守屋said

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菅井『確かに向こうには心理撹乱士がいる…諜報部からの報告通りだね…』

守屋『うん…』

大きな岩の陰に隠れて相手の出方を見る。

『今日の敵には、言葉によって相手の心を乱し、暴走させることができる〔心理撹乱士〕がいるらしい』と報告を受けた。

平手『とりあえず、そいつの言うことには耳を貸さないように』

ミーティングで発したてちの声を心に刻んだ。

敵『欅国の四天王の二人がいてこの様かぁ!』

守屋『!』

菅井『!』

敵は案外近くにいるらしく、大声で投げ掛けてくる。

敵『身体鈍ってんじゃねぇのか!』

そう言った後に笑い声が聞こえる。

作戦か?

守屋『一人じゃない?』

報告によれば、心理士は一人だったはず。

菅井『複数人か、もしくは混乱させるためのカモフラージュか…』

確実に相手は面白がっている。

守屋『はっ、そんなんじゃねえよ!』

友香とアイコンタクトをとり、試しに言い返してみる。
敵『ならなんだぁ?いつもなら真っ先に飛び出してくるじゃねぇか!なあ!守屋大佐よぉ!』

確かに、いつもなら私が陽動をかけて一気に攻めこむ。

だが、相手に心理撹乱士がいるとなれば話は別だ。

うかつには近づけない。

守屋『攻め方がワンパターンじゃ面白くねぇだろ?』

敵が黙り、少し間が空いた。

すると突然、敵が大声で笑い出した。

守屋『何がおかしい?』

敵『やっぱり四天王っつったってそこら辺の雑魚と同じなんだなぁ!』

守屋『どういう意味だ!』

菅井『茜…』

反射的に言い返してしまった。

友香が私の腕を掴む。

目を合わせれば友香の言いたいことが分かる。

守屋『分かってる』

これは作戦だ。

敵がテキトーなこと言ってるだけなんだ。

敵のペースに乗せられちゃいけない。

敵『一人じゃ何もできねぇんだろ?怖いんだろ?それでも四天王か!臆病者が!!』

守屋『……もう一回言ってみろ……』

敵 『あ?何度でも言ってやる!臆病者の四天王め!!』

守屋『っ貴様ぁぁぁぁ!!』

菅井『茜!』

私は我慢できずに飛び出した。

友香が呼ぶ声も聞かずに。

守屋『バカにするなぁ!!』

そのときの私にとって〔四天王〕は命よりも大事にしていた称号だった。

それを馬鹿にされるのは耐えられない。

そして私だけじゃなく、愛佳と理佐と友香までバカにされたような気がした。

守屋『ああああああああ!』

もう少し。

もう少しで敵の陣地。

剣を抜いて声がした方向に一直線。

菅井『茜!!!』

後ろで声がしてすぐ、後ろに投げ飛ばされた。

守屋『っ!』

近くの岩に脇腹をぶつけてうずくまる。

そのあとに、地面が揺れるほどの衝撃波が。

そしてその後すぐに敵側に号令がかかる。

敵『撤退!』

発砲するでもなく奇襲するでもなく退く?

逃がしてたまるか。

脇腹を押さえて剣を持つ。

岩を支えに立ち上がる。

敵は_

守屋『え…友香…?』

自分のすぐそばに友香が血だらけになって倒れている。

守屋『嘘…友香…』

剣を手放して友香に駆け寄る。

守屋『友香!友香ぁ!!』

抱き上げて、何度も何度も大きな声で呼び掛けても反応しない。

そのとき、悟った。

さっき私を投げ飛ばしたのは友香で、友香は私を庇ったんだ_

守屋「『ああああああああ!!!』」

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守屋「ああああああああ!!!」

そこでハッと目が覚めた。

周りは静かで、時計の秒針の音だけが響く。

それもそのはずだ。

ここは隊員寮の自室だ。

自分以外に誰もいるわけがない。

守屋「はぁ…はぁ…は…くそっ…なんだよもう…」

全身汗びっしょりで気持ち悪い。

あのときの友香のは全身を強打していた。

敵の攻撃で砕けた岩が友香に当たったに加えて、爆風で飛ばされ地面に叩きつけられたのではないか、とのこと。

特に頭を強く打ち、昏睡状態になった。

守屋「五時か…もう起きよう…」

いつもよりも随分早いが、準備をすることにした。

守屋「…」

あのときの夢。

悪いのは自分だ。

自分が悪いことだって分かってる。

てちからだって言われてたことなのに。

もう一年経った…

私はどうしたらいい…?









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