【お知らせ】と「第163回小出裕章ジャーナル」 | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

【お知らせ】と「第163回小出裕章ジャーナル」



【お知らせ】

比較的長い休暇が取れましたので、急遽、長期旅行をしてこようと思います~ヽ(´ー`)ノバンザーイ
旅行資金が低予算ですので、行き先は…( ̄∀ ̄;)
↓これらを見に行きたいと思います(^-^)/

祖谷渓の小便小僧
ここはどこでしょう?( *´艸`)

大洲市 旧加藤家住宅
ここはどこでしょう?( *´艸`)


ということで、ブログをしばらくお休みしますm(_ _)m

旅行記はここメインブログで紹介しますね~(^0^)
出来れば、遅ればせながら「母誕生日記念 北海道旅行」も併せてご紹介したいです~(;^ω^)


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元北海道警・悪徳刑事の告白
~メディアの前で初めての“恥さらし”~

(ラジオフォーラム#163)
稲葉事件 - Wikipedia

https://youtu.be/KtSwoF3ThUw?t=15m43s
15分43秒~第163回小出裕章ジャーナル
原発と司法「私が少なくとも関わった裁判では、どんなに安全性論争をして原子力発電所が危険だということを立証しても、結局は裁判では勝てないということでした」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no163/
大飯原発仮処分・高浜原発保全異議不当決定
今西憲之:
今日は大飯高浜原発の差し止め却下、そして再稼働についていろいろ伺っていきたいと思います。福井地裁は昨年の12月24日関西電力高浜原発の3・4号機の運転を差し止めた4月の仮処分決定を取り消しました。簡単に言いますと、関西電力の異議を認めたということになります。先月1月29日、高浜原発3号機は残念ながら再稼働してしまいました。また大飯原発の3・4号機についても、運転差し止めを求めた仮処分申請を却下しています。安全性ですとか、責任の所在、ようわからんまま差し止めが却下されました。司法は福島第一原発の事故をどない思ってるのか、何を学んだのかなぁと思えてなりません。

1号機原子炉建屋周辺の高線量ガレキの状況

小出さん:
私自身は原子力の問題にずっと関わってきて、裁判で安全性というものを争ったこともかつてはありました。しかし私が少なくとも関わった裁判では、どんなに安全性論争をして原子力発電所が危険だということを立証しても、結局は裁判では勝てないということでした
高浜原発保全異議決定文全文
そのため私は、原子力というものに関する限りは、裁判いわゆる司法は独立していない、日本には三権分立というものはないんだというように思うようになって以降、原子力に関する限りは裁判に関わらないようにしてきました
しかし、一昨年の5月に大飯原子力発電所の差し止め裁判の判決が福井地方裁判所から出されて、その判決では原子力発電所というのは巨大な危険を抱えているし、万が一でも事故を起こしたらば人々の生活が破壊されてしまうので、原子力発電所は動かしてはいけないという、実に画期的な、私から見るとまっとうな判決が出たのでした。
大飯原発3,4号機運転差し止め訴訟 福井地裁判決
続いて高浜原子力発電所に対しても、樋口裁判長というのですが、その方が再稼働させてはならないという判決を出してくださって、日本でもまだ司法が生きていたのだな、少しは希望があるのだなと私自身は思いました。
樋口英明裁判長
しかし結局は、樋口裁判長は家庭裁判所に更迭されてしまうということになりましたし、最高裁が送り込んできた別の裁判官が再稼働してもいいというような判決を出してしまったわけです。「ああ、本当に日本という国では裁判というものはまだまだなんだなあ」と改めて私は思いました

小出裕章ジャーナル

今西:
はい。安全対策上、想定すべき最大の地震の揺れの強さ、その揺れや津波に対する関西電力側の対策、そして使用済み燃料棒の保管の危険性。福井地裁はどの部分をとっても原子力規制委員会の審査に不合理な点はないとして、原発が周辺住民の人格権を侵害することはないという認定をしました。が、福島第一原発の事故を見ても、とてもそのようには思えません。本当に安全は確保されているのですか?

