昨晩、会社の近くのあるコンビニに入ろうとしたら前からフラついている女性がニュルッとあらわれた。
すると彼女はそのまま脇に止まっている自転車に足を引っ掛かけダイナミックに目の前まで転げこんできた。
「大丈夫ですか。」と声を掛けた瞬間に何だかベタなドラマのワンシーンが頭に浮かんだ。
恋はじまるなこれ。そう思ったのもつかの間。
彼女は声を荒げ起き上がり、
「ちょー痛いわー。どうしてくれんの?まじ死ね。」とすかさず毒を吐く。
完全にこっちが原因で転んだと思っている。否定しなきゃ。
だがしかし女性にここまでのことをまじまじと言われると脳が停止するもんだ。
何故だか否定もできずにただ倒れている自転車を起こし始める。
その後も彼女の口からは「死んで…」が連呼されるので、
これはやっかいなことになる前にコンビニに非難だとその場を後にした。
しばらくして買い物を終え事故現場に戻ると、
そこには綺麗に脱ぎ捨てられた靴だけが床に置かれている。
まさか、「死んで…」は「死んで…やる…???」
一瞬怖くなったが、その1秒後に横道のマンションの裏口に座りこむ先ほどの女性を発見する。もちろん裸足だ。とりあえずホッとする。
そしてよく見るとムシャムシャ何かを食べていたのだ。
何かはわからないが地べたに座りこみ、素手で豪快に食らいついていたのだ。
靴発見時よりさらに鳥肌が立ったが、
とは言え心配なので靴を返却しに近づいてみた。
近づくと何を食べていたかがわかった。マカロニだ。
何故だかマカロニサラダを素手で食べていた。
いろいろとツッコミを入れたかったのだが、そこは我慢して、
靴をそばに置き、さっきは言えなかった「あなたは勝手にこけましたよ」
という一番伝えたいことだけを捨て台詞に残しすぐさま立ち去ろうとした。
すると、「知ってるわ!」と返事がくる。
そして急に、起き上がりたかったのか僕に手を差し伸べてきた。
マヨネーズがべったりついている手で。
ためらいはあったがこれはもはや介入した自分が悪いと思い
マヨネーズの代償を引き受けた。靴も履かせた。
彼女は心なしかお礼を言いたがっているようにも感じたが、
どうもプライドが高いようだ。
その代わりに最後に残ったマカロニサラダをくれた。
これがうわさのアルデンテか。否ツンデレか。
いやむしろゴミ処分としての意味合いが強かったと言えよう。
最後にそのゴミをコンビニに捨てにいったら看板がふと目に入り彼女の言葉を代弁した。
「サンクス」