最後に( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆のお知らせがあります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
志田said

原田「私は?」

志田「葵は…」

私は軍服の内ポケットがあるものを取り出す。

二つに折り畳まれている、欅軍階級手帳だ。

上部には氏名、所属部署、階級が記され、下部には階級章が描かれている。

普通、他国と協力するときの挨拶に使うものだが、他国と対立ばかりしている欅国では滅多に使わない。

階級章を通るように斜めに一本水性ペンで直線を引く。
そしてその左側の逆三角の部分を雑に塗りつぶす。

そのまま折り畳んで、葵に渡す。

志田「これ、理佐に渡して」

理佐とタッグを組むようになって五年以上になり、二人だけが分かる暗号を作った。

階級章に線や記号を書くだけの、シンプルなもの。

これの意味は軍隊員はおろか、てちや茜すらも知らない。

原田「えっ…」

志田「大丈夫、ね?」

葵は一度、暗号を使うときに遭遇したことがある。

それは葵が欅軍に入隊する前のこと。

私たちにとって大切な人を失いかけた、思い出したくもない出来事。

葵にとってその出来事はトラウマになっているみたいだ。

志田「お願いね」

原田「うん…」

志田「よし、行くか」



志田「茜」

守屋「了解」

敵陣が目と鼻の先のところまで来ると、出発前ねるに渡された地図を頭に叩き込む。

守屋「愛佳」

志田「ん」

守屋「裏側の入口からの方がいいね」

志田「そうしよう、そこからの方が牢屋は近い」

守屋「感づかれた場合は?」

志田「自分の身を最優先に、壁を突き破ってでも外に出て逃げること」

守屋「了解」

志田「小林少佐」

小林「はい」

志田「絶対に私たちから離れないように」

小林「分かりました」

志田「よし、行こう」



なんとか敵に気づかれずに牢屋の入口まできた。

隣にある窓から看守の姿が確認できる。

志田「看守は…二人」

守屋「時間がない、一気に片付ける方がいいね」

志田「そうしよう」

守屋「小林少佐、下がって」

コンコンッ

牢屋の部屋の扉をノックする。

看守1「誰だ?」

志田「…」

守屋「…」

ガチャ

看守1「誰_」

扉が開いた瞬間看守の口を塞ぎ、溝尾を殴る。

それと同時に茜が素早く中に入り、看守室の扉の影に屈んで身を潜める。

ドサッ

看守2「どうした_」

気を失った看守が倒れた音で看守室からもう一人出てきたところを茜が同じように倒す。

志田「よし」

倒れている看守から牢屋の鍵を奪って隣の部屋へ。

そこにいたのはボロボロになり、全身傷だらけの上村。

気を失っているのか動かない。

志田「…、急ごう」

守屋「うん」

独房の鍵を開けて入る。

志田「上村!上村!」

上村「…」

抱き抱えて呼び掛けても返事がなく、息も弱い。

小林「ここじゃまずいですね…呼吸がうまくできてない…応急処置だけしてすぐに戻った方が良いかと思います」 

守屋「そうしよう」
小林「志田大佐、今ははまともな道具がありません」

志田「…分かった、応急処置にはどれくらいかかる?」

小林「すぐ終わります」

上官に対してはっきりと言えない性格なのだろう。

遠回しに急いでくれと言われているのにすぐに気づいた。

志田「私が背負う、茜は小林少佐を頼む」

守屋「了解」

処置が終わり脱出しようとしていると、違和感に襲われた。

なんだ?

元の道を戻っているだけなのに。

経路を変えた方がいいか?

志田「茜、地図見せて」

守屋「…」

志田「茜?…!」

茜の様子が変だ。

一点を見つめて動かない。

何か嫌な予感がする。

志田「小林少佐、上村を頼む」

小林「はい」

背負っていた上村を小林少佐に預ける。

志田「茜!」

守屋「え、あ、なに?」

肩を揺さぶると、やっと気づいた。

心なしか顔色も悪い。

志田「どうしたの?」

守屋「いや、なんでもない…」

志田「…行こう」

茜の様子は気になるが、とりあえず早く脱出しないと。

違和感はあるけど敵の気配はない。

元の道を戻ることにしよう。



志田「!…まさか」

心理撹乱士「来ると思っていたよ」

建物の外に出たと思ったら目の前に敵が現れた。

守屋「っ貴様…」

志田「茜?」

心理撹乱士「覚えてくれているとは光栄だ、守屋大佐」
茜が覚えている?

と、言うことは…

志田「あんたが噂の心理撹乱士?」

心理撹乱士「おや、志田大佐も」

腹立つな…こいつ。

心理撹乱士「ところで守屋大佐、菅井大佐は元気かな?」

守屋「ふざけるな…」

心理撹乱士「そういえばあのあとすぐに中佐に引き下げられたと聞きました、何かあったんですかねぇ」

守屋「…」

ヤバイな…

茜、お願いだから耐えて…

確かに欅軍では大佐の階級がある者は司令官、副司令官、部長、教官、班長のどれかの役職に就かなければならない。

しかし、大佐階級である者は少なく、理佐のように二つの役職を兼任する者も何人かいる。

友香は怪我をするまで大佐階級だったが『意識が戻る可能性は高くない』とされて中佐に引き下げられた。

つまり、教官を辞したということになる。

結構欅軍に精通しているな…

にしても、聞いてた口調と大分違う気が…

資料によればもっと荒々しいはずだったが。

さて、そろそろ上村がヤバイな。

小林少佐が後ろで慌ててるのが分かる。

心理撹乱士「_するかもしれませんよ?志田大佐」

あ、敵喋ってたの?

聞いてなかった。

志田「もう一回言ってもらってもいい?」

心理撹乱士「ですから、守屋大佐と一緒にいたら志田大佐も大怪我するかもしれませんよ?」

あ、やべ。

もう一回言わせるべきじゃなかったな。

茜、戦意喪失して悲しい顔になってる。

なるほど。

こうやって敵の心を思った通りに揺さぶるのか…

これが心理撹乱士のやり方…

待て、私はなんともないぞ?

私は話聞いてなかったからか?

ま、いっか。

志田「ふっ…」

心理撹乱士「なんですか?」

志田「大丈夫っしょ!」

守屋「!」

志田「というかまず_」

さっきからふつふつと溜まってたイライラを全部込めて敵を睨み付ける。

志田「お前に私たちの何が分かる…?」

心理撹乱士「!?」

思い切り低い声を出したらびっくりしてるよ。

思い通りにいかないって焦ってるのかな?

普段人の話をよく聞かないっていう短所がこんなところで役に立つと思わなかったな。

カチャッ…

志田「!!」

上を見ると建物の屋上に人がいる。

その人は茜に向かって銃を構えている。

志田「茜!」

咄嗟に隣の茜を突き飛ばした。

バーン!

志田「いっ!」

左腕に鋭い強烈な痛みが走った。

撃たれた。

ドーン!!

志田「!?」

続けざまに大きな爆音が響いた。

先程銃を持った敵がいたところだ。

自爆?

いや、違う。

志田「手榴弾…」

茜はすぐ後ろで蹲っている。

志田「誰が…」







________________________________________________________
いつも読んでくださってありがとうございます!
    沢山の人に読んでいただけていること、とても嬉しく思います。
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
    一昨日辺りからアメンバーの申請をしてくださる人が増えています。
現在行っているアメンバーの整理というのは、一度全員のアメンバーを解除することなので、現在は承認を行っておりません。
整理が完了後、改めてアメンバーの申請を受け付けますのでそれまでお待ちいただければと思います。
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
それでは、次回も是非読んでください!
これからもよろしくお願いします!