「いまね、白い家が見えてる‥‥」
ビールと日本酒で心地よくなり、ふたりで横になっていると、
カレが目を瞑りながら超ウィスパーな声で話し始めました
「白くて、マシュマロみたいにふわふわしていて‥‥
上から見ると長方形で、煙突があって、窓もあるお家」
カレは、夢のような光景を見ながら、その光景について話すことがよくあります
「あ、柴犬もいる‥‥」
「いいねー。
じゃあ‥‥そこに、一緒に住んでくれる?」
「うん。
いいけど‥‥
そこ、月だよ。
だから、お散歩できないよ」
「そっか。
じゃあ、やっぱり地球のほうがいいね」
「そうだね」
‥‥私たちは、いったい何を話しているのでしょうか 笑
しばらくすると、またカレが話し始めました
「ねぇ。
このあいだ萌ちゃん家に来たとき、
俺、和菓子持ってこなかったっけ?」
「和菓子?」
「うん。白くて丸い、どら焼きみたいな‥‥」
カレは、そのような和菓子も、それに近い和菓子も持ってきていません
寝ぼけてるな‥‥と思いつつ、話を進めます
「ううん、持ってきてくれてないよ」
「あれ?
えっと‥‥その和菓子には‥‥
ひとつは『柄』という字が刻印してあって‥‥
もうひとつも同じ漢字が書かれていて‥‥」
「うんうん」
「あと3つは‥‥
ノーヒント」
ノーヒント!?
私はいつからクイズを出されていたの?
私が笑っていると、
「あれ? なんか間違えた。おかしいね」
とカレも笑い始めました
相変わらず、愉快なお方です
