渡邉said

志田「理っ佐っ」

渡邉「んー?」

志田「雑誌なんか読んでないでかまってよー!」

撮影終わりに愛佳が部屋に遊びに来た。

さっきから遊べかまえしか言ってない。

渡邉「私にとっては勉強だよ」

ついでに服欲しいし。

志田「ねーえー」

話聞いてないな。

読んでいた雑誌を閉じて本棚に戻す。

勉強のためとはいえ少し溜まってきたな…

処分…

あとで考えよ。

渡邉「分かったから」

志田「やった、借りてきた映画見よ」

渡邉「何観るの?」

DVDをセットすると足早にベットに戻り、私にもたれて全体重をかけてくる。

可愛いな全く。



映画を観終わる頃には、愛佳はもう眠そうだった。

途中から眠そうではあったけど、「寝る?」って聞いたら「絶対寝ない」って言ってたからそのままにしておいた。

明日絶対内容覚えてないだろうな。

渡邉「もう終わったよ?寝よう」

志田「んー…」

渡邉「…」

ほぼ寝てるね。

とりあえずこの猫を移動させようと腰に巻き付いている腕を外して立ち上がると、自らもぞもぞと布団のなかに潜り込んでいった。

渡邉「猫…」

やっぱり愛佳の前世って猫?

渡邉「ふっ…」

下らないことを考えた。

部屋の電気を消して自分も布団に入る。

しばらくすると、背を向けていたはずの愛佳が振り向いて抱きついてきた。

今日はこのまま抱き枕になりそう。



翌朝。

ピピピピッピピピピッ

渡邉「…?」

この音は目覚まし時計…じゃない。

すぐ近くから鳴っている聞いたことがある音。

音の出元を確認しようとするけど、目を開くのが億劫だ。

というか、身体が異様に重い。

とりあえず時間を見よう枕元のスマホを確認する。

渡邉「は…!?十時っ…うあ…」

オフにしても遅い時間にびっくりして身体を起こしたら頭が痛すぎて動けなくなった。

志田「理佐?」

なぜか隣の部屋から愛佳が現れた。

紙袋を抱えて。

志田「起きた?」

渡邉「うん…まあ…」

志田「とりあえず寝よ」

渡邉「レッスンが…」

志田「休みの連絡しておいたから大丈夫」

渡邉「…」

こりゃ完璧風邪だ。

志田「あ、体温計」

渡邉「ん?」

私のパジャマの襟を開けて体温計を抜き取る愛佳。

さっきの音は体温計か。

志田「あー、熱下がんないね」

体温計に表示された数値を見てガッカリしてる。

渡邉「何度…?」

志田「38.8…」

渡邉「嘘…そんなに…?」

つまり、なぜか風邪を引いた、ということ。

ちゃんと布団かけて寝てたはず…

むしろ愛佳が抱きついてきたから温かかったのに。

風邪を引いてたわけでもないし、昨日はなんともなかったんだけどな…

むしろ元気だった。

志田「ご飯は?」

渡邉「いい…いらない…」

志田「水は?」

渡邉「あとでいい…」

志田「でも…」

困った顔してる。

今着てるパジャマが汗でびっしょりだから、きっと脱水を心配してるんだろう。

渡邉「大丈夫だから…」

志田「理佐の大丈夫は信用できないよ」

きっぱりと言われてしまった。

眉を下げながら紙袋からゼリーを取り出した。

志田「ゼリーでいいから少しは食べて」

渡邉「…うん」

流石にここまで言われて拒否はできない。

志田「起きるの辛いよね」

と、少し身体を起こした私の腰や背中辺りに枕やクッションを集めてよりかかれるようにしてくれた。

ゼリーを受け取り少しずつ食べていると、これまた眉を下げながらじっと見つめてきた。

渡邉「…どうしたの?」

志田「昨日、疲れてたよね…映画なんか観ないで早く寝てれば…」

責任を感じているらしい。

渡邉「そんなことないよ、面白かったし…」

志田「うん…」



ゼリーを半分くらいまで食べて、もう寝ることにした。

志田「明日熱下がらなかったら病院に行こう」

そうだ。

明日は元々オフ。

ということは今日はこのまま寝ていられる。

何となく楽になった気がしながら、瞼を閉じた。

今ベットのすぐ側で手を握ってくれている人は、そのうちベットに潜り込んでくるだろう。









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いつも読んでくださってありがとうございます!
    また投稿が遅れてしまいました。
予定が入っていない代わりに立て続けに体調を崩してしまっています。
とはいえ、ずっと寝てなくてはいけないわけでもないので、こうして小説が書けています。
    さて、CPリクエストのもなりさです!
不思議なことに、年に何度か私は前兆もなく風邪を引きます。
その不思議さを書きたかったのですが、そのときの状況をどう反映したらよいか分からなかったのでこのような形になってしまいました。
ちなみに題名は私がこの状況で寝込んだときの心の声です。
読んでいただければ幸いです。
それでは、次回も是非読んでください!
これからもよろしくお願いします!