のボールがとても有効で三振の山を築いた。

さらに4番に入る打撃では左中間フェンスを直撃するタイムリースリーベース。

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強烈な逆風がなければ間違いなくオーバーフェンスしていたに違いない。「走攻守三拍子」という表現ではとても伝えきれないずば抜けた素質を持った選手であることは十分に感じられた。投手としても魅力的だが当方個人的には野手としての将来性が高いようにも感じた…などという下手なコメントはさらっと流していただきたい。その根尾くんの投打にわたる活躍もあって桐蔭が快勝、決勝にコマを進めた。

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そして昨日の決勝では(当方が見たかった)柿木くんが智辯和歌山を完封して秋の近畿大会王者になったようだ。

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柿木、横川、そして根尾、さらには昨年U-15にも入った中田くんという1年生の好投手もいるらしい。まさに最強投手陣、他の地区のチームを見たわけではないがこれは明治神宮大会でも有力な優勝候補であることには間違いない。秋の極寒の中、ちょっと風邪気味になってしまったが最後まで我慢してみた甲斐は十分にあった。

にしても糸島から大阪桐蔭へ進み全国制覇した中村誠くんはこういうレベルの選手たちの中で主将を務めていたのかと思うと改めて感嘆させられる。本当にすごい能力を持った選手だったのだろう。

さて「大阪遠征3連続投稿」、今回の大阪遠征ではJR東日本東北・西村投手の完全試合を見届け、最大の目当ての大阪桐蔭では根尾くんの素晴らしい身体能力を直に見ることができた。

上には上がいる。
この大阪遠征で感じたことを少しでも糸島Eの選手たちにも伝えられればと思う。