初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
――
「お腹の中に居た時の自分を癒す?
そんなことができるんですか?」
カウンセラーは優しく微笑みながら頷いた。
「それではまず体の力を抜いて
椅子にもたれかかりましょう。
手を膝の上に置いて
手のひらを上に向けてください。
目を閉じてゆっくりと深呼吸をします。
息を吐くときはゆっくりと・・・
息を吸うときは自然に任せて・・・」
カウンセラーの声に合わせて
深呼吸をしていると
気分が落ち着いて頭が
ぼーっとしてきた。
「目を閉じたまま
お母さんのお腹の中に
浮かんでいる自分をイメージします。
何が見えますか・・・」
「お腹の中で丸まって浮かんでいる
自分の姿が見えます・・・」
「その子は今、どんな様子ですか」
「怖くて、ギュッと縮まっています・・・」
「その子に何か
してあげたいことはありますか」
「安心させてあげたいです・・・」
「その子は何をしてあげれば
安心できると思いますか」
「もう大丈夫だよ、怖くないよと
抱きしめてあげると
いいと思います・・・」
「それでは、その子を
安心させてあげましょう。
目の前のその子に
優しく声を掛けながら
手を動かして触れてみましょう」
少し恥ずかしいとも思ったが
僕はもう大丈夫だよと声を掛けながら
イメージの中の自分に触れてみた。
怖れで縮まった背中とお尻を
支えるように抱きかかえた時
その子の怖れや悲しみ
痛みが指先から手のひら
両腕へと広がっていった。
僕は手を掲げたまま歯を食いしばった。
涙がとめどなく流れた。