昨日、完結巻が発売されてひと段落?した感じがあるので、全20巻で、ひとり好きなシーンランキングでも勝手にやってみようと思ったんです。ベスト10とかね、楽しそう〜思ってそのために読み返したら10じゃ足りないなって気づきました。好きなシーンばかりで収拾がつかなくなってしまったので一冊につき一番好きなシーンを1〜2シーンあげることにしました。
あくまでもわたしの好みで、わたしの解釈です。
 

一巻

 

 休みなく訪れる患者に対応していたら疲れ切ってしまい、思わず井戸に飛び込んだコレットさん。気がつけば冥府で、彼女が薬師だと知ったガイコツ達に連れて行かれた王の閨。そこには全身に発疹があり寝込む冥王ハデス様がいました。

 

 ここでまで働かなきゃなんないのか…とブツブツ言いながらも治療を施します。薬を塗ったり熱をみたりしながら、体調が悪いのにも関わらず頑張るハデス様を見ていて、なぜそんなに頑張れるのか、と問いました。自分は頑張れなくて辛くて井戸に飛び込んでしまったから。

 

 ハデス様はこの問いに応える形で、死後裁判で「善」と判断した魂が住まうアスポデロスへ連れて行ってくれました。

 アスポデロスは、善と下した者達の安寧を約束している場で、彼らがいる限り自分を見失わないし、ここを守るためなら痛みも孤独も堪えてみせるのが冥王だ、と言い切ります。ハデス様孤高すぎる…神……

 

 すると一人の魂が話しかけてきます。自分は生前、薬師さんにお世話になったんだよありがとう、と。今は笑っていられるよ、と聞いて、怪我をしたり具合が悪くて診療所に押し寄せる患者の声に紛れて、あったであろう「ありがとう」の声を聞き逃していた事に気が付きますが、時すでに遅し……

 

 じゃなかったんですね〜!地上へ帰る決断をしたコレットさんを地上へ送った際にハデス様が放った一言、これはたぶん、コレットさんの生き方にものすごく影響したんではないかしら、と今は思います。

 

 

 コレットさんは胸を張って薬師として生き切ったわけですし、このお話の原点的なセリフじゃないかしらって思っています。一話です。

 

(画像:「コレットは死ぬことにした」幸村アルト著

 

二巻

 

 冥府の薬師となったコレットさんは、冥府の針子と仲良くなります。彼はハデス様のお衣装を作ることが生き甲斐だったけど、長いことお出かけもしないから服を作れてない、と落ち込んでいました。針子の仕事に誇りを持っていて、彼のその気持ちが報われるには、と考え、ハデス様を天界の宴へ行ってはどうかとプレゼンします。

 

 プレゼンは見事成功して、ハデス様は新調の衣装で天界へお出かけします。よかったね、と喜び合うコレットさんと針子のハリー(コレットさん命名)。

 

 お出かけ先は姉である豊穣の女神・デメテルの開催する宴で、久しぶりに来てくれたと喜ぶ姉。「(家来ではない者に)世話を焼かれたのだ」とこぼした一言で、寡黙な弟にお気に入りの人間がいるのだと気づかれてしまいます。冥王の寵愛が欲しいのに死者の国が怖くて動けない女神が大勢いる中、人間が冥王の世話を焼くなんて、と。そこで、冥府を怖がりもせずやってきてはガイコツと顔を寄せ合って笑うコレットさんの姿を思い出して、フフるハデス様。

 

 久しぶりの天界よりもコレットさんに会いたくなっちゃったハデス様が地上に来てみれば、なんとコレットさんは泣いているではないですか?お前の顔が見たくなった、と言われ、泣きながら「こんな顔ですけど」と。

 

 

 このあたりからハデス様の心の中にコレットさんへの思いが芽生え出したんだと思います。でも気持ちには無自覚なのに抱きしめちゃうとか罪作りですよねっ。

 

(画像:「コレットは死ぬことにした」幸村アルト著

 

 

三巻

 

 二巻で関わったハデス様の弟・ゼウス様が、コレットさんをとある理由で天界へ連れて行きます。はじめは反対していたハデス様も、やっぱりコレットさんが心配で特別に加護を与えて送り出してくれました。

 

 天界で短期間のバイトをしつつ、行ける時は冥府に顔を出すコレットさんは、ハデス様の様子がおかしい事に気が付きます。薄暗く冷えた場所で頭を冷やしている、というハデス様。こんなところにいたら身体も冷えちゃう!と、強引にお風呂に連れて行き、天界で分けてもらった薬湯の素を湯船にぶち込んで、自分にも加護が使えたらいいのに、とこぼします。これまではああして自分を押し込めて守ってきたんだろうけど、家来達みんなもあなたを守りたいんだよって、ハデス様の浸かる湯船脇に置かれた衝立越しに願うのです。

 

 こうしてお風呂に連れてこられ、身体だけでなく心も解れてきたハデス様。眠れない夜に枕の下へ手を入れればコレットさんが置いていったポプリがありました。城内を少し歩けばコレットと関わることで明るくなった針子、ハデス様用にコレットが作り置いていった不眠に効くお茶を出してくれたシェフ。彼らは口々に、今のハデス様は雰囲気が柔らかくなった、前のようになった、と言います。

 

 あちこちにあるコレットさんの気配。寡黙で何ものにも揺るがなかった孤高の冥王の中で、人間の薬師の存在が大きくなりだしてますフンスフンス

 

 冥府の王となったことで、休日を潰して誘いを断り交流も全て絶ち、天界の住んでいた島は壊し、不死なので体の不調も気にしなくなった。それこそが冥王なのだと誇りにしてきたけど、それらは捨てなくてよかったのだと気づきます。泣けるの、このエピソード……。いい……。

 

 

 ハデス様が捨ててきたものを一つずつ拾い集めながら駆け寄ってくるコレットさんに、コレットさんが来ない日も冥府に彼女の気配を感じるってとってもなんだかキュンですよね…思いながら眠りにつくハデス様の愛しさと切なさと心強さと!

 

 翌日、仕事を終えて戻ってみれば、家来達と談笑するコレットさんがいました。彼女の姿を見て、ハデス様は「忘れられない花」を探してほしいと頼ります!なんでも一人で抱え堪えてきたハデス様が、人間の娘に忘れられない大事な花を探して欲しいと!

 

 はるか昔に咲いていた花が今もあるかはわからないし、ゼウスに言えばすぐに見つけてくれるはずだけど、この思いを「託すならお前がいい」と!あれですよ、この時の花は後々も出てくるキーになる花なのです!ムネアツ!!!

 

 そんなに大事な花を探して欲しいと頼まれた事が嬉しくて、ハデス様の笑顔がもっと見たくて、独り占めしたくて頑張るコレットさん。もうはやく好きだって気づいて〜!!勝利の女神ニケやゼウス夫妻、アポロンのニンフ柊ちゃんを巻き込んで無事に見つけることができた花は、変わらずそこにありました。その花との出会いを聞き、花の場所はおろか、今日の全てはわたしとお前だけのものだ、と。特別感が嬉しいんですよね✨

 

 ここ、ギリシャ神話のエピソードが絡んでいますからね。黄水仙、崖の上、ハデスが地下から来る…!

 

(画像:「コレットは死ぬことにした」幸村アルト著

 

そういうわけで

 

一巻から三巻までの、わたしの一番好きなシーン・エピソードでした。

 

次は四巻から六巻あたりまでを考えています。

 

ではまたね〜