グラン・トリノ / クリント・イーストウッド
遅ればせながら、
クリント・イーストウッド監督主演の「グラン・トリノ」を見ました。
テーマは、
「人種差別主義者の老人が隣人とのふれあいを通じて変わっていく。」
ちょっと聞くと、なんだか重そう。
最近、シリアスなドラマものを敬遠していた僕は、
見るのに億劫になっていました。
昨日夕方、締め切りをひとつ終え、
ちょっとのんびりした気分になっていたので、
今なら少々重そうなものにも耐えられる。
このタイミングに見てしまおうと思って見たんですが、
これが素晴らしかった。
さすが、テーマをしっかりとらえつつも、
『娯楽映画』として十二分に成り立っています。
すごい。
たいてい、ヨーロッパの監督がこういうテーマを扱っている映画って、
見る側にもパワーが必要だったりするんですが、
この映画は違う。
はっと、気づくと完全に映画のペースにハマっていました。。
まるで素晴らしいDJプレイのよう。
盛り上げられたり、盛り下げられたり、
飽きそうになったところで、はっとさせられたり、
ここでというところで、すかされたり。
僕のようなマカロニウェスタンから「ダーティーハリー」シリーズなど、
イーストウッドの過去の映画を見ている人たちを
おお~、懐かしいと思わせる遊び心もみせつつも、
知らない人にも、また違う感動を与えていたりと、
とても流れがいい。
しかもリアリティーがありつつも、
どこか寓話的であり、重くなりすぎない。
これは娯楽映画をやりきった彼だからこそできる技なんですね。
名人芸です。
イーストウッドが無類のジャズ好きというのは周知のことですが、
良いライブをみたような、良いDJプレイを聞いたような、
そんな気分にさせられる映画でした。
マイケル・J・フォックスが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、
タイムスリップした西部時代で名を聞かれ、
「クリント・イーストウッド」とかっこ良く答えるシーンが思い出され、
SFXもいいけど、
これから、もっと、
こういうカッコいい男の映画がも作られればいいのに、
と思う今日この頃でした。