これはあるホームレスのはなし。3
あっというまに、明日はクリスマス。
今日は、まちの人たちもわくわくがピークとなり、
明日のために早く寝るようです。
そんな晩に、彼は思いつきました。
どうもわるい考えのようですが・・・
・・・俺もクリスマスをし よう。
・・・どうせ、明日の晩には、どれもこれもゴミ箱の中にいくものだ。
・・・それなら先にいただいちゃおう。
・・・今夜はみんな静かだし、こっそりいただくには絶好の日だ。
さっそく、彼は目にとまったある家に忍び込むことにしました。
玄関をガチャ
もちろん開きません。
裏にまわって窓をガチャ
こっちももちろん開きません。
もうちょっと家のまわりをまわって、小さな窓をガチャ
開きました!
彼はおそるおそる家に入ります。
つづく。
これはあるホームレスのはなし。2
さむくなったころのことです。
なんだかいつもいる場所が華やかに飾り付けられ、まちをゆく人々がわくわくしているようになってきました。
クリスマスです。
彼はクリスマスがきらいです。
彼の動く場所も、とまる場所も、どこもかしこもきらびやかなクリスマスだらけ。
着飾ったまちの中では、彼のみすぼらしさが際立ってしまうし、
ゴミ箱のなかにはクリスマスの世界はないのです。
「神様だかなんだかの誕生日のくせに 、なんで皆があんなにお祝いしなきゃいけないんだ!」
つづく。
これはあるホームレスのはなし。1
これは、あるホームレスのはなしです。
彼のなまえはわかりません。自分でも忘れてしまったようです。
そんな彼だから、もちろん年もわかりませんし、これと決めた仕事もしていません。
彼の髪と髭はモジャモジャで、服はボロボロ、住処は決まっておらず、
食べるものはゴミ箱に捨てられただれかの食べカスです。
そんな彼ですが、自分のことは、まぁこんなものだ、と思っているので、
毎日生きていく分にはなんの問題もありません。
つづく。
