4日、大峯奥駈道に行ってきた。



スタートは第七十五靡『柳の宿』

吉野川のほとりにある。



奥駈道をした人の動画を見ると、近鉄吉野駅かロープウェイ吉野山駅からスタートされる方が多かったが本当のスタート&ゴールはここ。


それは年始の挨拶から始まっていた。

お正月、Mタカヒロさんから、『GWに大峯奥駈道無泊縦走に行きませんか?』とお誘いを頂いた。僕もGWにビッグチャレンジを考えていて、その一つが奥駈道がだった。


大天井ケ岳手前で夜が明けた

渡りに船


僕の人生ツキがあり、願っていると大概叶う。今回のお誘いも、そんな風に感じた。


五番関の女人結界門でもんちゃんと別れた。

しかし、冬が過ぎ、春になりGWが近づくと、だんだん憂鬱になっていった。


新緑が眩しい奥駈道を進む

怖い、心配、自信がない…

奥駈道は分割で走破していたが、していたからこそ、あそこを無泊で縦走…できるのか?ヤバい船に乗ってしまったんじゃないか?ネガティブな心に支配されていった。



直前まで天気不良で中止にならないか、と本気で思っていた。


5月3日に大峯山寺は戸開式が行われ、9月23日まで開山されている。


でも、新たなことにチャレンジする楽しみもあった。人生でやりたいことのできる時間は限られている。3年後5年後に奥駈道縦走ができる体力、気力はない。


この日は天候も最高で多くの登山者、修行者で賑わっていた。

毎日、奥駈道の動画、地図を見て水場、宿、靡(なびき)を頭に叩き込んだ。 


大普賢岳、七曜岳、行者還岳…と進んだ
振り返ると、日本岳、小普賢岳、大普賢岳の急峻な山々が見えた。


行者還岳付近でBellさんと会った。『世界遺産·参詣道トライアングル225km(吉野大峯·熊野·高野山)』に参戦されていた。弥山の山小屋でカップラーメンを食べなかったことを悔やんでおられた(笑)



Mタカヒロさんと僕の走力には、明らかな差がある。ITRAのPerformance indexで約70の差。全然付いていけない。



弥山の登りで、急激に調子が悪くなった。


今まで何も感じていなかったザックが急に重く感じる様になった。肩にずっしりと、のしかかってきた。


肩が痛い…背中、首が凝る…頭が痛くなってきた。


これは今までも何度も経験している。

対処の仕方も分かっている。


弥山の山小屋に到着して、日陰で少し横になった。そんな僕を見て、先に到着していたMタカヒロさんは、ポカリスエットを購入してくれた。僕はポカリを一口飲み、もんちゃんがスタート前に持たせてくれたおにぎりを食べ、痛み止めを飲んだ。そして、目を瞑った。


心地よい風が流れていた。







一瞬意識が飛んだ。


復活した。



Mタカヒロさんは軽快なリズムを刻みながら先に進んで行った。僕はMタカヒロさんが付けた熊鈴の音がだんだん遠くなるのを聞きながら、自分のペースで進んだ。

そんなMタカヒロさんも、鎖場や危険な箇所では待っていてくれた。



釈迦ケ岳手前で、またザックが重くなってきた。僕は背中のザックを、まるで子供をオンブする様に手で支えたり、だっこする様に胸側に背負い、背中の凝りに対処した。


釈迦ケ岳で夕日を見た。もうじき陽が暮れる。

深仙の宿を目指した。

そこに、もんちゃんがいる。

今回のチャレンジで一番大事な事、それは無事に家に帰ること。それはスタート前からMタカヒロさんと話していた。まだ何度でもチャレンジする機会はある…と。

なんとなく深仙の宿が一つのターニングポイントになる気がしていた。
カラフルなテントで賑わう深仙の宿

Mタカヒロさんも自分のペースで進めないストレスで腰痛を発していた。僕も肩の痛みとゆっくりなペースに申し訳なさを感じていた。


しかし、まだ体力の限界に来ているわけでもなく、ゆっくりなら進める自信はあった。



でも、大きな流れが見えていた。


ここで止める…という流れが…。



決定は早かった。


もんちゃんと一緒に車を停めた太尾登山口に下山する事になった。


『太古の辻』
この先、南奥駈道

下山前に、北奥駈道最後の靡『大日岳』に登った。

「ここは修験者の行場です。一般登山者は迂回路を使用して下さい」(昼間、もんちゃん一人で登っていた)


一人やったら泣いていたかもしれない(苦笑)

第三十五靡『大日岳』

そうして、僕たちの大峯奥駈道無泊縦走チャレンジは終わった。『後悔はないか』と聞かれると、それは全くないわけではない。でもあの選択は間違ってないし、今回のチャレンジで多くの経験を得た。それらは、また次に活かせるし、また大峯に訪れる理由にもなる。

今回誘ってくれたMタカヒロさん、サポートしてくれたもんちゃんには感謝しかない。ありがとうございました。

次お二人が何かビッグチャレンジされる時は、ぜひサポート側に回りたい。



いつもご愛読頂きありがとうございます。
感謝しています。