志田said


渡邉〔愛佳ー〕

        〔あかねんから聞いた、今から行くね〕


え?

今から行くって…

コンコンッ

渡邉「愛佳ー?入るよ」

ガチャ

部屋のドアが開かれて、ヒョコっと顔を出した理佐。

渡邉「大丈夫?」

志田「理佐ぁー」

質問には答えずに近くに寄って来た理佐の手を掴む。

志田「仕事は…?」

渡邉「今日は昼までだったの」

あ、もう昼か。

渡邉「結構熱いね」

額に乗せられた理佐の手が冷たくて気持ちよくて、思わず目を細める。

渡邉「お、本当に猫だ」

は?

志田「何言ってんの…?」

渡邉「あかねんがさ、『お宅の猫が熱出して寂しそうだから一緒にいてあげて』ってさ」

志田「猫…」

あかねん…何言ってんのよ…

渡邉「熱は?」

志田「んー…何度だっけ…?」

渡邉「え」

病院で計ったはずなのに覚えてないや。

渡邉「じゃ、計って」

志田「んー…」

あー…やばい…

ぼーっとしてきた…

寝そう…

渡邉「……佳…愛佳!」

志田「ん?」

渡邉「体温計鳴ったよ、貸して?」

全然気づかなかった。

志田「ん…」

理佐に体温計を渡すと、またそのまま目を閉じる。

明日の予定なんだったかな…

熱が下がらなかったら休んでなきゃいけないのかな…?

ん?

その前に明日って仕事入ってたっけ?

ぴとっ

志田「!!」

渡邉「あ、ごめん」

急に額に冷たい感覚がして、少し遅れて冷えピタが貼られたんだと気づいた。

冷えピタを剥がされたのに気づかないとは…

志田「ありがと…」

渡邉「うん、熱高いね」

志田「え、何度だった…?」

渡邉「38.8」

志田「えー…」

高…

聞かなきゃ良かった…

渡邉「ゼリー買ってきたけど、食べる?」

志田「今はいいや…」

渡邉「そっか、薬は?」

志田「んー…どこ置いたっけ…?」

熱が高いことを自覚したからか、ぼーっとしてきた。

渡邉「あ、あった」

スルッと首に腕を回されて半ば強制的にゆっくり起こされる。

渡邉「はい、飲んで」

理佐にもたれかかって理佐の身体の温もりを感じていると、目の前に差し出された三錠の錠剤。

それらを口に放り込んで渡されたミネラルウォーターで流し込む。

志田「ゴホッゴホッ!」

渡邉「ちょっ…大丈夫!?」

志田「ごめんごめん…大丈夫…」

薬が思ったよりも苦くて咳き込んだ。

背中をさすってくれる理佐の手の温度が心地よくて、また理佐にもたれかかる。

渡邉「横になる?」

志田「ううん…もう少しこのままでいさせて…」

少しわがままを言えば「いいよ」って言いながら抱き寄せてくれて、布団を肩までかけてくれた。

渡邉「寝ていいよ」

そう言われたときにはもう意識が薄れていて、頷いたのかどうかも分からない。



渡邉said

守屋「理佐ー?」

愛佳が寝てしばらくした頃、茜が帰ってきた。

守屋「愛佳どう…おや」

渡邉「寝ちゃった」

守屋「熱どうだった?」

渡邉「39度近くまであったからね、身体はしんどかったんだよ」

志田「んー…」

もぞ…と動き出したかと思うと、私のTシャツをつかんですり寄って来る。

渡邉「可愛い」

守屋「本当に猫みたい」

体調が回復すればいつものはしゃぐ姿に戻るだろうから、今はこのまま見ていたいと思った。











________________________________________________________
いつも読んでくださってありがとうございます!
いつもここで自分が思っていることだったりどうでもいいことだったりお知らせだったりをお話するのですが、いつも長々とすみません。
お知らせがあるときは記事の一番はじめに「お知らせがあります」と書いておくことにしましたので、ご活用ください。
それでは、次回も是非読んでください!
これからもよろしくお願いします!