新安全基準で義務付けられる対策

小出さん:
そのことが問題なわけですが、これまでももちろん原子力発電所に関しては、さまざまな基準があって、その基準に適合するかどうかを厳重に審査した上で原子力発電所の安全性を確認して認可してきたと、国の方は言ってきたわけです。
人格権否定と反科学
しかし残念ながら、福島第一原子力発電所の事故が事実として起きてしまって、それまでの基準がだめだったということが事実としてわかったわけです。そのため「それなら新しい基準をつくらなければいけない」と言って、当初は新しい安全基準というものをつくりたかったわけですけれども、しかしどんなに厳密に審査をしたところで、その審査をすり抜けて事故が起きるということが福島第一原子力発電所の事故で示されてしまったわけですから、安全という言葉は使えない。だから規制基準というものをつくったわけです
安全だということは私は申し上げません田中委員長
そして、その規制基準に合致するかどうかということを原子力規制委員会という委員会が審査してきて、川内原子力発電所高浜原子力発電所伊方原子力発電所という所に「新しい基準に適合したことは認める」と言ったわけですが、でもそれと同時に、原子力規制委員会の委員長の田中俊一さんは、「安全だとは申し上げない」と明言しているわけです。つまりどんなに厳しく審査したところで、大きな事故が起きる可能性はあるということを規制委員会自身が認めているわけですし、今回の福井地裁の決定も「可能性が全くないということではない」とはっきりと言っているわけです
福井地裁樋口裁判長1
福井地裁樋口裁判長2
福井地裁樋口裁判長3
ただただ新しい規制基準に則ってやったんだからもういいだろうという、そういう判断で司法が結局、行政に屈服したということだと私は思います。
再稼働 司法の責任どこへ

今西:
はい。再稼働しました高浜原発はプルトニウムとウランの混合生産化合物、いわゆるMOX燃料を使ってのプルサーマル発電となっています。

小出さん:
ええ、そのプルサーマルというのは、現在動いている原子力発電所、高浜原子力発電所もそうですけれども、そういう普通の原子力発電所でプルトニウムという物質を燃やしてしまおうという計画です。そんなことをすれば安全性が犠牲にされますし、経済性すらがないということを電力会社自身が認めているのです。
プルサーマル導入-その狙いと危険性
なんでそんなことをやろうとしているかと言えば、そのプルトニウムという物質は長崎原爆の材料になった物質なのですが、それをすでに日本という国が大量に溜め込んでしまって、それをなんとか減らさないことには、国際的な非難をまぬがれることができない。だから仕方がなくて燃やしてしまおうというところに追いつめられているのです。
分離プルトニウム保有量
これから事故が起きなければいいと私はもちろん願いますけれども、だんだんだんだんまた事故の可能性が増えているところに、日本というこの国が追い込まれて行ってしまっているということだと思います
40年前の原発事故被害試算を公開 福井新聞
そして福井県の若狭湾というところには、高浜原発を含めて10基を超えるような原子力発電所が林立していますので、ひとつの原子力発電所の事故で、また他の原子力発電所にも影響が及んでしまうという可能性もあると思いますし、今後地元の人達、一体どうやって逃げることができるかということを福井県も含めて、きっちりと考えておかなければいけないと私は思います
若狭の原発から30km圏50km圏

今西:
わかりました。小出さん、今日もありがとうございました。

小出さん:
はい。こちらこそありがとうございました。


ありえない!確率論的安全評価
(原子力発電所を推進する側の、原発は安全という『だます論理』を小出裕章先生に徹底批判していただきます。)
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11561035682.html

大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算
http://www.ikata-tomeru.jp/wp-content/uploads/2015/02/koudai28gousyo.pdf

原子力施設の破局事故についての災害評価手法1997/8/29
京都大学 原子炉実験所 小出裕章、瀬尾健
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No68/kid9708.pdf


原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察
http://www.ombudsman.jp/nuclear/1984-2.pdf
原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考_表紙

原発への攻撃3つのシナリオと被害予測

NNNドキュメント
「2つの“マル秘”と再稼働 国はなぜ原発事故試算隠したか?」

http://dai.ly/x32sx4k
国が隠した2つの試算がある。
1つ目はまだ日本に原発が出来る前のもので、「原発事故が起きると国家予算の2倍を超える損害が出る」という試算だ。マル秘の判を押され封殺された。
2つ目は、「原子炉施設に対する攻撃の影響」に関するもので、「ミサイルの命中精度は極めて高いので格納容器が破壊される」 「1万8千人が急性死」という試算だ。イラクの原子炉が空爆された1980年代に試算され、同じく封殺された。
まもなく九州電力・川内原発が再稼働する。首相は安全と言い、規制委員長は安全とは言わない。このズレは?
新基準での再稼働は都合が悪い事も隠さず公開しているか?


