初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
――
あの頃に僕が信じていたこと・・・
「僕は人から嫌われる存在で
周りの人は怖くて
世界は酷い所だと
信じていたと思います」
「今のあなたは何を信じていますか」
「今の僕・・・」
カウンセラーの問いかけに愕然とした。
僕が今、信じていることは
あの頃と変わっていない。
むしろ、子供の頃よりも強く
信じているかもしれない。
「昔のままだと思います」
「心の地図に、あなたは嫌われ者で
人は怖ろしく、世界が酷い所だと
記されているとしたら
心の地図に従う感情は
どのように反応すると思いますか」
「自分のことや人のことを考えたり
世界に関わろうとするときに
怖れるようになると思います・・・」
そうか・・・
そうだったのか・・・
だから僕はいつも怖かったんだ。
この得体の知れない怖さは
僕の信念から来ていたもの
だったんだ。
「僕の信念が僕を怖れさせていた
ということなんですね・・・」
カウンセラーは静かに頷いた。
「でも先生、実際に僕は嫌われ者で
世界は酷い所ではないんですか?」
「あなたがあなたを抱きしめた時
自分が嫌われ者で
世界は酷い所だと思いましたが」
「いいえ・・・」
僕が僕を抱きしめた時
僕は僕を愛しいと思った。
世界にやっと安心できる場所が
見つけられたと思った。
一人じゃないと思えた。
そうか・・・
僕は嫌われ者ではなかったんだ。
僕が僕を嫌っていたんだ。