【EURO 2012を振り返る】 | 欧州サッカー大好き

【EURO 2012を振り返る】


 



ウクライナとポーランドで24日間にわたり開催されたサッカーの祭典、UEFA EURO 2012はスペインの史上初の連覇で幕を閉じた。

寝不足との戦いだったがあっという間の24日間だった。やっぱり世界最高峰の選手が魅せる質の高いプレーは、見てて興奮したし面白い試合ばかりで全31試合を見た甲斐はあったな。記憶に残るゴール、さまざまなドラマがあったEURO 2012をちょい振り返ってみたいと思います。

まずは、サッカーの歴史を塗り替えたスペイン。UEFA欧州選手権史上初の2連覇を果たしただけでなく、1976年に西ドイツが挑戦し、そしてジネディーヌ・ジダンを擁したフランスですら成し得なかった、EUROFIFAワールドカップ、EUROの主要大会3連覇という前人未到の偉業を達成。

その勝ち方はあらゆる人の想像を上回る圧勝だった。これこそ最強のチーム。まさにスペインは黄金世代だろう。

そしてスペイン・サッカーの時代はどこまで続くんだろう。ここまでくると、2014年W杯、4年後のEURO2016でさらなる快挙を見てみたい。

一方イタリアは、伝統の守備的なサッカーからの脱却をはかり、UEFA EURO 2012では創造性と狡猾さ、そして刺激に満ちた試合を見せた。しかし決勝では疲れていたうえ、ほぼ30分にわたり10人で戦う羽目になり、0-4で敗れてしまった。

決勝で敗れたチームは忘れ去られるとよく言われるが、素晴らしい大会の記憶がこの敗北で消え去るわけではない。

そのイタリアに敗れたドイツは平均年齢が参加国中最も若く、胸躍るプレーを披露。準々決勝でギリシャを下し、世界記録となる15連勝を達成。過去4回の主要国際大会での成績はベスト4が3回、準優勝が1回と栄冠に手が届いていないが、若さはこれからも武器になるはずだ。

今大会、勝ち点ゼロで終わったのは2チーム。24年ぶりにEURO本大会出場を果たしたアイルランドは、グループステージ第2節でスペインに敗れ、出場国で最初に敗退が決定。

そしてオランダが、勝ち点ゼロで終わるとは誰も予想してなかっただろう。グループBに入ったオランダは勝ち点ゼロのまま最下位で敗退。主要国際大会でオランダが1ポイントも勝ち点を得られなかったのはこれが初めてで、2010 FIFAワールドカップの準優勝チームは、驚くべき運命の逆転を味わってしまった。

それにしても天候だけには恵まれていない大会でしたね。グループステージのウクライナ対フランス戦は、猛烈な雷雨により開始わずか4分で中断。すさまじい嵐がスタジアムを襲い、試合がようやく再開されたのは中止から58分後のことだった。

さまざまな記録が生まれた大会でもありました。

優勝したスペインは、EURO決勝で4得点を奪った初めてのチームとなり、フェルナンド・トーレスは、決勝で2度にわたって得点を挙げた初めての選手となりました。

アイルランドのダミアン・ダフ、ドイツのルーカス・ポドルスキ、スペインのシャビ・アロンソの3選手が、今回のEUROで代表100キャップを達成。しかもポドルスキアロンソは自らのゴールで節目の試合を祝った。すでに100試合出場を果たしているイケル・カシージャスは、スペイン代表での100勝目という驚異的な記録を決勝でマーク。

オランダのイェトロ・ビレムスは18歳71日でデンマーク戦に出場し、EURO本大会の最年少出場記録を更新。ちなみに今大会で最も若くしてゴールを決めたのはイングランドのダニー・ウェルベック(21歳)でした。

ベテランの活躍もありました。今大会の最年長選手はギリシャのGKコスタス・ハルキアス(38歳)。得点者でも35歳でゴールを決めた同じギリシャのギョルゴス・カラグーニス。最年長スコアラーは同じ35歳のアンドリー・シェフチェンコだった。