日本の原発は「地震付き原発」

「原発震災」予言した地震学者が批判 川内原発規制委審査は「無効」
(東京新聞【こちら特報部】)2014年10月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014100602000158.html
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の審査書について、「無効だ」と主張する地震学者がいる。石橋克彦神戸大名誉教授(70)。福島原発事故の14年前から、大地震による「原発震災」に警鐘を鳴らしてきた。石橋氏は「審査は法令違反とさえ言える」という。何が問題なのか。
(沢田千秋)

「原発震災」予言した地震学者が批判 01

【いしばし・かつひこ】
 神戸大名誉教授。1944年、神奈川県生まれ。東京大大学院理学系研究科博士課程修了。専門は地震学。2008年まで神戸大教授。国会の東電福島原発事故調査委員を務めた。1976年に発表した「駿河湾地震説」は、東海地震の防災対策強化のきっかけとなった。97年、月刊誌に論文「原発震災─破滅を避けるために」を発表し、地震と原発事故による複合災害を警告。浜岡原発の閉鎖や原発依存からの脱却を訴えている。

法令違反なみ手抜き

 「新規制基準は、安倍政権がいう『世界で最も厳しい水準』から程遠い欠陥品だが、その根本問題に目をつぶっても、審査があきれるほどずさん。鉄道や航空機の安全に関わる事例だったら世間の袋だたきにあうような手抜きがあり、省令なみの規制に違反している」。川内原発の審査に対する石橋氏の批判は強烈だ。
 新規制基準は、原発の耐震設計の基準となる揺れ(基準地震動)を策定する際、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について、敷地に大きな影響を与えそうな地震を複数選定し、それらによる基準地震動を検討するよう求めている。
 しかし、九電は川内原発の基準地震動の策定に当たって、内陸地殻内地震しか検討しなかった。プレート間地震と海洋プレート内地震については、発生位置が敷地から十分離れているため震度5弱に達せず、原発に影響を与えないとして検討対象から除外したのだ。規制委は、それをあっさり認めて「合格」させた。
 だが石橋氏は、「九電が『震度5弱に達しない』と言って、規制委が『はい、そうですか』で済ますとは、地震学的にもってのほかだ」と指弾する。
 なぜなのか。プレート間地震ついては、内閣府の検討会が二○一二年八月に公表した最大クラスの南海トラフ巨大地震の想定がある。マグニチュード(M)9級で、震源域は駿河湾から宮崎県沖まで広がる。石橋氏は「川内原発付近の予想最大震度は5弱に達している。しかも、この震度予想は広域の傾向をみるための目安にすぎない。原発のような重要施設は、より安全を考えた震源モデルを設定して再検討するのが当然で、震度6弱になる可能性もある」という。
 海洋プレート内地震については、九電も例示した一九○九年の宮崎県西部の地震(M7.6)で、宮崎、鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録し、各地に被害をもたらしている。これは、九州の地下に沈み込んだ海洋プレート(スラブ)の中で発生したスラブ内地震だ。石橋氏は「スラブは鹿児島県の地下にも存在するから、川内原発にもっと近いところでもスラブ内地震は起こりうる。しかもM7.6が最大とは限らない。最悪の場合は震度6に達するかもしれない」と話す。そして「それを指摘しなかった規制委は能力と熱意・使命感に欠けているのではないか」と手厳しい。
 川内原発の基準地震動の最大加速度は620ガル(ガルは加速度の単位)である。これは、M6.1の地震が原発直下で発生するとした場合の値だ。しかし石橋氏によれば、「活断層が認められなくてもM7級の大地震が起こるから、これは明らかに過小評価だ」。

