《頑張れ》

《大丈夫》

人を応援したり、元気づけたり、心配したり。

一言で自分の気持ちを伝えることができる。

一言だから、三文字だから、気持ちが伝わりやすい。

その言葉のおかげで頑張れる。

でも_





これは、体調不良に悩む高校生が、友人からかけられた応援の言葉に申し訳なさを感じるようになっていくお話。




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真春said

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中学の時に仲が良かった友達の大半は、ここから歩くには少し遠い距離にある高校に行ってしまった。

皆と違うところに行きたかったわけではないけれど、かといって皆に合わせるのも何か違う気がして。

そんな中ただ一人、同じ学校になった。



入学してから最初の授業日。

昼に自分の机で弁当を広げようとしていたら、声をかけられた。

澪紀『真春』

真春『ん?』

澪紀『弁当一緒に食べよう』

真春『うん!』

保育園からいつも一緒の幼馴染。

いつでも、些細なことで傷つきやすい私の側にいてくれた。

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澪紀「ん?どした?」

真春「いや、特に何も」

小説を読んでいる澪紀の横顔をボーッと見ていたら目が合った。

もうすぐ

澪紀「考え事?」

真春「ううん、なんでもないよ」

澪紀「そう…」

そういうと、また小説に目を戻した。

澪紀はテンションに波がない。

だからか、私は一緒にいて楽だ。

真春「それ何の小説?」

澪紀「これ?」

白いシンプルなブックカバーがかけられた小説。

何となく、さっきから気になっていた。

澪紀「この前やってた医療ドラマのノベライズ」

真春「へー、面白い?」

澪紀「まあ、それなりに?」

真春「今度読もうかな」



樹「佐々木」

真春「ん?ああ、樹」

樹「これ借りてたDVD、サンキュ」

真春「全然いいよー、どうだった?」

樹「最高だった」

真春「良かった」

樹に貸していたのは最近話題になっているアーティストのライブDVD。

お互いこのアーティストが好きなのが分かって、それがきっかけに仲良くなった。

なかなかDVDを発売しないグループだから舞い上がってつい買ってしまった。

樹「また貸して」

真春「いいよ」



真春「…ん?」

放課後、駅に向かって歩いていると目の前の景色が霞んで見えた。

目を擦ってみても、なんとなくスッキリしない。

澪紀「真春さ、大丈夫?」

真春「え?何が?」

澪紀「最近顔色良くないよ?今日弁当も残してたみたいだし」

真春「…そう?」

澪紀「体調悪いの?」

真春「んー…寝不足?」

澪紀「何で疑問系なの」

真春「眠くはないんだよね、でも食欲が少し落ちたみたい、吐き気も少し…」

最初は吐き気だけだった。

前日の晩ご飯が揚げ物だったからきっと胃もたれ起こしたんだろうってあまり気にしていなかったけど、ここ最近の朝は吐き気と胸焼けで目が覚めるようになった。

しかも朝から胃の辺りが痛む。

澪紀「これ以上続くようなら病院行きなよ?」

真春「んー…そのうちね」

澪紀「お母さんに言った?」

真春「…まあ」

澪紀「で、どうだったの?」

真春「…流された」

澪紀「えっ?」

真春「多分仮病だと思われてる…」

澪紀「仮病…」

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昨夜。

胸焼けが出てきてさすがに心配になり、夕食のおかずが入った鍋をかき混ぜているお母さんに話しかけた。

真春『お母さん…』

深保『んー?』

真春『やっぱり治らない…明日病院行ってきてもいい?』

深保『でも、学校には行けるのよね?』

真春『え…うん』

深保『なら学校に行きなさい、そろそろテストでしょう?』

真春『…』

深保『行くならテスト終わった後にね、それまで頑張りなさい』

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真春「保険証と診察券があればね…」

私と秋加の保険証と診察券類は全てお母さんが管理している。

だから、お母さんを説得しないと病院に行くことができない。

澪紀「とにかく顔色ヤバいよ、本当に無理だと思ったら言って」

真春「…うん、ありがと」










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いつも読んでくださってありがとうございます!
お久し振りです。
前回の記事にいいね、ありがとうございます。
前に引き続き読んでくださる方が多くいらっしゃってとても嬉しいです。
さて、この小説を読んでいただくに辺り、少しお願いしたいことがあります。
この小説のエピソードところどころに、作者自身の体験を反映させた内容があります。
それを含め、もしかしたら読み手の方に「回りくどい」と思わせてしまう内容があるかもかもしれません。
なるべくそうならないように気をつけますが、「あまりに回りくどいとイライラしてしまう」という方は読む際にご注意ください。
次の記事の冒頭でもお知らせしますが、もうお読みいただいた方は飛ばして読んでいただいても構いません。
それでは、次回も是非読んでください。
これからもよろしくお願いします!