初めに言っておきます。


夢オチです。


詳しくはあとがきをご覧ください。

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渡邉said


いつの間にか、ふかふかの草の上に寝ていた。


辺りは薄暗い。


ここはどうやら深い森の中らしい。


周りには六人ほどのメンバーがいて、皆目を覚ましていた。


菅井「行こっか」


友香の声がけで皆がある方向に歩き始めた。


私も数歩足を踏み出して後ろを振り返ると、一人俯いて動かないメンバーがいた。


渡邉「平手?」


平手「ん?」


渡邉「行こうよ」


平手「うん」


平手の手を取って皆の元へ戻った。




もう数時間は歩いていると思う。


ここはどこで、私たちはどこに向かっているのか。


何もわからない。


土生「え、ここ登るの?」


守屋「他に道もないし、登るしかないよね…」


小池「…マジで?」


突然私たちの目の前に急な坂が現れた。


街中ではまず見かけることのない角度に呆然とする。


登るのを躊躇っていると、ポツッポツッと雨粒が降ってきた。


菅井「本降りになる前に急ごう」


友香の言葉に皆が坂を登り始める。


「どこに行くの?」なんて聞けずに、皆の後を追いかけた。




渡邉「え、きっつ…」


小池「急すぎん…?」


思った以上にキツイ。


這いつくばらないと前に進めない。


坂というか、ほぼ崖。


菅井「もう少しで平な道になるよ、もう少し頑張ろ…」


これを登り切れば休憩できる。


今休んでしまえばもう身体は動かなくなる。


こんな崖同然なところで止まれば、下まで真っ逆さまだ。


平手「うぅ…」


私の後ろにいる平手が小さい呻き声を上げた。


渡邉「平手?」


平手「大丈夫…」


顔はよく見えないが、声に覇気がない。


渡邉「もうちょっとだから、頑張って」


平手「うん…」


無理もないか。


降り続いている雨のせいで足場が滑り、過剰に体力が削られている気がする。


制服も濡れて身体が重い。


これは流石にマズイ…


守屋「理佐!手!」


渡邉「え?ああ…ありがとう」


先に登り終わった茜が上から手を伸ばしていた。


その手を掴み、引き上げてもらう。


渡邉「平手」


平手「ん?」


茜がしてくれたのと同じように平手に手を伸ばす。


平手「うわっ!?」


渡邉「平手!?」


足が滑ったらしく、私の手も下に引っ張られた。


このままでは落ちる!


渡邉「があああああ!!」


咄嗟に踵を地面に突き立てて、力任せに平手を引き上げた。




菅井「ちょっ…二人とも大丈夫!?」


渡邉「わ、私は…平手は?」


平手「大丈夫っ…ありがとう…」


火事場の馬鹿力により無事に平手を引き上げることに成功して、脱力した。


仰向けに倒れている私の上にうつ伏せの平手が重なっている。


渡邉「危なかった…」


踵がうまく地面に引っかかってくれてよかった。


もし外れてたり滑ったりしたら、二人で下まで落ちてたに違いない。


渡邉「こっわ…」


思わず、私の胸に頭を預けている平手をギュッと抱きしめた。


土生「雨、強くなってきたね…」


守屋「風も吹いてきた」


全員が坂を登り終わってからというもの、天気が急に荒れてきた。


日が傾いてきたのか、登ってきた坂が暗闇になっている。


歩いてきた道はもう見えない。

菅井「急がないと、そろそろ出発しよう」


私たちはどこに向かっているんだろうか。


何を急いでいるの?




小池「もう、疲れた…」


菅井「もう少しだよ、頑張ろ?」


友香の言うもう少しは、どのくらいなんだろう?


本当に着くの?


守屋「強!」


急に強風が吹いてきた。


渡邉「うわっ!?」


思わず目を細めると、暗闇から大きな木の枝が飛び出してきたのが見えた。


まずい、このままじゃ危険だ。


端に避けて木の影に隠れた方がいいかもしれない。


「平手にも伝えなきゃ」そう思って後ろを振り向いて、血の気が引いた。


渡邉「平手!」


倒れている。


急いで駆け寄ると、頭から血が流れている。


恐らく、さっきの木が当たったんだ。


渡邉「平手!!」


抱き寄せて揺さぶっても、目を覚さない。


渡邉「ひらてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ_」


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渡邉「うっわ…」


嫌な夢を見た。


すっかり目が覚めて、呼吸が乱れていることに気づいた。


怖い。


携帯で時間を確認すると、布団に入ってまだ二時間しか経っていない。


あんなに長い夢だったのに。


寝なきゃいけない。


でも、すぐに寝たら夢の続きを見ちゃうかもしれない。


怖くて布団から出たくない。


平手「んぅ?理佐…?」


寝たいけど寝たくない。


一人で葛藤していると、すぐ隣で寝ていた平手がもぞもぞと動き出した。


渡邉「ごめん、起こした?」


平手「んーん…」


そうだ、仕事で同室になったんだった。


うるさかったかもしれない。


平手「今何時…?」


渡邉「二時」


平手「…寝る」


「おやすみ…」と呟きながらもぞもぞと私の腕の中に潜り込んできた。


身近に感じる子供体温に安心して、再び目を閉じた。












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いつも読んでくださってありがとうございます!

 最初に書きました通り、夢オチです。

数日前に私が実際に見た夢です。

私とリア友の六人で、見たのは自室で、怖すぎて抱きしめたのはバナナ型の抱き枕でしたが。

 リクエストはどうか、どうかもう少々お待ちいただければと思います。

それでは、次回も是非読んでください。

これからもよろしくお願いします!