THE ENID 【Touch Me】 | 音楽好きの備忘録。

音楽好きの備忘録。

音楽ド素人のアルバムレビューブログ。
プログレッシブ・ロックを中心に音楽を聴きます。
紙ジャケットCDが大好物。
ゆる~くやっていきます。


 

どうも〜(^o^)ノ

なんか久しぶりの更新な気がします。

そんなにブログ書くのサボってたつもりはなかった(笑)んですけど、気づけばもう10月の終わり...。

朝夕だいぶ涼しくなってきて、秋だなぁと感じますね。

地元の山では恐らく初冠雪がみえる時期じゃないかな?と思いつつ、日曜日の午後を過ごしてます

 

 

さて、今回のToday's Musicですが、懲りずにプログレで行きたいと思います♪

半年ほど前にここで紹介したシンフォニック・ロックの名盤「エアリー・フェアリー・ナンセンス」に続く、ジ・エニドの作品について書いてみたいと思います。

 

※「エアリー・フェアリー・ナンセンス」の記事はこちら!!

[THE ENID 【Aerie Faerie Nonsense】]

 

ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーのバンド体制でありながら、オーケストラ宛らの格調高い曲作りが特徴のエニド。今回取り上げる作品も、最早ロックの域にとどまらざる素敵で壮大な世界観が印象的です。

 

 

 

 

 

 

 

1979年発表/The Enid

 

『 Touch Me (邦題 : タッチ・ミー)

 


***** List *****

 

1 . Humouresque

2 . Cortege

3 . Elegy (Touch Me)

4 . Gallavant

5 . Albion Fair Part 1

6 . Albion Fair Part 2

 

*************

 

 

 

 

エニド2ndの「エアリー・フェアリー・ナンセンス」で聴かせたシンフォニックなサウンドは、この3rdアルバムにも受け継がれています。2ndより更にクラシックに近接しており、一聴しただけではほぼオーケストラに思えてしまうほど。ロック的な盛り上がりやカタルシスは影を潜め、叙情美と構築美をこれでもかっ!と聴かせるアルバムになっています。シンフォニック・ロックファンには堪りません♪

 

 

冒頭のHumouresque『one, two, one-two-three-four!』とエニドにしては珍しくカウントから入る曲。のっけからエニド節が炸裂する、とんでもない完成度を誇る曲です。ホント、ここまで来ると「ロックって何?」と思ってしまうほど、クラシカルで優美なサウンドが聴けます。

シンセサイザーがメインになっていますが、要所要所で絡んでくる粘っこい音質のギターがまた素晴らしい。クラリネットのような音(シンセなのか生音なのかわかりません...。)も伸びやか且つ軽快な印象でGoodです!

特に3:15を過ぎた辺りのアンサンブルの盛り上がりは、エニドの目指すサウンドの一つの達成点になっているのではないかと思います。ボルテージが徐々に上がっていき、頂点に達したところで主題が提示される。クラシックの常套ですが、美しさと力強さがバランスよく調和した音についウットリ聴き入ってしまいます。変拍子のリズム、転調を重ねながら、ラストはしっとりピアノで締める。

『一曲目にしてこの完成度だったら最後の組曲「Albion Fair」はどうなっちゃうのよ!笑』とワクワクせざるを得ない曲です♪

 

 

二曲目のCortegeはドラムがフィーチャーされた曲。ドラムの紡ぎ出すビートにギターとコルネット(これもシンセか生音かわからない...。)のメロディーが絡む、どこか異国情緒を感じさせる曲。そして、転調したかと思うとギターとシンセが華美なメロディーを奏でます。全く対立する2つのテーマが交互に演奏される中々実験的な曲ですが、違和感なく聴かせてしまうのは流石エニドといった所。

 

 

三曲目Elegy (Touch me)はエニドのリーダー、ロバート・ゴドフリー氏お得意のピアノによる小品。

アルバム中最も短い曲ですが、ピアノによる甘いメロディーと管楽らしいサウンドたちの調和は最早古典音楽の風格さえあります。

嫋やかに綴られていくふくよかなピアノに、シンセサイザーの厚みのある音が重なり、ゆったりとした音空間が作られています。シンプルなサウンドながら、アルバムの白眉となる曲です。

 

 

四曲目Gallavantは一転して、ロックらしい力強いサウンドを聴かせます。

前作「エアリー・フェアリー・ナンセンス」収録のChilde Rolandのようなイメージ。ドラマチックに響き渡るシンセの音色が格好いい!! "ロックらしい”と書きましたが、そこはあくまでエニド流。シンフォニック色の強い流麗なメロディーと曲展開は圧巻です。

 

 

そして、アルバム末尾を飾る組曲Albion Fair

第一楽章は恐らくインプロヴィゼーションでしょうか?全編即興的に演奏されたような感じがします。静けさが漂うドローンミュージックの雰囲気もある、エニドの楽曲の中では結構異色な作品だと思います。

オーケストラでいう演奏前の調律中の音のようなイメージで、第二楽章への溜めの曲といったところでしょうか。

そして第二楽章、綺羅びやかなシンセのリズムが聴こえてきたかと思うと管楽を思わせる音色が軽やかに響き渡ります。ベース、ギターがメロディーを飾り、シンセが伸びやかに主題を提示する。特に印象的なのは、ドラムの使われ方がティンパニ的なところ。正にクラシックを思わせる雷鳴のようなサウンドの風格ったらすごいです。ショスタコーヴィチもビックリな音作りです(笑) 終盤に目立つチャーチオルガン風の音色も、荘厳さを感じさせる美しさを持っています。

主題をアプローチを変えつつ何度も表現する構築美を感じさせる曲で、ゴドフリー氏がマーラーの影響を強く受けていることが伺えます。

2nd収録、エニドの代表作とも言われている組曲「Fand」に肩を並べる程の傑作であると言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

 

シンフォニック・ロックの最右翼。

ロックの域に逗まることを知らないクラシカルなサウンドは、他の追随を許さない独自の世界を構築する。

ロマン派を思わせる流麗なメロディーに酔いしれる、ジ・エニドの一つの頂点。

 

 

 

 

エニドはこの3rdアルバムまでしか聴いたことがありませんが、1stからクラシカルさという点は一貫しています。

このアルバムが発表された当時、音楽界ではパンク・ロックが流行し、メッセージ性をもたせた音楽や組曲等のような長尺な曲を目指す『プログレッシブ・ロック』は衰退の一途を辿っていました。

そんな中、独自のシンフォニック路線を突き進み、ロックの音楽性を「クラシック」に昇華させた唯一のバンド、それがエニドです。売れ線を念頭に置くことなく、レーベルとの確執をも歯牙にも掛けないエニドの姿勢は、威風堂々という言葉が相応しいと感じます。その堂々とした姿勢はサウンドにも現れており、前作収録の「Fand」や、本作収録の「Albion Fair」にみられる長尺な組曲は、エニドの挑戦であり、また努力と規律の結晶だと思います。

 

エニドの様に時代に流されることなく、ぶれずに自身の作品を作り上げたのには、気高きアーティスト精神を感じます。

因みにエニド、現在も現役です。まだまだ彼らの挑戦は続くようです...♪

 

 

今回も駄文&長文となってしまいました(汗)

最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます!!お疲れ様でした^^

懲りずにまだまだToday's Music続けていきます♪

 

 

 

2018.10.28 written by masato