「萌ちゃんは気づいてないと思うんだけどさぁ‥‥」
うちでお夕飯をいただきながら、カレが深刻そうな顔で言うものだから何事かと驚きました
「何‥‥? どうしたの?」
その後のカレの言葉が予測不能すぎて、恐る恐る聞いてみます
「あのさ、このあいだ気がついたんだけど‥‥」
「うん‥‥」
おもむろに立ったカレを見上げて、次の言葉を待つわたし
「ここにさ‥‥
穴があいてるんだよね」
足を広げると、デニムの股に5-6cmの穴
カレの情けない恰好とその大きな穴に、思わず吹き出します
ポケット等ならすぐに「縫おうか?」と言うのですが、デニムの股を綺麗に縫える自信がありません
「普通に立っている分には見えないよね?
電車で大股を開いて座らない限り見えないから、大丈夫だと思うんだけど‥‥」
「そもそも数日前に気づいたなら、なぜまた穿いてくるのか?」と問うと、「忘れてた」と一言
「気づかれたら、指摘されたりするかなぁ?
『穴、あいてますよ』って」
「それが女性だったら、誘われてるね」
「男だったら‥‥?」
「それも誘われてるかも‥‥」
「なんだ、モテモテじゃーん」と散々ふざけた後、カレは内股気味で帰路につきました
次回また同じデニムを穿いてきそうで、怖いです