シェフチェンコは、スウェーデン戦でヘディングから2得点をマークし、ウクライナの初戦勝利に貢献。全盛期を彷彿させるプレーを見せてくれました。2度の得点シーンでキエフのオリンピック・スタジアムにとどろいた歓声は、今後まずないだろうと思われるほどの大音量だった。

そして守護神たちもスーパーセーブを披露してくれました。本大会の開幕戦、ポーランドのGKプジェミスワフ・ティトニは先発GKが退場処分となったため途中出場。そのファーストタッチでPKを阻止。今大会ではこの場面を皮切りに、GKがスーパーセーブを連発。決勝進出を果たした両チームの主将を務めるジャンルイジ・ブッフォンカシージャスも、それぞれPK戦でチームを勝利に導くセーブを披露し、その実力を見せつけた。さらにカシージャスはクロアチア戦でもイバン・ラキティッチの強烈なヘディングシュートをスーパーセーブ。このスーパーセーブがなければ、スペインの優勝はなかったかもしれません。

今大会では、1992年大会のデンマーク優勝や2004年大会のギリシャ優勝のような大波乱は起こらなかったですね。それでもデンマークとギリシャの健闘は本大会の2大金星と言っていいだろう。デンマークは初戦、オランダに1-0で勝利。一方、ギリシャは主将カラグーニスの得点を守ってグループステージ最終節のロシア戦に勝っている。ロシアを敗退に追い込むと共に自らはベスト8進出を決めた。

やはり大会を盛り上げるのはゴールシーンですね。今大会31試合での総得点数は76。なかでも今大会はヘディングによるゴールが非常に多かった。ロベルト・レバンドフスキの本大会最初のゴールから、スウェーデン戦でアンディー・キャロルが決めた強烈なシュート、さらには決勝でのダビド・シルバの先制点。その数は22得点と、全体の29%を占めています。

そして驚きのスーパーゴール。

ポーランドの主将ヤクブ・ブワシュチコフスキロシア戦で決めた鮮やかな同点弾、オランダ戦のマリオ・ゴメスの流れるようなターンから決めた1点目、フランス戦のズラタン・イブラヒモビッチのスーパーボレー。

ギリシャ戦のサミ・ケディラ、ドイツ戦のマリオ・バロテッリの2点目など、今大会でも多くの見事なゴールが飛び出した。どれも大会のベストゴールに数えられるはずだ。

さらにPK戦にもつれこんだ準々決勝イングランド戦、イタリアのアンドレア・ピルロはプレッシャーのかかる中、かつてのアントニン・パネンカを彷彿させるチップキックで華麗にネットを揺らし、あらゆる人に鮮烈な印象を残したはずだ。その後、準決勝のスペイン対ポルトガル戦でも、PK戦でセルヒオ・ラモスが同様のキックを披露。

サッカーの世界では、2年、あるいは4年ごとに、卓越した選手が登場する。主要大会で輝き、洗練されたプレーを見せ、「誰々の大会」と呼ばれるような活躍をする選手だ。

今回のEUROで1人だけ際立っていた選手というのはいなかったが、それだけ優れた選手たちが何人もいたということだろう。

クリスティアーノ・ロナウドは自らのゴールでポルトガルをベスト4に導き、決勝に進出したイタリアではピルロが輝いた。しかし大会が終わってみると、こうした名選手の活躍も歴史的偉業を達成したスペイン代表メンバーの前にはかすんで見える。

中でも競い合うようにパスを繰り出したシャビ・エルナンデスアンドレス・イニエスタ、本大会をわずか1失点で終わった守備力は特筆すべきものだった。

スペインの3連覇はあるのか。はたまたドイツ、イタリアなどが雪辱を果たすのか。そしてどんなドラマが待っているのか。4年後も楽しみですね。

次は、オリンピックか。まぁ、他の競技はともかくとしてサッカーに関しては、たいして盛り上がらないな。それでも一応予想はしておくか。優勝・金メダルはスペインだろう。