「原発震災」予言した地震学者が批判_2

再び「原発震災」招く

 一般に基準地震動は複数策定される。地震の種類によって揺れの性質が違うからだ。しかし、九電は川内原発について、直下地震のほかは、原発周辺の活断層で発生する内陸地殻内地震による基準地震動しか策定しなかった。「なぜプレート間地震スラブ内地震を考慮しないのか。両者の揺れ方は独特だから、基準地震動を策定して重要施設の耐震安全性をチェックすべきだ」と石橋氏は言う。
 新規制基準は、東日本大震災の教訓に立ち、「想定外」を起こさないように作られたはずだ。石橋氏は、「川内原発の審査は新基準による第一発目。今後の再稼働審査の模範になるべきものだ。手順を丁寧に踏んで説明責任を果たさなければいけない。それが、こんないいかげんなのは許されない。九電の言いなりになった規制委は、まるで”子どもの使い”だ。最初が肝心だからこそ、審査を無効にしてやり直すべきだ」と主張する。
 石橋氏が「原発震災」という概念を提唱したのは一九九七年。大地震による揺れや津波に起因する原子力施設の大事故と通常震災との複合災害を警告した。○六年八月、石橋氏は原発の耐震設計の指針を改訂する委員会の委員だった。しかし、不徹底な改訂案に抗議し、最終回で辞任・退席した。福島原発事故が起きたのは、その五年後だ。
 福島第一原発の基準地震動は、このとき改訂された新指針に沿って、それまでの最大加速度370ガルから600ガルに引き上げられた。しかし、肝心の耐震補強工事を東京電力が実施していなかったことが、12年、国会事故調査委員会の調査で明らかになった。東日本大震災の際の福島第一の揺れは675ガルを記録している。石橋氏は「原発内の重要設備が、揺れで損傷した可能性を慎重に検討すべきだ」と指摘する。
 実際に福島第一で現場検証し、地震による損傷を調べることは不可能だ。だからこそ、「安易な結論を出してはいけない」と石橋氏。「基準地震動を超えてしまったと反省するのと、超えたけれど大丈夫だったと思うのは大きな違いだ。『想定外の大津波が来たら事故はしょうがない』では教訓にならない
 規制委は、川内原発で想定される火山についても「大規模な噴火の可能性は小さい」としている。しかし、現に御嶽山(おんたけさん)では、予測できなかった噴火で多くの犠牲者が出た。「現在の科学では、原発に影響を与える地震の強さや噴火の発生確率、規模などに正確な答えは出せず、可能性の提示にとどまる部分が多い。それをどう考慮するかは最終的に社会が判断すること。今は安全性が軽視され、利権集団の経済的判断が最優先されている」と憂慮する。
 「この地震火山列島では原発は危険すぎる。今後も川内原発のようなずさんな審査が続くと、日本は再び原発震災に襲われるだろう」と石橋氏は警告する。
 「世間が福島事故を忘れつつあるというより、強大な勢力が忘れさせようとしているようだ。震災直後は多少鳴りをひそめていた原発ムラの住人や御用学者が現政権のもとで息を吹き返し、審査にも影響を与えているのだろう。国民は福島事故の理不尽さを決して忘れてはならない

「原発震災」予言した地震学者が批判

「原発震災」予言した地震学者が批判 デスクメモ

『若狭湾原発震災』前夜の私たち
 地震学者・石橋克彦さん


https://youtu.be/hQzLCTmu7bk


1989年4月6日放送
シリーズ21世紀 いま原子力を問う
 第2回 原子力は安いエネルギーなのか


https://www.youtube.com/playlist?list=PL2hEjnCla-LNIVbn07lyoURB9FKYazt1I
スリーマイル事故によって、原発は経済的であると信じて建設を推進してきたアメリカが変わった。システムの破綻が大事故につながるため、安全基準が高くなり、コストが増大していったのだ。「安いエネルギー」といわれた原発の経済性について検証した。
原子力は安いエネルギーなのか
原発は安いというのが実はそうではなく、スリーマイル等の事故から、安全対策基準が強化され、生産コストの面からみても従来より15%高くつくようになった。
電力の自由競争をしているアメリカでは、80%まで完成している原発を中止し、コスト計算の結果、天然ガスプラントに変更するところがでた。
新規の原発着工も無くなった。
一方、日本の場合はコストが消費者の支払う電気料金にハネ返ってくることなどが的確に指摘されている。
発電前の原発設備投資にかかる利子の半分(日本の場合に右の赤い部分)が現在の電気料金に跳ね返る仕組みとなっている。
安全対策で設備投資と期間が多くなるほど、電気料金に跳ね返る分も過大となる。



韓国「核武装論」過熱
 音なし日本は熱意隠す?

