初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
――
「あのー、変な言い方なんですが・・・
何人もの自分が見えるんですが」
感じたままを正直に
カウンセラーに伝えた。
カウンセラーは静かに頷いた。
「鎧を脱いだ弱々しい自分が
幼児のようにも
少年や高校生だった頃の自分にも
見えたんです」
「彼らの声に耳を傾けることは
できますか」
「えっ、耳を傾けるんですか・・・
分かりました。やってみます」
鎧を脱いだ3歳の頃の
弱々しい自分をイメージしてみる。
迷子になった子供のように
立ったまま大声で泣いている。
その泣き声は絶叫のように聞こえた。
一人ぼっちにされた
悲しみと怖れと怒りが入り混じった
叫び声だった。
僕は思わず大声で泣きたくなった。
でも僕の中の何かが、泣くのを抑えた。
衝動がスーッと消えていく。
とたんに3歳の頃のイメージと
つながれなくなった。
冷静さと引き換えに
自分を失ってしまったような気がした。
「先生・・・」
「どうでしたか」
「途中でイメージできなくなってしまって・・・」
「何が聞こえたのか
詳しく伺ってもいいですか」
「はい。最初に3歳の頃の自分が
浮かんできました。
僕の目の前で、彼は泣いていました。
大声を出して叫んでいるようでした」
「なんて叫んでいましたか」
「なんて・・・あっ!」
涙が溢れてくる。
胸がかきむしられるように痛い。
・・・
ひとりにしないで・・・
ひとりにしないで・・・
ひとりにしないで・・・
ひとりにしないで!!
僕は泣き叫んでいた。