239 想像してみてください | 読むカウンセリング

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親からの虐待、両親の蒸発、いじめ、不登校、対人恐怖症、うつ、母の死は私のせいという罪の意識から解き放たれた心理カウンセラーが、自ら体験した心の癒し方をお伝えします。

初めての方へ

この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリング
テーマにした架空のお話です。
まずは、プロローグからお読みくださいね。


――


239 想像してみてください


「両親も僕と同じ心の棘を
 抱えていたということですか?」

「それは私にはわかりません。
 でも、今のあなたになら
 分かるのではないでしょうか」

カウンセラーにそう言われて
確かに分かるような気がした。
でも一方で分かりたくないとも思った。

僕と同じ心の棘を抱えていたとしても
だからといって、許せない。
それでも、許せない・・・

「たとえ僕と同じ心の棘を
 両親が抱えていたとしても
 やっぱり僕は許せません。
 許せないんです!」

「どうすれば両親を許せると
 思いますか」

「少なくとも僕と同じ苦しみを・・・
 いや、何倍もの苦しみを
 味あわせたいです」

カウンセラーは静かに頷いた。
しばらく考えた後
僕の目を真っ直ぐ見て言った。

「もうすでに、あなたと同じ苦しみを
 何倍もの苦しみを
 両親が味わっていたとしたら
 どうでしょうか」

「えっ?」

「想像してみてください。

 あなたに小さな子供がいるとして
 その子供に

 『お前のせいで不幸になった』

 と、言ってしまうような状況とは
 どんなものなのかを。

 それまでにどんなものを
 背負いながら生きてきたのかを。

 そう言った後に、どれだけ自分を
 傷つけたのかを。

 あなただからこそ
 分かることがあるのでは
 ないでしょうか」

すでに両親は
僕以上に苦しんでいた・・・

だから・・・

だから二人ともあんなに
苦しんでいたのか・・・

僕のせいでは・・なかったのか・・・