(東京新聞【こちら特報部】)2016年2月19日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016021902000130.html
 北朝鮮による核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を機に、韓国内で独自核武装論が高まっている。これまでも北朝鮮が核実験をするたびに浮上したが、今回は与党の有力政治家や大手紙が論陣を張っている。一方、日本では、核武装を求める声は右派勢力からもほとんど聞こえてこない。第1次安倍政権時に自民党の中川昭一政調会長(当時)が核論議を提起して物議を醸した後は沙汰やみとなっている。盛り上がる韓国と音無しの日本。核をめぐる両国の現状を探った。
(池田悌一、三沢典丈)

韓国「核武装論」過熱 音なし日本は熱意隠す?_1

米中に不信感現実味乏しく

 十五日、韓国与党セヌリ党の元裕哲(ウォンユチョル)院内代表は国会の代表演説で、「雨のたびに隣人の傘ばかり借りてはいられない。自分で雨具を用意しなければ」と核武装
の必要性を強調した。
 北朝鮮が一月六日に核実験を強行した直後、元氏は党の会議で「韓国も自衛レベルの平和的な核を持つときが来た」と核武装論に言及。別の幹部も「中朝口は核武装しており、日本も決心すればできる」と危機感をあおった。北朝鮮が米国の「核の傘」を揺さぶる中、韓国政界の一部で核武装論が勢いづいている。
 有力政治家と歩調を合わせるかのように、保守系の最大手紙「朝鮮日報」も核武装論を展開する。一月二十八日付の社説(日本語版)では「自衛策として最低限の核兵器を保有するため、国民的な議論を行わざるを得ない。北朝鮮が韓国に核攻撃を加えた場合、中国や米国が阻止してくれるか。米国が支援したとしても、ソウルが灰じんに帰した後だろう。核武装論を禁断の箱に閉じ込めておくわけにはいかない」と迫った。
 世論も核武装論に傾いている。中央日報の世論調査で核保有に賛成した割合は67・7%で、反対の30・5%を大きく上回った
 政府は南北協力事業の開城工業団地の稼働中断に踏み切る制裁措置を科したが、核武装については韓民求(ハンミング)国防相が「政府は考慮していない」と明言。朴槿恵(パククネ)大統領も「核のない社会は半島から始めるべきだ」と否定している。
 韓国は一九九一年に在韓米軍の戦術核が撤去され、当時の盧泰愚(ノテウ)大統領が「核の不存在」を宣言して以降、「朝鮮半島の非核化」を提唱。国際的な核不拡散体制の柱である核不拡散条約(NPT)にも加盟している。韓国の核武装論はどこまで本気なのか。
 西野純也・慶応大准教授(現代韓国朝鮮政治)は「核武装すれば国際社会から孤立し、当然米国との軍事同盟も破綻する。NPTからの脱退も必至。原発二十五基を保有する原発推進国の韓国は、NPTに加盟しているからこそ、原子力の平和利用を名目に加盟国と取引ができている。経済にも大きな打撃となるわけで北朝鮮の思うつぽ。核武装はあり得ない」と説く。
 韓国の核武装論は今回が初めてではないが、これほどまでに噴出したことは過去になかった。なぜか。
 ソウル大国際大学院の朴詰煕(チョルヒ)教授は「身勝手に核開発を続ける北朝鮮への怒りは強い。距離を縮めていたと思っていた中国も抑止力にならず、不満のはけ口として核武装論が沸き起こっている」と分析する。
 木村幹・神戸大教授(朝鮮半島地域研究)、は「米国との原子力協定では使用済み核燃料再処理ウラン濃縮が認められておらず。『なぜ日本はいいのに、韓国はダメなんだ』という不公平感が根底にある。米国が北朝鮮の核開発を止められなかった不満もあり、それらが八つ当たり的に表れたのが今回の核武装論だ」とみる。

