予想の斜め上の彼方から切り込んできたメンズノンノ美容大賞ヘアケア部門一位。大賞受賞もかなりの斜め上からでしたが、成分を見ると、これはこれで凝った、骨太の処方でした。ですので、やたら長くなってしまっております。申し訳ありません。

 

前回、前々回と、ブランドの説明、基剤の説明、コンディショニング剤の話で終わってしまったのですが、今回はかなり先端行ってる保湿成分についてお話ししたいと思います。

 

ちなみに、今回から読まれた方のために、メンズノンノ美容大賞の記事をきっかけに書いていますとだけ、説明しておきます。

 

http://www.mensnonno.jp/special/cosmetics_award2016/5/

メンズノンノ美容大賞2016はこちらから。

 

製品はこんな感じ

 

以下、THREEの公式サイトからの抜粋です。

http://www.threecosmetics.com/fs/three/refining/sca-0201003

THREE スキャルプ&ヘア リファイニング コンディショナー 

 

全成分

水、セタノール、プロパンジオール、サトウカエデ樹液、リンゴ果実水、ベヘントリモニウムクロリド、シア脂、ステアリルアルコール、オリーブ油、セトリモニウムクロリド、ホホバ種子油、BG、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、チシマザサ水、チャ実油、アルガニアスピノサ核油、ニュウコウジュ油、ベルガモット果実油、ビターオレンジ葉/枝油、ラベンダー油、オルトシホンスタミネウスエキス、クマツヅラエキス、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ポリクオタニウム-64、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ベヘニルアルコール、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、グリセリン、ココイルアルギニンエチルPCA、ステアリン酸グリセリル、ポリソルベート80、乳酸Na、クエン酸、クエン酸Na、尿素、塩化Na、安息香酸Na、イソプロパノール、フェノキシエタノール

 

前回まで

「基剤」

「カチオン界面活性剤などのヘアコンディショニング剤」「増粘剤など性状安定化剤(これは、入っていないケースもあります)」

「有効成分(保湿剤や毛髪修復成分など)」

「香料」

「防腐剤」

という分類に沿って分析した挙句、増粘剤のとこで終わってしまったので、今回は有効成分に入ります。というか、これが、ものすごいもりもりなのが、この「THREE スキャルプ&ヘア リファイニング コンディショナー」という製品なのです。つか、製品名も長い・・・

 

さて、前回のブログで、フィルム系のコンディショニング成分と、保湿・毛髪補修系のコンディショニング成分を複数入れてきているあたりが興味深い、というお話をしています。

 

フィルム系成分もかなり凝ったものでしたが、いやいやどうして、保湿・毛髪修復系も相当こだわっています。

 

大雑把に分けると、

・機能性保湿成分

・植物エキスもしくは果実水などの成分

・植物オイル成分

という3種類がもりもり入っています。

 

植物成分は、この製品の売りなので、それは後ほどまとめますが、今回は、この「機能性保湿成分」(と私が勝手にに言っている)成分についてお話ししたいと思います。

 

というのも、かなり高機能な成分がもりもり入っているのです。

 

ざっと挙げると

 

・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)

・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa

・セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク

・トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル

・ココイルアルギニンエチルPCA

 

とまあ、一般の人なら目を背けるような長々しいカタカナ名が並びます。私は見るとわくわくしますが、ふつうは読み飛ばす成分名かもしれません。

 

まず「ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)」はエルデュウという製品名だとラボの人ならぴんと来ると思うのですが、グルタミン酸、天然脂肪酸、高級アルコール、フィトステロールから生まれたエモリエント剤です。原料メーカーの説明では、皮膚の保湿成分として重要なセラミドという成分に似た構造をしていながら、高分子という特性があり、原料メーカーいわく「セラミドと同じくラメラ液晶を形成することが確認され、アミノ酸系のセラミド類似体として、同等のエモリエント効果が期待できます」とのこと。

 

「ジラウロイルグルタミン酸リシンNa」。これは、ここ数年で頻繁に見かけるようになった成分。グルタミン酸とリシンというアミノ酸をメインにした成分で、髪に吸着してダメージを修復する作用があります。これが、かなり効果があるらしく、人気の成分となっています。たしか、ツヤ効果があったはずで、そのあたりも人気の理由かもしれません。

 

続く「セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク」という、これまた息継ぎが必要なくらい長い名前の成分は、植物ペプチド由来の成分。というか、要は加水分解エンドウタンパク由来ということなんですが、毛髪のダメージ修復という時に、近年でて来た理論で18-MEAというのがあるのですが、ここらに着目した成分です。

 

この話はものすごく長く、専門的になってしまうので、いずれまとめますが、とにかくダメージ毛修復の機能性が高くて人気。専門的には毛髪表面の疎水化、すべり性の向上、指通り・くし通り性の向上などの優れたヘアコンディショニング効果と説明されますが、要は髪をすべすべにします、といったところでしょうか。

 

長ったらしい名前の成分はまだまだ続きます。「トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル」は、油系のエモリエント剤。髪をしっとりさせる成分です。ベタつきが少ないという特徴があるみたいです。

 

「ココイルアルギニンエチルPCA」は、分類としてはカチオンになるのですが、保湿効果に着目してみました。こういう分類の難しい成分てあるんですよね。構造的にも髪に吸着しながら潤いを与えると考えられます。

 

あと、ポリソルベート80なんかは乳化剤ですが、これもしっとりするはず。本当にいろいろ入っています。

 

ウェブでも、その他でも、製品の特徴として、やたら植物由来とかオーガニックイメージを前面に出していますが、技術者目線で見させていただくと、なかなかどうして骨太な構成で、高機能ヘアケアの見本みたいな処方です。

 

てことで、相変わらず長くなってすみません。次回、植物系成分をサクッとまとめたいと思います。もうちょいお付き合いください

 

追記:読み直したらいろいろ書き損じがあったのでちょこっと修正しました。