石川達三
誇りを保つためには常に現状維持が必要な条件であった。

金に代えようと考えるから偽とか本物とかいうことが問題になる。

孤独を自分で感じたくない、その孤独から自分が逃れたいために、身の程知らずの大尽風を吹かせて高い勘定を払ったり…

演技だからこそ出来た。本心からならば出来るものではない。

詩人の待っていたものが私には解らない。私は何を待ってたらいいのか自分で解らない。詩人は蛇のように静かに、何気ない顔をして、明日の何かを待っている。静かな咳をしながら、河童のように眼を光らせ、ぼさぼさの髪をかき上げながら、人生の運河のほとりで何かを待っている。その運河から、何も来はしないと私は思う。山名は何かを信じている。なにものをも信じないこの自由なる詩人が、明日来るものを信じてゆったりと待ちつづけている。