韓国「核武装論」過熱 音なし日本は熱意隠す?_2

第1次安倍政権では議論容認

「転用可能」プルトニウム核兵器5900発分

 七日、東京・永田町で開かれた慰安婦問題の日韓合意に反対する集会。右派論客として知られる西岡力・東京基督教大教授は「慰安婦問題でも先頭に立っていた中川昭一先生が元気だったら…。日本も核武装すべきではないかという議論が自民党からも出なきゃいけない」と嘆いた。
 第一次安倍政権時の二〇〇六年、自民党政調会長を務めていた中川氏が北朝鮮初の核実験に絡み、テレビ番組で「(核保有の)議論はあっていい」と発言したところ、国会内外で厳しい批判を浴びた。安倍晋三首相は非核三原則の堅持を訴えて火消しに走る傍ら、核武装の議論そのものは容認する考えを示した。当時外相の麻生太郎財務相もこれに同調した。
 西岡教授は、「こちら特報部」の取材に「今回の北朝鮮の弾道ミサイルは米国東海岸も射程に入るとの見方もある。ミサイルが完成すれば米国の核の傘が機能しなくなる。今の状況では日本の安全を守れない」と危機感をあらわにした。
 中川氏は○九年にも、北朝鮮の核開発宣言に対して「核に対抗できるのは核」と主張して問題視されたが、最近の政界では、核武装論は目立たない。
 下火になった理由は何か。安倍政権の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーでもある佐瀬昌盛・防衛大名誉教授は「現政権は、核武装するともしないとも言っていない。議論で是非を決めるより、曖昧な態度で北朝鮮や中国に対し、『いざとなったら日本は核武装するかもしれない』と思わせておく方がいいと考えているのではないか」と推測する。
 核武装論で対照的な反応をみせる日本と韓国の最大の相違点は、一九八八年に発効した日米原子力協定にある。同協定に基づき、日本は核兵器非保有国で唯一、使用済み核燃料の再処理が認められ、核兵器への転用可能なプルトニウムをつくることができる。韓国は昨年改定された米韓原子力協定で、再処理の研究が認められたばかりだ。
 現在、日本が国内外で保有するプルトニウムは約四十七㌧。核兵器五千九百発分に相当する原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「半年から一年で核兵器をつくれる」と指摘した上で「今、日本が核武装を持ち出しても米国は認めないので、政権側は表立って議論しない方が得策と考えているのだろう。しかし、一部の政治家や官僚は、プルトニウムの核兵器への転用に強い熱意を持っているようだ」と懸念する。
 福島第一原発の事故から間もない一一年十一月、伴氏が脱原発の是非を議論する経済産業省の会議に出席すると、原子力の平和利用を進めてきたはずの研究者が「核兵器を保有せずに抑止力を持つことは重要」と、プルトニウム保有の安全保障上のメリットを強調したという。『これが原子カムラの本音』(伴氏)
 民主党政権時の一二年六月に改正された原子力基本法でも、自民党の要求で、軍事転用を思わせる「安全保障に資する」目的が追加された。福島事故後は国内での原発新設は困難になったが、政府はカザフスタンベトナムヨルダンなどと次々と原子力協定を結び、昨年十二月には、初め
てNPT未加盟国のインドと協定に合意した。
 第二次安倍政権発足以降、第一次政権当時から懸案だった集団的自衛権の行使容認や国家安全保障会議の設立などを次々と実現させている。核武装で北朝鮮に対抗する議論が出てきても不思議ではない
 元外交官で政治学者の浅井基文氏は、安倍政権にくぎを刺す。「北朝鮮の核開発をやめさせるには、北朝鮮が核開発で身構えざるを得ない状況を変えるしかない。それができるのは米国だけだ。韓国で核武装論が盛り上がるのは北朝鮮が原因と短絡するのではなく、根源には米国の覇権的な核戦略があることを見ないといけない

韓国「核武装論」過熱音なし日本は熱意隠す?デス