なんだか、化粧品初歩技術者向けな感じの話が続いたので、実用編として、商品紹介などしてみたいと思います。

 

さて、今回取り上げるのはクレンジングオイルです。それも、男性に。

 

そもそもの話として、男性には、クレンジングとは何ぞや、洗顔料とは何が違うのか、という話から始めないといけない場合が多いのですが、まあ、ざっくりいうと、クレンジングとは、ファンデーションや口紅などのメイクを落とす道具です。カテゴリーとしては、洗顔料の一部に属していて、その境界も曖昧だったりするのですが、基本的には油分の多いメイクを油分でなじませて緩めてから洗い流す、といった感じの機能を持っているといったところでしょうか(ものすごくざっくり)。クレンジングの種類の話も、いずれどっかでしたいと思いますが(なにせ、誤解が大変多いので)、今回はたくさんあるクレンジングの中から、オイル系クレンジングと言われるものを取り上げます。

 

だいたい、こんな話をすると、男なんだから、メイクしないし、洗顔料だけで十分だ、という反応が返ってきます。これは、男性に限らず女性からも。まあ、これが普通の反応だと思います。

 

私が男性にクレンジングをお勧めするのには、実はいくつかの訳があります。

 

まず、男性は皮脂分泌が女性より多めです。これは、皮脂分泌が男性ホルモンの影響を受けやすい身体と言われています。女性より男性の方が皮脂腺が大きいなんていう報告もあったはずです。

 

さて、皮脂は、オレイン酸やスクワレンといった、いわゆる不飽和脂肪酸を多く含んでいます。脂(もしくは油)の酸化については、化粧品業界全般で、それが肌にたいそう良くないものだという認識が広がっていて、これは非常に良いことなのですが、どの脂(こちらで統一します)が酸化し、どれが酸化されにくいのか、についての知識は、中途半端になっていて、ぜんぜん真逆のことを主張しているメーカーとかがあったりして、ドキドキしたりします。

 

この辺の話も、深堀すると長いので、いずれまたにするとして、これらの脂分が、酸化されてしまったり、長時間放置されてしまうと、なかなか洗顔せっけんなどだけでは、洗い流せなくなってしまうのです。というか、相当頑張れば落ちるのかもしれませんが、肌に負担をかけるのでお勧めできません。

 

そこで登場するのがクレンジング。顔の表面の皮脂汚れを、メイク汚れと同じように考えれば、これを溶かして浮かせて洗い流すというプロセスは同じです。

 

さらに、以前お話しした毛穴の汚れである「ブラックヘッド」にもクレンジングオイルは効果的。気になる部分に、オイルを乗せてくるくるすると、毛穴の中の角栓が浮き出してきて、取れるというもの。鼻の角栓では、ビオレの角栓取りシートが有名ですが、これは、やり方を間違えたり、やりすぎたりすると鼻の皮が剥けるという欠点があり、肌への刺激が指摘されています。個人的には好きなんですが。

 

クレンジングオイルを特にお勧めするのは、オイルなら短時間に使えて、ささっと洗い流せるし、丁寧にも雑にも扱えるという点。初心者には、液だれするという問題はありますが、夜の洗顔に使ってみるのは良いと思います。

 

と、ここまでお話ししたところで、クレンジングオイルのお勧めは、となるわけですが、それは膨大な数になります。代表的なところでは、DHCさんがクレンジングオイルでブレイクして、いまだに売り上げが大きいと言われていますし、元祖クレンジングオイルとされるシュウウエムラのはメイク落ちが優れていることで知られます。

 

でもまあ、男性はメイクを落とすわけではないし、せいぜい日焼け止めを落とせればいいので、もっと安価なものでいいかなと。

 

例えば、アテニアのクレンジングオイルは、いろいろ考えられていて成分的にも優れているし、感触もいいので、おすすめです。内容成分を考えると、そのコスパは相当なもの。最初に使う製品としては、良いのではないでしょうか。ポンプ式というところも、好感度大ですね。

 

もっとも、上記の皮脂を落とし、洗顔負担を減らすだけなら、もっと安いものもいくらでもあります。

 

例えば、黒龍堂 ハイピッチ ディープクレンジングオイルWならマツキヨとかで600円くらいで買えます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

黒龍堂 ハイピッチ ディープクレンジングオイルW 190ml
価格:567円(税込、送料別) (2017/8/7時点)

なんでこんなに安いかというと、たぶん、原料にミネラルオイルを使用しているからかもしれません。女性には嫌われがちなミネラルオイル(俗にいう鉱物油)ですが、これにも深い歴史があって、誤解と偏見の中にある気の毒な成分なのですが、科学的には非常に安定性、安全性が高く、肌への影響が最も少ない成分の一つ。とりあえず安いのから試してみたいという方には、おすすめの製品です。

 

より高度なクレンジングなら、バームタイプというのもあって、こちらはほんとにお勧めなのですが、若干ハードル高めかもしれません。バームタイプをお勧めする理由はいずれまた。今は、単に、液だれしにくいので使いやすくていいですよ、程度にしておきます。あと、男性の洗面台にクレンジングオイルが置いてあると、ちょっとびっくりしますが、こういう形状のものなら、さほど驚かれないかなと。

 

 

パッケージがシンプルなので、おすすめですが、スキンケアに詳しい彼女とかが遊びに来たときは、こんな本格的なクレンジングがあるのを見て、新しい趣味に目覚めたのか、なんて誤解をされてしまうかもしれませんが・・・

 

メイクをしない男性なら、毎日使う必要はないかもしれませんが、日焼け止めを使用しているなら、洗顔の工程に一つ追加するのはお勧めです。