常に冬であるその地を旅する小説。
自分の世界の親善大使として派遣されてきた彼は、やがて冬の世界の政変に巻き込まれていく。
そこで出会った政治家とかわす、友情という言葉だとおさまりきれない交わりが、
凍傷の熱さってこんな感じか?と思わせる手触りになっていた。
ものすごい上辺を撫でるような説明をすると、
『ゲド戦記』の作者による記念碑的SF。
圧巻の細部で作られる虚構の世界は、常に冬、である設定にも関わらず、汁気たっぷり。
なんというか、
男女の別を均した地点に人が二人立つ、
ただそれだけのことをリアルを伴って実現させるためには、
超絶未来の、
しかも何万光年も隔てた惑星の、
絶対零度の凍土じゃなければならなかったの、
とそれを思うと少しめまい。
少年は荒野を目指しそもそも人類は未知の場所・ここより遠くを目指すものっぽいけど、
この小説に書かれるほど遠くに行かないと実現しえない関係性、
ていうのはそもそも自然の摂理に反するっぽい気もする。
しかしこの小説が、痛みを引き受けた和解で幕を閉じるのだから、
作者のめっちゃ格好よい頑固さにしびれました。