渡邉said


ピトッ


渡邉「ん、どうしたの?」


平手「…」


渡邉「どうしたんですかー?」


平手「…」


渡邉「おーい?」


平手「…」


困った。


今日急に「家に行くね」なんて連絡が来た。


来てすぐにお風呂に入って、ご飯を作っている私の背中にくっついてきた。


けど、何も話さない。


渡邉「平手?」


平手「…」


今日は来た時から口数少なかったし、久しぶりの甘えたかな?


手を後ろに回して頭をわしゃわしゃと撫でると、頸に顔を埋めてきた。


渡邉「疲れちゃった?」


平手「…うん」


渡邉「もうご飯できるから、今日は食べたらすぐに寝よっか」


平手「うん…」


渡邉「先座ってて」


明日はお互い休みだし、ゆっくりしてられる。


早く寝て、目覚ましはかけないでおこう。




平手「理佐…」


渡邉「ん?」


平手「もっと、こっち…」


ご飯を食べてすぐにお風呂に入って、夜とも言えない早い時間にベッドに入った。


一人暮らしならベッドは一つしかないわけで。


そうすると同じベッドで寝ることになる。


こっちに来てと言いながら自ら近づいて来るのを見ると、いつもの甘えたとは少し違うのかもしれない。


渡邉「もー」


平手「んぐっ…ん!?んー!!」


平手に思い切り抱きついて両腕に力を込めると、私の胸に顔が埋まった。


苦しいのか、私の背中をペチペチと叩いている。


腕の力を抜いても、顔を上げようとしない。


むしろ、さらに顔を押しつけてきた。


そこで気づいた、確信的な違和感。


渡邉「平手」


平手「ん…」


渡邉「熱あるでしょ?」


平手「…ない」


すりすりと顔を擦り付けていた動きがピタッ…と止まった。


図星だね。


それで「ない」と言われても。


渡邉「ちょっと待ってて、体温計とか持ってくるから」


平手「いや…」


渡邉「お願い、すぐ戻ってくるから」


平手「んーんー…」


渡邉「体温測らないと」


平手「無いから…」


渡邉「…病院連れてくよ?」


平手「あります…」


渡邉「よくできました」


平手「ん…早く」


渡邉「うん、待ってて」


明日はゆっくりだから気が抜けちゃったのかな。


いきなり来るって言ってたからびっくりしたけど、一人家の中で倒れるよりずっといい。


触った感じ今は熱はそんなに高くないけど、これから上がってくるかもしれない。


一応冷えピタを冷凍庫に入れておくことにする。


渡邉「はい、測って」


平手「ん…」


渡邉「熱測ったらすぐに寝よっか」


まだ夕方と言ってもいい時間だけど、もう眠そうだしそのまま寝かせよう。


ピピピピピ…


渡邉「貸して?」


平手「ん…」


渡邉「あー、微熱だね」


37.6度。


やっぱりそんなに高くはないけど、熱はある。


ひどくなる前に安静にさせた方がいいよね。


渡邉「薬飲む?」


平手「…飲まなきゃダメ?」


渡邉「早めに飲んでおいた方がいいかなって」


平手「んー…」


すぐに拒否しないところをみると、飲むかどうか悩んでいるらしい。


「飲みたくないけど、明後日には仕事があるから飲んだ方がいいかな?」とか考えてるのかな。


平手「…飲む」


渡邉「分かった、水持ってくるね」


仕事のことを考えると飲むべきって思ったのかな。


平手らしい。


渡邉「はい」


平手「ありがと…」


渡邉「起きれる?」


平手「うん」


自らスッと起き上がるところをみると、まだそんなに辛くないみたい。


平手「にっが…」


予想通り苦かったらしい。


なんだかんだ風邪薬は苦いよね。


平手「寝る…」


いくら風邪薬が苦くても、眠気は無くならなかったらしい。


飲み終わってすぐに布団に潜り込んだ。


平手「理佐は…?」


渡邉「ん?」


平手「まだ寝ないの…?」


渡邉「コップすすいでこようかなって」


平手「いい…寝ようよ…」


渡邉「抱き枕みたいな?」


平手「どっちかっていうと湯たんぽ…?」


渡邉「え、寒い?」


平手「ちょっと…」


渡邉「もっと毛布いる?」


平手「いい…理佐で暖とるからいい…」


渡邉「ええ…」


本人がそれでいいならと、とりあえず布団に入るとまあまあの密着距離。


渡邉「暖かい?」


平手「あったかい…」


渡邉「眠い?」


平手「んー…」


寒気が出てきたのなら熱が上がってくるかもしれないし、早めに寝れてよかったかも。


枕元の時計の表示は19時過ぎ。


胸元にいるこの子の高めの体温を感じてたら、私も眠くなってきた。


…気がする。


今日は私もこのまま寝ようかな。


渡邉「おやすみ」











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いつも読んでくださってありがとうございます!

 小説投稿一発目からギリギリという。

次からは余裕を持って投稿できるように努めて参ります。

 募集済みのリクエストについてですが、今まで書いたことのないCPは投稿を後にさせていただくことがあると思います。

「リクエスト自体ここまで引き伸ばしておいて!」という声があるかと思いますので、先に謝罪させていただきます。

申し訳ありません。

もうしばらくお待ちいただければと思います。

それでは、次回も是非読んでください!

これからもよろしくお願いします!