そうあれば
どんなに楽だったのだろう







天然ガス石炭原油よりも希少価値のある話







遠い遠い夏の日








俺には行かなくてはならない場所があった



この街を守る為 戦わなくてならない相手がいた






例え暑い夏がそいつを許しても俺には戦わなくてはならない相手がいた




あの街の未来はあの日 この手に委ねられていた



そう


---男の中の男である為の草刈り---






我が物顔で生い茂り続ける樹海に挑んだ暑い夏だった







先代より受け継がれる草刈り機を俺は肩にのせ


混合油を6リットル、チップソー5枚そして茶9本を両手に忍ばせ











俺のタッパの二倍はあろうかなかろうかというバカでかく生い茂る草木を目の前にしていた








なるほど



これが噂に聞いていた南九州の樹海と呼ばれる場所か






人の気配はない 静かに赤い実を覆う緑が美しくさえも感じた




くわえたタバコから吹き出した煙は樹海に吸い寄せられ草木の間をすり抜け消えていった






見上げれば天まで届きそうに伸びる草木の怪物はユラユラと揺れ


この俺をあざ笑うかのようだった






眉間のしわと こめかみの血管が 我が前頭葉を破壊したのがわかった



瞬間俺は草刈り機を引き抜き点火プラグに火花を走らせエンジンを唸らせた!!


ブィィィィンブィィィィンブィィィィン!!

いい音だ!!




最大公約数を唱えながら俺は刃を草木にねじ込んだ!!





ブジュッバサッブジュッバサッ
なぎ倒す姿 腰の回転 屈強なるふくらはぎという名の土台 勇ましき俺はまさに戦士と化した!!





水分という水分が己の穴という穴から弾き出されていく


いったいどこまで続いているのかどこまで行けば完結


しらねぇがケツまくりながらまた一歩蹴り出す




ケミカルに溺れたあの日の夜



こんにち含め全て遊びと呼ぶ




俺は踊った!!軽快なリディムで体をくねくねさせた!!ダンディズム!!そこはまさにダンスフロアと化した!!






だが
事件が起きたのは開始から6時間が過ぎようとした頃だった





「ブスッ!!!!!」

背後からの攻撃





『ヌグゥアアッ  アッアッ』

思わず腰から崩れ落ちた

白目をむきながらも黒目を探しながら俺は後ろを振り向いた


 つづく













そう



今日というかけがえのない日はわしの足の指を粉砕していった




大切ものを失って






心までも粉砕しかけた




しかしわしはまだくだばっちゃいねえ






終わってねえ





いや始まってねえんだよばかやろお









忘れねえ






忘れねえんだよばかやろお







安全タビを履いていても時としてコンクリートに負ける事もあるって事をな




そう



コンクリートは鉄板さえも砕く




その事を身を持って経験できたのなら






安いもんだ   足の一本くらい





まあ2ヶ月もすれば普通に歩けるようになるだろうよ



それまでは誰にも悟られちゃあいけねえ






足元見られちゃ尚なれねえ





そんな人生イコールわしなんだよお






こわいものなんて何もねえんだよ



とれるもんならとってみらんかい






黄色い風船見えた時から誰よりも自由に生きてきとるんじゃあ





何を今更アンパイなんてヘドだヘド





ぶえっ








わしは鉄板もコンクリートも砕く男になるんじゃあ







命かけて天下とりにいっとるんじゃあ







明日は燃えないゴミの日じゃあ




袋をコンビニに購入しにいくんじゃあ












wish!!


皆の衆元気でしょうか



ゴールデンなウィークエンドの空は神々しく輝いていますか




あの日の空はまだ晴れ渡っていますか




あの日流した涙は乾いてますか






皆の衆はバーベキューという行事をご存知ですか


私は存知です




基本的に週末はバーベキューがお決まり剥き出しの本能さみだれはあんず色です




みんなでドラム缶を改造しながら世界最強のバーベキューセットを作り上げるのが私共の夢であり責務であります




来る日も来る日も馴染みある同じ道を行ったり来たり最強とは何かバーベキューとは何か




苦悩にもがき 頭をかかえる連日連夜 鉄粉は肉体に突き刺さり 降り注ぐ火花に汗をにじませる 


それでも




それでも




こんなに強い自分が いることに気づいたのは この道が誰でもない 自分で選んだ道だから






バーベキュー 
我が生きる意味この道にあり





立ち止まる事は許されません










一瞬の気の緩みはすなわち死を意味します






すべては覚悟の上突き進んでみせます








ありがとう


私共の戦いはまだまだ終わりません








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